(別添1)

1.高性能林業機械の保有状況

(1)平成13年度の民有林の高性能林業機械の保有台数は、前年度より117台増加して2402台であった。ここ数年、導入台数の伸びは鈍化傾向にあったが、13年度はさらに鈍化した(表1,図)。

(2)機種別の保有台数は、プロセッサが877台、フォワーダが565台、ハーベスタが386台でこの3機種で全台数の8割近くを占めている。以下、タワーヤーダが185台、スキッダが166台、スイングヤーダが160台、フェラーバンチャが38台、その他の高性能林業機械が25台であった(表1)。

(3)その他の高性能林業機械25台は全て、ハイブリッド機械であった。ハイブリッド機械の内訳は、プロセッサヘッドとスインヤーダウインチを有する機械が10台、グラップル付きバケットとスイングヤーダウインチを有する機械が13台、グラップルソー(ソーチェーン付グラップルローダ)とスイングヤーダウインチを有する機械が2台であった。

(4)高性能林業機械全体の台数が伸び悩む中で、フォワーダが56台、スイングヤーダが26台、プロセッサが23台増加した。また、ハイブリッド機械は平成12年度から導入が進んだが、13年度には12年度の約2倍の25台になった。
 間伐等の非皆伐施業においては、一作業地当たりの伐採量が少なく、作業地が分散していることが多い。フォワーダは移動・運搬能力が高く、このような作業条件での集材に適しているため、簡易な作業路の開設と併せ導入が進んだと考えられる。
 スイングヤーダはパワーショベルや、グラップルローダ等に林業用集材ウインチを搭載したものである。そのため作業道の開設や、集材した材の移動および集積ができ汎用性が高い。更には、同じ架線系集材機械のタワーヤーダに比べて移動が簡単で、ブーム・アームを旋回させることで材を任意の場所に下ろすことができることなどから間伐等の非皆伐施業に適しており導入が進んだと考えられる。
 ハイブリッド機械に関しても一台で複数の作業をこなすことができ、汎用性が高いことから導入が進んだと考えられる。
 プロセッサは23台増加したが、これは平成12年度の増加台数の約半分であり、頭打ち傾向がある(表1)。

(5)一方、フェラーバンチャ、タワーヤーダの保有台数は減少した。フェラーバンチャは伐倒機能を有する機械であるが、同じく伐倒機能を有するハーベスタに比べて造材機能が無く、汎用性が小さい。また、一般に伐倒現場は急峻なところが多く、機械作業に適した現場が少ない。これらのことから新規の導入が進まず、さらに更新も進なかったため台数が減少したと考えられる。
 タワーヤーダによる集材には、広い作業スペースが必要である上に、伐区までの支障木の伐採などが必要である。間伐等の非皆伐かつ小規模伐採が増えている現在、タワーヤーダを有効に使える現場が少なくなっている。そのため耐用年数を過ぎた機械の更新が進まず、台数が減少したと考えられる(表1)。

(6)高性能林業機械の導入は進んできているものの、多くの事業体では1台又は2台しか導入されておらず、従来型機械による作業システムの一部が高性能林業機械に置き換わる形で1機種が単独で使用されている(表2)。
 機械作業をより効率的に進め、生産性の向上を図るために、今後、複数機種による高性能林業機械作業システムが普及することが望まれる。

(7)グラップルソーは、枝払い及び測尺機能がないため高性能林業機械としてはカウントされていないが、全国で400台以上導入されている。しかし、平成13年度は12年度に引き続き保有台数が減少した。枝払い及び測尺機能のあるプロセッサへの代替が進んだことが理由の1つであると考えられる(別表1)。

(8)都道府県別の保有台数では、北海道、宮崎、熊本、大分、岩手、高知、栃木で100台以上が保有されている。
 プロセッサは台数の伸びに頭打ちの傾向がみられるが、四国や九州では13年度も引き続き導入が進んだ。
 関東以北では架線系に比べて車両系集材機械が多く導入されている。また、中部以南では架線系の集材機械が比較的多く導入されていたが、13年度には車両系集材機械であるフォワーダの導入が進んだ(別表1,)。

(9)保有機関別の保有台数は会社が最も多く958台、続いて森林組合が583台、個人が289台となっている。
 林業労働力確保支援センターの保有台数は平成12年度より11台増加して、188台となっている。今後さらに導入が進み、機械の貸付体制が充実することが期待される(別表3)。

(参考1)その他の高性能林業機械とは、平成12年4月に改訂された「高性能林業機械化促進基本方針」第2の1の定義に基づき、かつ従来の高性能林業機械7機種には含まれない高性能林業機械である。
 具体的には、ハイブリッド機械、フェラー式スキッダ、リモコン式刈払機、乗用型刈払機等がある。

(参考2)ハイブリッド機械とは建設用ベースマシンに複数の高性能林業機械等の作業機(例.プロセッサヘッドとスイングヤーダウインチ(2胴ウインチ))を装備した2つ以上の機能を持つ高性能林業機械である。

参考 高性能林業機械の機種説明


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