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置賜森林管理署

森林官紹介!(平成26年8月)「大切な森林を次世代へ」

森林官(長井担当区)

田中 恭子

 

私が勤務している長井森林事務所は、山形県の南西部に位置する長井市にあります。
長井市は水の郷百選にも認定されている、最上川発祥の地です。「水と緑と花のまち長井」のキャッチフレーズのとおり、江戸時代には米沢藩の舟運基地として栄え、大きな問屋や豪商が成長し、独特の文化も生まれています。市内では、今でも古い商家や船着場跡を見ることができます。山々の無数の沢から川に注ぎ、市街地には今も網の目のように水路が走っています。最近では、そんな「山の港町」の最上川の川べりや水路の脇を散策する、初夏にふさわしい旅を描いたJR東日本のCMが撮影され、放映されました。

 

商家と水路

商家と水路


また南陽市から長井市を経て白鷹町を結ぶフラワー長井線の春の沿線では、国指定天然記念物「伊佐沢の久保桜」「草岡の大明神桜」をはじめとする樹齢1、200年余りの古木や名木、巨木といった古典桜の名所が20か所ほど点在している置賜さくら回廊を楽しむことができます。それぞれの桜には、坂上田村麻呂や、後三年の役の源義家、そして伊達政宗といった歴史上の人物の伝説が残っています。

 

大明神桜

大明神桜


当事務所は、朝日山系の東部に位置する長井市西部、白鷹町西部、飯豊町北部の国有林約10,000haを管理しています。そのうちスギやカラマツなどの人工林が約45%、ブナ、ミズナラなどの天然林が約55%を占めており、豊かな森林が形成されています。長井市を流れ、最上川の源流でもある野川の上流部は「野川風景林」に設定されており、中でも東北のマッターホルンと呼ばれる祝瓶山を背景とした木地山ダムから望む景観は多くの人々に親しまれています。また木地山ダムの上流に向かうためのダムの堤体上を走る県道は、眺めも良くスリル満点で、ほかではあまり体験できない管内の見所の一つです。木地山ダム周辺の全域が土砂流出防備保安林や水源涵養保安林に指定されており、複層林施業で公益的機能を重視した森林整備に努め、国土の保全と下流住民に豊富できれいな水を提供しています。

 

木地山ダム

複層林

木地山ダム

複層林


置賜森林管理署管内では平成17年にナラ枯れ被害が確認されて以来、被害が拡大し、当事務所管内においても平成23年に最も多くの被害が確認されました。枯死木は時間経過とともに枝や幹が折れ、枯死してから約5年以上経過すると林道等に根倒れするなど非常に危険な状態になっています。激害林の被害跡地では、現存植生による森林復旧の可能性が低く、山腹崩壊等の危険性もあります。一方で、枯死木に近づくことは危険ですが、枯死木にはナメコやムキタケといった森林の恵みも発生しています。また、ナラ枯れ被害地で発生する猛毒きのこ「カエンタケ」も発生しており、ナラ枯れ被害地では予測し難い事態が発生しています。ナラ枯れ被害は、国有林だけでなく、地域にとっても、次世代にとっても大きく関わる問題です。
森林の健全性の維持は、国土の保全だけでなく下流に豊かな水を供給し、地域文化の発展に大きく寄与してきました。この豊かな森林を次世代にも引き継げるよう、国有林が地域のために果たしてきた役割を改めて考え直し、微力ながら森林の整備・保全に努めていきたいと思います。

 

 

お問い合わせ先

置賜森林管理署
〒999-1352山形県西置賜郡小国町大字岩井沢581-45
IP電話:050-3160-5860
電話:0238-62-2246
FAX:0238-62-3553

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