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岩手北部森林管理署

「地域にとって、あって良かったと思われる森林管理署」を目指して!!

平成27年2月

岩手北部森林管理署

署長 山田 和夫

当署は、明治21年3月に岩手大林区署福岡派出所として国有林野の管理を始め、その後、水系によって秋田県側と岩手県側に分離されたり統合されたりしながら、戦後31年余にわたり同一町内に所在する田山営林署と新町営林署が管理してきましたが岩手北部森林管理署管内図、昭和54年に両営林署が統合されて安代営林署となり、平成11年3月には、国有林野事業の抜本的改革による組織再編で、岩手北部森林管理署と改称。さらに、平成23年4月、市町村合併による区域整序で盛岡森林管理署から松尾、西根両担当区約2万haが編入された後、一昨年4月からの一般会計化を経て現在に至り、右図のとおり馬淵川上流森林計画区の2市3町1村のうち、八幡平市、二戸市、一戸町、葛巻町の2市2町において約53千haの国有林を管理運営しています。

管内の概要

国有林は2市2町の国土面積の26%、また森林面積の33%を占めていますが、八幡平市の国有林野率が65%であるのに対して、他の3市町では2~14%とそれほど多くはありません。
  人工林は林地の44%を占める21千ヘクタールで、材積としてはスギとカラマツがほぼ同数の37%、次いでアカマツ、広葉樹となっており、齢級構成では10齢級以上が45%を占め、今年度スタートの第4次計画では主伐の伐採指定量が前期計画の7割増となったほか多くの林分が間伐時期を迎えています。
  また、十和田八幡平国立公園をはじめ風光明媚な自然景観や豊富な温泉源、良質な雪資源等に恵まれ、自然休養林やスキー場等のレクリエーションの森に指定されている森林も多く、四季を通じて保健休養の場として賑わいを見せています。
  特徴的なものとして、組織の再編や市町村合併等を経て、国有林面積の37%が秋田県能代市へ流れる米代川の源流部、27%が青森県八戸市へ流れる馬淵川の源流部、37%が宮城県石巻市へ流れる北上川の源流部と大きく3つの流域の最上流部に位置し、それぞれ森林の特徴や地域の経済圏も異なる中で、各流域の水資源の涵養、国土保全、森林・林業活性化への貢献等に大きな役割の発揮が求められています。
岩手北部署では、それに応えるため、「地域にとって、あって良かったと思われる森林管理署」であることを組織目標として、地域の要望をしっかり把握しながら、国土の保全や水資源のかん養、自然環境の保全、生物多様性の保全など公益的機能の維持増進を重視した管理経営を推進しています。
以下、一般会計化が目指すところのキーワードでもあります、民有林との連携、林業の低コスト化、「国民の森林」としての管理経営、地域との連携、地域振興への寄与等々に関する当署の主な取組について紹介します。

民有林、行政・研究機関等との連携

森林・林業の再生・活性化に向けて、低コストで高効率な作業システムの構築と普及、森林共同施業団地の設定等による民有林、国有林を通じた施業の集約化、各種事業の展開に当たって基本となります林業労働の安全性向上等について、関係機関等と連携して現地検討会や研修会等を開催しています。

間伐事業低コスト化への取り組み 

高性能林業機械の組み合わせ

ザウルスロボによる道づくり

列状間伐効果の検討

高性能林業機械の組合せ

ザウルスロボによる効率的な道づくり

列状間伐の効果等について討議

 

コンテナ苗普及への取り組み

通常苗木の植栽は、機械化が難しく重労働でしかも実行時期が限定されるものですが、低コスト造林の有効な手段とされるコンテナ苗植栽について、森林総合研究所東北支所等の研究機関と連携して実証試験を行い、その成果等を関係者に広く周知し、その普及に努めています。

 

試験地での現地検討会

コンテナ苗(スギ)

セミナーの開催

試験地での現地検討会

コンテナ苗(スギ)

セミナーの開催

 

森林共同施業団地設定による施業の集約化

隣接する民有林と国有林が連携しながら路網の整備をはじめ低コスト林業を目指して間伐等の森林施業を実施していくことが重要です。当署では、八幡平市や浄安森林組合と連携して2箇所の森林共同施業団地を設定し、民有林での効率的で集約的な森林整備の推進に協力しています。

 

室内検討の様子

林道完成後の現地検討

室内検討の様子

林道完成後の施業について現地検討

 

林業労働における安全性向上に向けて

林業労働は3Kともいわれ他産業に比べて労働災害の発生頻度も高く、一歩間違うと重大災害に結びつく危険性の大きい仕事です。安全作業の確保は全ての産業の基本です。二戸労働基準監督署や林業・木材製造業労働災害防止協会岩手県支部等と連携して、林業の現場から労働災害をなくすための研修会等を開催しています。

 

室内での事例発表等

伐根使用の正しい伐採作業

室内での事例発表や意見交換

伐根を用いた正しい伐倒作業の研修

 

林業関係者からの意見要望等の把握

森林管理署における森林整備事業や販売事業等の円滑な推進のため、年度当初に素材生産事業者、造林事業者、製材工場等の木材需用者を対象として事業概要を説明するとともに、事業実施に当たっての意見・要望等を把握し、効果的な業務運営の実施に反映させています。

 

林業関係者からの意見要望把握

 

 

