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仙台森林管理署

「署長が語る!」

平成28年2月

仙台森林管理署

署長  小澤 眞虎人

 

    仙台森林管理署は、宮城県の南半分、仙台市や七ヶ浜町から福島県境の七ヶ宿町、丸森町にかけて所在する森林の約三分の一に当たる五万五千ヘクタールの国有林を管理しています。その多くは船形山や蔵王山など奥羽山脈に沿った山岳地帯に分布しますが、仙台湾沿いの海岸林、仙台市内及び近在の都市近郊林、阿武隈山地北端の丘陵林なども含まれています。これらの中でいくつかの取り組みをトピック的に紹介したいと思います。

  

1 海岸林の復旧 

    仙台平野に沿った海岸はかつてクロマツを主体とする美しい海岸林に縁取られていました。この地域では伊達政宗公の時代からクロマツの植栽が始まったとされ、これが現在の国有林の基となり、より海岸側にそれ以後に造成された民有の海岸林があります。

かつての海岸林と貞山堀(仙台市)

岩沼市の海岸林

かつての海岸林と貞山堀 (仙台市)

岩沼市の海岸林 1998年5月

(提供:東北地域づくり協議会)

     しかし、平成23年3月の東日本大震災では、これらの海岸林の立木が津波によりほぼ全面積にわたって壊滅的な被害を受けました。このため、国では宮城県からの要請を受けて民有林の復旧も国が直轄で行うこととし、合わせて1,000haを超える被災林の復旧工事に24年5月に着手しました。

    復旧に当たっては、津波の衝撃に耐えられるよう樹木が十分に根を張れるようにするため、地下水位より2~3m程度の高さまで盛土を行うこととし、またマツクイムシの被害に強い抵抗性のクロマツを主体に植えています。苗木は、活着がよく植栽時期を選ばないコンテナ苗を使い、広葉樹の植栽試験等も平行して実施しています。 

    27年12月現在、約120haの植栽を終えたところであり、32年度の完成を目指して、地域住民のご協力と民間団体の方々の参加もいただいて海岸林の復旧を進めています。 

盛土の実施

海岸林に植栽される抵抗性クロマツのコンテナ苗

盛土の実施 (仙台市)

海岸林に植栽される抵抗性クロマツ

のコンテナ苗 (蔵王町の苗畑)

植栽されたクロマツ、背後に防風柵と残存マツ林

広葉樹の植栽試験地

植栽されたクロマツ、

背後に防風柵と残存マツ林 (仙台市)

 広葉樹の植栽試験地 (岩沼市)

 

民間団体との協定による国民参加の森づくり

民間団体との協定による国民参加の森づくり (名取市)

2 天然カラマツ

    蔵王山系の主稜線からやや宮城県内に入った馬の神(まのかみ)岳の肩、標高約1400mの稜線付近には北限の天然カラマツが生育しています。カラマツは中央高地が主な産地で、そこから約300kmも離れて分布しています。周辺約2haは保護林に指定されていますが、発見当初(昭和7年)30本程度あったものが現在は十数本程度に減少しており、森林総合研究所林木育種センター東北育種場が中心となって遺伝資源の保全が図られています。

    近くの国有林内には現地の樹木から採取した種による実生苗を植栽した現地外保存林が設定されています。尾根筋の風雪の厳しい環境に適応したためか成長は一般の品種に比べゆっくりとしていますが、枝が上向きに伸びる、紅葉・落葉が早いなどの特徴があり、貴重な天然資源として保全していきたいものです。

北限の天然カラマツ 馬の神岳(蔵王山)

カラマツの天然分布

北限の天然カラマツ

馬の神岳(蔵王山)

カラマツの天然分布

  (原色日本林業樹木図鑑より)               

現地外保存林、平成13年植栽

現地外保存林、平成13年植栽 (蔵王町澄川)

3 都市近郊林  

    仙台は杜の都と言われ、市内ではケヤキやイチョウ等の街路樹が落ち着いた景観をつくっています。現在の樹木は戦災復興として植えられたものですが、最初は当時の仙台営林署敷地内に余っていたケヤキを仙台市が譲り受け、青葉通りに植えたものとされています。

    仙台市内や近郊各地に所在する国有林は、良好な環境を提供するとともに、市民が森林に親しみ、活動する場として利用されています。

遊々の森で枝打ち体験

集水トンネルの見学

遊々の森で枝打ち体験 (仙台市)

集水トンネルの見学 (仙台市)

 

ボランティアによる歩道修繕

ボランティアによる歩道修繕 (仙台市)

 

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