吸収源対策としての森林整備について

1 京都議定書上の吸収源の取扱い

(1)京都議定書におけるCO吸収源としての森林の取扱い

○ 1997年12月に京都で開催されたCOP3(第3回締約国会議)で採択された議定書。先進国に対し、2008年から5年間の平均排出量を、1990年比で一定数値(日本6%、米7%、EU8%)削減することを義務づけ。

○ 吸収源の取扱いについては、

@1990年以降に行われた新規植林、再植林及び森林減少に限定し、その吸収量を削減目標に算入(第3条3項)

A3条3項の3つの活動以外の追加的人為的活動については、1990年以降に行われたものに限り、第1約束期間(2008年〜2012年)において適用可能(3条4項)

※ 伐採木材については、第1約束期間においては排出として計上することとなっているが、第2約束期間以降の取扱いについて、2003年以降に検討を開始。    

 【京都議定書の概要】

 基準年:1990年(平成2年)

 目標期間:2008年〜2012年(平成20年〜24年)

 我が国排出削減目標:6%

 【京都議定書における吸収源に関する条項】

 @ 3条3項:新規植林、再植林、森林減少(ARD活動)

 1990年以降に行われた
 ・ 新規植林(過去50年間森林がなかった土地に植林)
 ・ 再植林(1990年より前に森林でなかった土地に植林)
 ・ 森林減少(森林を他用途に転換)
 の3つの活動に限定し、その吸収量を計上。

 A 3条4項:追加的人為的活動(3条3項以外の吸収源活動)
 3条3項の3つの活動以外の人為的活動(森林経営等)で、
 1990年以降に実施された分について、その吸収量を計上。

(2)吸収量の算入の仕組み

○ 京都議定書(COP3)及びマラケシュ合意(COP7)の規定から、1990年以降の人為活動が行われた森林等の吸収量のみが、排出削減目標(我が国は6%)へ算入することが可能。

○ 我が国に認められた吸収量算入の上限値は1,300万炭素トン(基準年排出量の約3.9%に相当)

(参考) 主な国の吸収量適用上限値       (万炭素トン)
吸収量適用上限値 基準年排出量比 削減目標
日 本

1300

 3.9% 6%
カナダ

1200

 7.3% 6%
ロシア

3300

 4.0% 0%
ニュージーランド

20

 1.0% 0%
フランス

88

 0.6% 8%
ドイツ

124

 0.4% 8%
イギリス

37

 0.2% 8%
スウェーデン

58

 3.0% 8%
※米国の吸収量適用上限値は設定されていない。

京都議定書上の吸収量の算入の仕組み

(3)我が国における人為活動の考え方

○ 京都議定書及びマラケシュ合意では、「森林経営」の定義はあるが、「人為活動」の定義はなく、各国が森林経営の実態に即して判断し、適用するものとの位置づけ。
 ただし、各国は自ら用いた「人為活動」の定義について、京都議定書に基づいて設けられる専門家評価チームに対する説明責任を負う。

○ 林野庁と環境省が合同で設置した「吸収源対策合同検討委員会」では、「人為活動」として、

ア 1990年以降、適切な森林施業(植栽、下刈、除伐・間伐等の行為)が行われている森林

イ 法令等に基づき伐採・転用規制等の保護・保全措置がとられている森林

が対象となるとの考え方が示されているところ。

○ 「人為活動」については、来年COP9までにIPCC(気候変動に関する政府間パネル)で検討されることとされており、我が国の考え方が国際的に認められるよう対応。

注:IPCC(Intergovernmental Panel on Climatic Change)とは1988年に設立された国連の組織であり、地球温暖化問題についての科学的な議論を行う場である。

 人為活動が行われたと考える森林について


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