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山形森林管理署最上支署

森林官紹介!(平成26年3月)

及位森林事務所

森林官 迎山 吉実

「及位の冬はすべて雪の中である」及位の冬を、藤村風に少々大げさに表現すれば、この言葉に尽きるような気がします。私の勤務する及位森林事務所はそんな所にあります。

 

及位の冬1

及位の冬2

及位の冬景色1

及位の冬景色2

二十数年ぶりの現場勤務が決まった時、五十歳を過ぎて体力的に少し衰えを感じ始めていた頃だったので、果たして業務を全う出来るのか一抹の不安もありましたが、事務所スタッフのチームワークにも支えられ、また、及位の豊かな自然、そして、地域の皆さんの温かい人情に接するうちに、しだいに現場感覚を取り戻し、何とか一年が過ぎようとしています。

及位森林事務所は、山形県の北部、秋田県に県境を接する真室川町及位地区に位置しブナを主体とする天然林地帯、そして、前森山団地に代表される高齢級のスギ人工林団地等を主体として約8,700HAを管轄しており、地形的には、管轄する国有林が地区全体を取り囲んでいると表現しても過言ではないと思います。所管する国有林の一部は、秋田県境にかけて加無山県立自然公園に指定され、その中に、男甑山(981m)、女甑山(979m)、男加無山(997m)等の県北部の名山がそびえ立っており威容を誇っています。古来よりこの地は、これらの山々を畏れる山岳信仰が非常に盛んだったということで、今でもこれら山々の周辺には、至る所に修験者が修行をした修験道の痕跡が残っています。
余談になりますが、難読地名で知る人ぞ知る「及位(のぞき)」の地名も修験道に由来していると言われています。昔、女甑山の断崖から逆さ吊りになって、断崖の岩窟に安置された秘仏を拝む「覗きの行」という荒行があったそうで、見事にその覗きの荒行を修めた修験者は、より高い行者の「位」を得るに「及」んだということで、その地位を「及位」と書いて「のぞき」と呼ぶようになり、ふもとの集落も及位と呼ばれるようになったとの謂われがあります。

男甑山

女甑山

左:男甑山、右:女甑山

及位から望む山々

このような山々に抱かれた森には、当然のことながら豊かな生態系が育まれており、管内の国有林にはツキノワグマ、ニホンカモシカをはじめとする多くの動物や野鳥が生息し、クマタカの営巣も確認されています。特に今に時期には、林内の雪上で多数の小動物の足跡を見かけることがあり、及位の森の生態系の豊かさを実感することが出来ます。
また、江戸時代から最上地方は巨木の産地として知られていましたが、女甑山の裾野には、林野庁の「森の巨人たち百選」にも選ばれた「女甑の大カツラ」の巨木があります。樹高約25m、幹周り13.4m、樹齢は推定で800年を超えるという説もあります。古来よりこの地域のマタギから神木として崇められてきたため、明治期に周辺の天然木が大量に伐採された時も、この木だけが伐られることなく残ったようです。私が初めてこの木を見た時は、まるで、女甑山の麓にそびえ立つ大鳥居のように感じ、辺りに漂う野生動物の気配や、往事の修験者達の修行の痕跡と相まって、不思議な印象を強く持ったのを覚えています。
一方、地域との関係に目を向けると、立木販売及び慣行販売等を通じての木材供給、山菜・きのこ栽培関連の貸付・使用等々を通じて、地域住民の生活と及位森林事務所が管轄する国有林は深い関わりを持ってきました。
しかし、この地域も少子高齢化と過疎化が同時進行しており、地域と国有林との関係も希薄になっていく傾向にあることは非常に残念なことです。
私は、この地域の国有林を管轄する森林官として、国有林が地域のために果たしてきた役割を改めて考え直し、今後、地域のために国有林に存在する有形、無形の資源をどのように活用していくか、地域の皆さんの声を聞きながら、具体化していくことが極めて重要だと考えており、その為に、これからも地域との関係を大切にして、微力ながら努力して参りたいと思っています。

お問い合わせ先

山形森林管理署最上支署
〒999-5312
山形県最上郡真室川町大字新町字下荒川200-11
IP電話:050-3160-5855
一般電話:0233-62-2122
FAX:0233-62-2706

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