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東北森林管理局

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    後世に伝える治山事業~よみがえる緑~

      林野庁では平成25年度治山事業の実施100年を経過したことを機に、全国の治山事業地の中から「後世に伝える治山事業~よみがえる緑~」として60箇所を選定しており、その中に青森県五所川原市の「知人の知恵とヒバの耐久性を伝える木製えん堤」と青森県つがる市ほか「人々の暮らしを風や飛砂から守る屏風山海岸防災林造成事業」の2箇所が金木支署から選ばれています。

      「後世に伝えるべき治山~よみがえる緑~」の選定箇所の公表について(東北森林管理局HPへリンク)

    坪毛沢木製えん堤

      坪毛沢は地域住民から暴れ沢として恐れられていたため、山腹の崩壊等の防止のため、大正5年から昭和33年の間に、現地のヒバ被害木を資材として活用し、木製えん堤を設置しています(現段階で11基確認できます)。

      この木製えん堤は令和3年5月24日林業遺産に認定されました。

      ※えん堤(治山ダム)は、河川の浸食による荒廃の危険性のある渓岩及び渓床を固定して、山腹の崩壊及び不安定土砂の移動を抑止し、下流への土砂流出を抑止しています。

      ※現在、木製えん堤群にアクセスする林道は、修繕が必要なためゲートを設置し施錠して一般車両の通行を規制しています。
      (通行可能になり次第こちらのページでお知らせします。)

    大正5年施工の現況

      大正5年施工の木製えん堤は、水衝部の部材が摩擦によって細かくなり、結束状態がゆるんで一部の部材が抜け落ちたり、袖部の破損が見られるなど損傷が進んでいますが、今でも本来の役割を十分に果たしています。

    2号えん堤(2)

    2号えん堤

    7号えん堤(2)

    7号えん堤

    10号えん堤

    10号えん堤

     

    大正5年に施工した構造図

      施工当時の記録は残っていませんが、現地において計測を行い復元しました。部材は丸太のまま使用し、結束はボルト締めにより施工しています。

    構造図

     

    ヒバの強度に着目した先人の知恵が今なお生かさせています。

    ヒバの特性についてはこちらから「ヒバ材としての特性

    昭和28~33年施工の現況

      昭和の木えん堤は、袖部などで欠損がみられるものの、部材の摩耗はあまり進行しておらず、施工当時の状態が維持されています。

    ・昭和28年施工6号木えん堤の今昔

    6号えん堤

    6号えん堤施工中

      後方にコンクリートの治山ダムがありますが、これは昭和33年4月に坪毛沢の最上流部で20万m3の山腹崩壊が発生したことから、予想された流出土砂量15万m3の抑止のために施工したもので、木えん堤を守るように設計されています。

     ・昭和29年施工4号木えん堤の今昔

    4号えん堤(2) 4号えん堤完成

     ・昭和33年施工1号木えん堤の今昔

    1号えん堤(2) 1号えん堤完成

     

    ・木えん堤3・8・9号の現況

    木えん堤8号

    昭和29年施工8号

    木えん堤9号

    昭和29年施工9号

    木えん堤3号

    昭和32年施工3号

      大正、昭和、平成と時の流れを見つめてきた木製えん堤は土砂の流出を抑止し、津軽平野の重要な水源地である森林を守りながら驚くべき耐久性を発揮して、まだまだ現役として活躍しています。

    屏風山海岸防災林

      屏風山は、津軽半島の日本海岸に面する七里長浜に沿って南北に展開する砂丘状の丘陵に継続的に連なるクロマツ帯状林と併せて、その面積約4,900haを総称して「屏風山」と呼んでいます。

      屏風山海岸林は、強風による飛砂の発生から農作物への被害が大きかったため、津軽平野の人々の生活を守るため、昭和7年から海岸林造成事業がスタートし海岸防災林の整備を進めています。

    屏風山保安林における作業風景

      作業はまず、砂丘や砂草地を造成し、その後順次クロマツを植栽し、保育事業を進めました。その結果、国有林において約1,000ha、民有林において約1,900haに及ぶ海岸防災林が構築されました。

    萱埋立の状況

    昭和8年当時の立萱、萱埋立の状況

    植栽実行風景

    昭和14年植栽実行風景

    下刈

    昭和48年施工中の下刈作業

    除伐作業

    昭和50年代施工中の除伐作業

     

    各種工法

    ・静砂工

        静砂工に含まれるものには、藁立工、萱立工、粗朶立工法がありますが、当屏風山では藁立工を用いています。

        静砂工は、区域の砂地を全面的に鎮める目的をもっている施行法です。

    静砂工

    昭和30年施工

    ・堆砂垣

        飛砂を抑止し、堆積させて砂丘を造成させる目的をもっています。当署管内においては簀垣を使用しています。

    堆砂垣

    昭和35年施工

     

    ・根固ブロック工

        海岸線の前線にブロックを裾付て砂をブロック後方に堆積させて、海岸線の根足を保護し、後方の林帯を保全します。

    根固ブロック工

    平成9年施工

     

    ・緩傾斜堤工

    緩傾斜堤工

        冬期間の波浪により浸食され崖になった箇所の復旧対策として平成4年から採用された工法で、当署管内では、厚さ50cmの2トンブロックを3割勾配で設置し波の力を斜面で弱める構造となっており、さらに上部の3mは大型ブロックで保護しています。その上部の風衝地には、割り竹むしろ伏工にハマニンニクを植栽し、背後の林帯を保護しています。

    大型連説ブロック

    1.大型連節ブロック

     割竹むしろ伏工

    2.割竹むしろ伏工  枠内にはハマニンニクを植栽

    緩傾斜堤3割勾配

    3.緩傾斜堤3割勾配  厚さ50cm

    屏風山防風林周辺に生育する主な草花

    ハマナス

    ハマナス

    カセンソウ

    カセンソウ

    ヒロハクサフジ

    ヒロハクサフジ

    ヤブカンゾウ

    ヤブカンゾウ

      津軽半島の日本海側に位置する通称屏風山防風保安林は、天和2年(1682年)津軽四代藩主信政公が新田開発推進のため、七里長浜一帯に植林を命じたことが始まりとされています。

      飢饉による乱伐等、幾多の変遷を経ながらも、冬季における日本海からの強烈な北西風と飛砂を防止するため、多くの人々の長年にわたる血の滲むような努力の結果、現在では海岸防風林として、地域振興に大きく寄与しています。

    お問合せ先

    〒037-0202
    青森県五所川原市金木町芦野200-498
    津軽森林管理署金木支署
    TEL 0173-53-3115
    I  P 050-3160-5875

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