森林環境教育の実施

当署では、各市町の教育委員会とも連携し、実際に森林に出掛けて見て触れて自然の不思議を感じ、また、体験活動や見学などを通じて木材の良さや自然の魅力、森林の働き等に理解を深めてもらうための森林環境教育を積極的に実施しており、今年度は6つの小・中学校、1つの地区において延べ16回実施しています。
  安代小学校の児童は、「学校の森・子どもサミット」で、体験活動の様子や学んだことを発表
しました。

 

コブだらけの大きな木

伐採現場の見学

製材工場の見学

コブだらけの大きな木にビックリ

伐採現場の見学

(あっという間に丸太になっちゃった)

製材工場の見学

(こうして柱や板に加工されるんだ)

 

ボランティアによる国民参加の森林づくり

森林とふれ合いたい、森づくりのお手伝いがしたいといった要望に応えるため、ふれあいの森や遊々の森を各2箇所協定し、ボランティア団体等による体験活動や森林整備等を通じた自然環境保全活動が進められており、署でも活動のお手伝いをしています。

「あっぴ高原遊々の森」

 

あっぴ遊々の森集合写真

あっぴ遊々の森での作業

安比高原はかつて牛馬の放牧により美しいシバ草原が広がっていましたが、畜産業の衰退とともに藪化していきました。昔の美しい環境を取り戻そうと、地域の方々がボランティア団体を組織し、シバ草原の復活に向けた環境保全活動に取り組んでいます。この活動に対して、第26回森林レクリエーション地域美化活動コンクールで「全国森林レクリエーション協会会長賞」が贈られています。

「松尾鉱山跡地再生の森」

八幡平市にある旧松尾鉱山は、硫黄鉱山として最盛期には年間100万トンの鉱石を採掘し、東洋一の規模を誇ったといわれ、当時5千人が従事し家族を含めて1万5千人が、小中高校、病院や映画館等が整備され「雲上の楽園」と称された鉱山周辺のマチに暮らすなど隆盛を極めていましたが、石油資源からの硫黄生産により打撃を受け、昭和47年に鉱業権を放棄してその歴史に幕を閉じました。
閉山後は標高千メートル前後の高地で強酸性の土壌等から森林への自然回復はままならず荒野と化していましたが、10年余前頃から様々な団体等が森林再生に取り組み始め、平成20年に協議会を設立して遊々の森を協定し、ボランティア活動による地道な森づくりに取り組んでいます。

 

植樹の様子

植樹後の森林化の様子

植樹の様子(客土・土壌改良、苗木も自ら育てて)→→→少しずつですが着実に森林化

 

地域振興への寄与

「ウルシ分収造林による地域産業への貢献」

管内の二戸市浄法寺地区(旧浄法寺町)は、「うるしの里」としてよく知られ、ここで生産される「浄法寺漆」は国宝等貴重な文化財の修理・修復等には欠かせない資源とされるほど良質なものと認められています。需要の98%を輸入に頼っている漆ですが、国内生産量の7~8割を占める浄法寺においては、全国的にも珍しいウルシの分収造林地を68ヘクタール契約し、資源の確保を通じて地域産業振興のお手伝いをしています。

 

ウルシの分収造林地

品質向上を目指して

ウルシの分収造林地

一層の品質向上を目指して(共進会での審査風景)

 

「放牧・牧草地における低コストでの森林化技術の開発」

管内には、八幡平市に貸付している450ヘクタールの採草・放牧地がありますが、畜産不振等により利用されなくなり返地に当たって森林化するためには、標高が高く多雪地帯という厳しい条件下で多大な労力・経費と時間を要します。
また、広大な草地には小動物が生息して、クマタカなどの貴重な餌場ともなっており、猛禽類の生息環境の保全にも配慮し、併せて市の負担を軽減するため、森林総合研究所東北支所等の助言を得ながら、天然更新を活用した森林化技術の開発に取り組み、その成果を市に提供する等、市の事業とも連携して低コストな森林化に技術協力をしています。

 

技術開発イメージ

播種したミズナラ

自治体等からの視察

技術開発イメージ

播種したミズナラの芽生え

同じ悩みを持つ自治体等からの視察

 

安全・安心な国土づくり

地域住民の生命・財産を守るため、治山事業の推進等により健全な森林の整備、災害に強い森づくりを進めています。

 

スリットダム完成

立木などを補足したスリットダム

土石流や流木から下流域の被害を防止・軽減するために設置したスリットダムですが、集中豪雨により押し流された大量の流木等をしっかりと捕捉しています。

 

森林や自然の美しさに親しむ

管内は、十和田八幡平国立公園を抱え、言葉では表せないような絶景を眺望できるビューポイントや森林レクリエーションの場として楽しめるところが限りなくありま
す。ごく一部を紹介しますが、是非当地に足を運んで楽しんでください。

 

岩手山山頂からのご来光

岩手山から七時雨山方面

三ツ石山から望む岩手山

岩手山山頂から望む御来光

岩手山から七時雨山方面

三ツ石山から望む岩手山

鬼ヶ城の紅葉

八幡平山頂付近

八幡平・夜沼周辺

鬼ヶ城の紅葉

八幡平山頂付近

八幡平・夜沼周辺

奥中山高原スキー場

早春のブナ二次林

夏のブナ林

奥中山高原スキー場

早春のブナ二次林

夏のブナ林

カラマツ

スギ

めったに出会えませんが

カラマツ(人工林も元気です)

スギ(こちらも元気です)

めったに出会えませんが

お問い合わせ先

岩手北部森林管理署

〒028-7534
岩手県八幡平市荒屋新町41番地8号
IP:050-3160-5895 
一般:0195-72-2221 
FAX: 0195-72-2300 

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