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京都大学の学生から高台寺山国有林見学のレポートを受領

京都大学農学部森林科学科の松下准教授より、10月13日(火曜日)に「森林科学実習D.」の一環として高台寺山国有林の視察に訪れた学生44名のレポートが届きました。このレポートは、視察当日、福田所長より、学生に対して、明治時代以降、マツ林からシイ林へと大きく姿を変えてきた高台寺山国有林の森林のあるべき姿について、植生の管理、景観の保全、地元との関係など様々な観点から論ずるよう課題を出したものです(※記事へのリンク)。

レポートはいずれも力作揃いで、清水寺の裏に国有林があること自体知らなかった、もっと国有林の広報に努めるべきである、カシノナガキクイムシ被害は森林の再生過程の一つと考えることもできるのではないか、林内におけるシイの優占は自然の遷移に任せておけば良いのではないか、など様々な意見が述べられていました。多くの学生に高台寺山国有林のことをしっかりと考えていただくことができ、改めて有意義な実習であったと感じております。

いずれも甲乙付けがたい出来でしたが、ご本人の承諾を得て、以下に一つだけ学生のレポートを紹介させて頂きます。


高台寺山国有林をどのように管理していくか

                             平田 絵理
先日の森林科学実習で高台寺山国有林を見学しました。そこで高台寺山国有林の歴史、現在の状況と課題を知ることができました。
高台寺山では、国有林の中に案内板が多数設置されていたり、「京都東山国有林散策マップ」を配付していたりして、地域住民の方々が自由に気軽に散策できる環境が整っていました。また、鳥や昆虫の鳴き声が絶え間なく聞こえる居心地のよい森林だと思いました。しかし、この高台寺山国有林にもいくつかの解決すべき課題があるのです。その課題について自分なりにその対策を考えました。

最初に高台寺山を含む国有林は、版籍奉還や社寺上地令などで成立し、現在は林野庁が管理している森林です。そのため社寺を含む関係者との意見が食い違うこともある、という問題があるそうです。これは社寺を含む関係者の方々と話あえる機会を設け、管理方法を議論しあうべきだと思います。「京都伝統文化の森推進協議会」はそのような話し合いができる場として、とても素晴らしい協議会であると思います。森の所有者は林野庁であっても関係者の方々みんなで森を管理していくことが大切だと思います。

次に、マツ枯れ、ナラ枯れの被害についての課題です。高台寺山国有林はもともと、集約的な利用によりアカマツ林であったそうです。しかしマツ枯れが広まり、今ではシイ林に遷移しています。そして平成17年からはカシノナガキクイムシによるナラ枯れ被害が発生しています。この原因の一つに人間の森林放置があげられており、高台寺山では枯損木は伐倒後農薬処理とビニール密封を行っているそうです。このことに関して私が感じたことは、爆発的な被害を抑えることができるのならばカシ、ナラなどの大径木が枯死することでギャップ形成が起こり、埋土種子や稚樹が生育して森林が若返るので逆に利用できる側面もあるのではないか、と感じました。現在高台寺山で行っている対策によってナラ枯れの爆発的な被害が抑えられているのであれば、それによって有利な結果も得られるのではないかと思います。シイの花による景観の悪化が指摘されていることもあるので、ナラ枯れと上手に付き合っていくのも良いのではないかと私は考えます。

最後に高台寺山に捨てられているごみやたばこの吸い殻があったこと、そして一部ではありますが、案内板の中に私はわかりにくいと感じるものがあったことが気になりました。高台寺山のごみは一般の方々が自由に出入りできていることの証拠ではあると思いますが、モラルの啓発が必要だと思います。たばこの吸い殻は山火事の原因にもなる恐ろしいものだと感じました。これらに関して、私は散策マップと同時にこのような現状を知らせ、ごみのポイ捨てをしないように呼びかけるお知らせを配付する必要があると思います。そして林野庁が主催してごみを拾うボランティア活動を開催してはどうでしょうか。そしてそれを林野庁のホームページに紹介したり、主要公共機関でそれを描いたポスターや広告を掲示したりして多くの人にモラルを考えるように訴えてみてはどうでしょうか。この問題は住民の方々みんなで協力しなければ解決しない問題ではありますが、林野庁の方々が中心となって訴えかけることで改善すると思います。また、案内板の中にわかりにくいものがあったことに関しては、もう一度案内板を見直したり、高台寺山を訪れた人々の声を聞いたりすることが重要だと思います。

高台寺山国有林はそこからの景色や、国有林の景観はとてもすばらしいものだと感じました。また舗装された道もあり、散策しやすい環境がとても整っていると思いました。だからこそ、高台寺山の管理は林野庁だけでなく、そこを利用する住民の方々とより密接にかかわって、みんなで話し合って改善する必要があると思います。話し合いの場を設けたり、意見を投稿できるホームページを充実させたりすることが重要だと思います。
大変貴重な体験をありがとうございました。

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