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下北森林管理署

「署長が語る!」

平成28年8月

下北森林管理署

署長  小野  英典

はじめに

     下北森林管理署は、青森県北端部に位置する下北半島の1市1町3村(むつ市、大間町、東通村、風間浦村、佐井村)に所在する約8万7千ヘクタールの国有林を管理経営しています。

     管内の民有林約3万2千ヘクタールを含めた森林率は84%と非常に高く、古くから林業の盛んな地域となっています。

     下北半島の国有林は、津軽半島とともに「青森ヒバ」の一大産地であることから、ヒバを活用した産品づくりが行われているほか、「下北半島国定公園」に指定され、仏ヶ浦や恐山などの観光資源にも恵まれた地域となっています。

     平成27年度に、「ヒバ林復元エリア」が設定され、スギ人工林からヒバ林への誘導に向けた取り組みを推進することとし、現在、対象箇所の現況調査を進めているところです。

     また、列状間伐等の積極的な森林整備の推進、コンテナ苗を用いた一貫作業システムの導入、下刈の省略化など事業の低コスト化の取り組みをはじめ、森林共同施業団地の設定により民国連携した森林整備を進めているところです。

     そのほか、県、市町村など地域の関係機関と連携した森林パトロール、清掃活動、森林環境教育にも力を入れて取り組んでいるところです。

     今回は、下北森林管理署の概要や取り組み事項の紹介ではなく、下北半島の景勝地など観光的な面にスポットをあてて紹介させていただきます。

 

1  恐山 

恐山菩提寺

恐山菩提寺

     恐山は、下北半島中央部に位置するカルデラ湖である宇曽利山湖を中心とした外輪山の総称で、高野山、比叡山とともに、「日本三大霊山」といわれており、伝承によれば貞観4年(862年)、慈覚大師(天台宗を開いた最澄の弟子)により開かれた延命地蔵菩薩を本尊とする曹洞宗の恐山菩提寺です。

     本坊は、むつ市にある円通寺で明治2年に五戸に転封となった会津藩が斗南藩となり、明治4年にはこの寺に藩庁が移されるなど会津と縁のある寺です。(周辺の国有林約5.5千ヘクタールは「恐山山地森林生態系保護地域」として管理)

     毎年、春の大祭や秋詣りには、県内外からの参拝客で賑わいをみせ、イタコによる口寄せ(亡くなった人の霊を呼び出し会話を行うこと)が行われています。

 

 

 

        宇曾利山湖

   恐山のカルデラ湖である周囲12.5キロメートルの宇曾利山湖は強い酸性を示す湖ですが、世界でも珍しい天然ウグイの棲息地となっています。       

  宇曾利山湖

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2  大畑ヒバ施業実験林

     下北半島には、ヒバを主とした天然林が広がっており、ヒバ天然林施業を適切に進めるため、青森営林局(当時)技師であった松川恭佐氏を中心に、大正末期から大規模な調査研究を行い、昭和5年に「森林構成群を基礎とするヒバ天然林の施業法」を確立しました。

     昭和6年に、その成果を明らかにすることを目的に、約220ヘクタールの実験林を設定し、細分したブロック単位に森林の成長量を目安として、毎年択伐を行い10年サイクルで一巡させています。

     当実験林は、大畑川上流にある奥薬研・薬研温泉郷に隣接しており、野営場やレストハウスなどの施設もあることから訪れる人が多く、ヒバ施業実験林の一部を一般開放していることもあって散策する観光客の姿も多く見られます。

実験林説明看板

実験林内に残されている森 林鉄道跡

実験林説明看板

実験林内に残されている森林鉄道跡

3  仏ヶ浦

     下北半島西岸の佐井村南部に位置し、急峻な海岸沿いに2キロメートル以上に亘って巨岩・奇岩が連なる景勝地で、緑色凝灰岩を主とする岩石が長い間の海蝕を受けて形成されたといわれています。

     国道338号から海岸に通じる歩道はありますが、高低差が100メートル以上あり急勾配であることから、佐井村~仏ヶ浦間を結ぶ定期観光船の利用が便利です。      

仏ヶ浦展望台付近からの遠景写真

仏ヶ浦展望台付近からの拡大写真

仏ヶ浦展望台付近からの遠景写真(左)と拡大写真(右)

4  マグロの町 

本マグロのオブジェ

                                 本マグロのオブジェ

大間崎看板標識

                                   大間崎看板標識

  (いずれの写真も、遠くに見える山影は北海道渡島地方)

     マグロの水揚げで全国的に知名度の高い大間町は、下北半島北部に位置し、津軽海峡を隔てた北海道との最短距離約17.5キロメートルにある本州最北端の町です。大間のマグロは、「クロマグロ」(別名ホンマグロ)と言われる大型の種類で、大間でも440キログラムのものが水揚げされたことがあるそうです。

     大間では、「一本釣り漁法」と言われ針の先にイカやブリなどの生餌、疑似餌などを仕掛けてマグロが掛かるのを待つという漁法が一般的と言われています。

     市場での評価が高く高値のため、大物はほとんど築地市場などの大市場へ直送され、平成25年の築地市場の初競りでは、222キログラムで1億5,540万円の値がつくなど高級品となっていますが、町内でマグロを提供する飲食店(小売店、民宿など)は結構見かけます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

5  尻屋崎の寒立馬(かんだちめ)

     尻屋崎は下北半島最東端にある東通村の崎で、南部藩政時代に牧場があり南部馬を祖とする「田名部馬」と呼ばれる比較的小柄で寒気と粗食に耐える軍用馬が放牧されており、なかでも、尻屋地区で農用馬として改良された「寒立馬」が現在も放牧されています。

     「寒立馬」の名前は、昭和45年尻屋小学校長「岩佐勉」氏が詠んだ短歌の一節に由来しており、平成14年には青森県天然記念物に指定されています。

尻屋崎灯台と寒立馬

放牧されている寒立馬

尻屋崎灯台と寒立馬

放牧されている寒立馬

おわりに

     下北森林管理署の管内は、豊かな森林の恵みに加え、四方を海に囲まれているため海の恵みも豊富な地域です。そのほか、薬研、湯野川、下風呂などの温泉や景勝地なども多くあります。

     また、運が良ければ国の天然記念物である「北限のニホンザル」に出会うこともできますので、機会がありましたらぜひ一度お越しください。

お問い合わせ先

林野庁 東北森林管理局 下北森林管理署
青森県むつ市金曲一丁目4番6号
TEL 050-3160-5885
FAX 0175-22-1134

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