日本国民一人一人の原風景の重要な要素である「美しい森林づくり」を多様で健全な森林整備・保全を通じ推進し、「美しい国づくり」に大きく貢献するとともに、国際約束である京都議定書の森林吸収目標1300万炭素トンの達成を目指します。
平成19年度概算決定額(平成18年度予算額)
(単位:百万円)


1.森林吸収源対策への取組
 京都議定書森林吸収目標の達成のため、以下の取組により、約23万haの追加整備に必要な予算765億円を措置しました。
(1)平成18年度補正予算による対応
 平成18年度補正予算により、災害対策として間伐等が実施されることから、結果的に森林吸収源対策の追加整備の確保に寄与します。(530億円)
(2)平成19年度当初予算による対応
@ 林野公共予算における重点化
 林道、治山から、森林整備関係予算への重点化を図ります。(65億円)
A 農林水産関係事業一体となった森づくりの推進
 水産基盤整備事業及び農業生産基盤整備事業との連携により、良好な漁場環境の保全や良質な農業用水の安定的な供給を図るための森林整備等を推進し、併せて森林吸収目標の達成に貢献します。
漁場保全関連特定森林整備事業(水産庁計上)       10,000(0)
         農業用水水源地域保全整備事業(農村振興局計上)        5,000(0)
B 「美しい森林への再生モデル事業」の創設
 自主的な整備が進まない森林を「美しい森林」へ誘導するためのモデル事業を創設します。この事業は、定額助成方式により、所有者に代わり、都道府県等が事業主体となって、地域の実情に応じた創意工夫により、効率的な手法等を構築する事業です。 
未整備森林緊急公的整備導入モデル事業(森林づくり交付金)     1,971(0)
2.「100年の森林づくり」の推進
(1)「100年の森林づくり」推進対策
 100年先を見据えた森林整備を推進し、併せて森林吸収源対策に貢献します。
 具体的には、以下の事業を行います。
@ 「100年の森林づくり」拠点整備等の推進
 全国50箇所のモデル地域を選び、「100年の森林づくり」を実現するための課題を整理し、解決方法を明らかにしていきます。具体的には、関係者のコンセンサスを得ながら地域の森林を多様な森林に誘導するためのグランドデザインを描き、その取組により得られたノウハウ、手法を全国に発信します。
 また、モデル地域等において森林整備事業による広葉樹林化等や路網整備を推進します。
「100年の森林づくり」加速化推進事業 35(0)
森林環境保全整備事業(「100年の森林づくり」拠点整備関連分)(公共) 4,800(0)
(上記事業実施5カ年総額) 24,000(0)
A 低コスト・高効率な作業システムの構築による効率的な取組の実施
 路網と高性能林業機械を組み合わせた低コスト作業システムや必要な機械の開発・普及を推進します。また、既存ストックの有効活用や複数年分の一括整備による作業路の効率的な整備を推進します。加えて、林道の路肩幅員及び曲線部の拡幅を縮減し、現地の地形等に応じた効率的な整備を推進します。
低コスト作業システム構築事業 202(0)
森林整備効率化支援機械開発事業 153(0)
森林整備事業(公共) 170,356(169,210)の内数
B 森林整備事業の事業体系の見直し
 これまでの森林の機能区分に着目した事業区分を見直し、育成林資源の一体的かつ効率的な整備及びNPO等多様な主体による共生環境の整備を促進します。
※育成林とは、人手が加えられ育てられた森林です。
C 公的関与による多様な森林整備の推進
 治山事業による針広混交林化の一層の推進や造林未済地緊急対策への天然更新補助作業の追加等により、多様な森林づくりを進めます。また、自主的な整備が進まない森林を「美しい森林」へ誘導するため、定額助成方式により、所有者に代わり、都道府県等が事業主体となって、創意工夫を活かした効率的な整備を実施する手法等を地域の実情に応じて構築するモデル的な取組を支援するとともに、公的機関による森林整備を確保する効果的な新手法の構築について検討します。 
水源地域等保安林整備事業(公共) 16,102(0)の内数
森林環境保全整備事業(特定森林造成事業) 315(314)の内数
未整備森林緊急公的整備導入モデル事業(森林づくり交付金)(再掲) 1,971(0)の内数
公的関与による新たな森林整備導入検討事業 10(0)
(2)間伐等の推進
 間伐遅れの森林を集中的に解消し、森林吸収源対策の加速化を図るため、間伐等推進3カ年対策等により、団地化と路網整備、高性能林業機械の導入による効率的な間伐の実施及び間伐材の利用促進などを総合的に推進します。
森林環境保全整備事業等(公共・非公共)(省内連携事業を含む) 52,255(39,740)
森林づくり交付金 3,323(3,695)の内数
(3)森林病害虫や野生鳥獣の被害対策等の推進
 松くい虫やカシノナガキクイムシの防除対策等を重点的に実施します。また、松くい虫被害の先端地域において、飛行機で取得したスペクトル情報等を利用して、被害状況を確実かつ効率的に調査します。
※スペクトルとは、物質が反射・放射する電磁波の波長別の強度特性です。
法定森林病害虫等防除事業 751(751)
松くい虫被害モニタリング高度化調査事業 17(0)
3.国民参加の森林づくり等の推進
 ボランティア活動を促進するための環境を整備するとともに、青少年等の森林体験活動、林業グループ等の活動等を推進します。
 具体的には、以下の取組を行います。
@ 企業、NPO等の森林づくり活動のサポート体制の整備、緑化行事の開催等の普及啓発活動を促進
地域活動支援による国民参加の緑づくり活動推進事業 169(150)
A 高い指導力を持つ人材の育成、森林・林業に対する理解を深めるためのプログラム作りなどを通じ、青少年等の森林体験活動を推進
森林環境教育推進総合対策事業 14(0)
4.無花粉スギ等苗木供給の加速化等による花粉発生源対策の推進
 新技術の普及等により、無花粉や少花粉スギ苗木の供給を拡大するとともに、都市部への花粉飛散に影響している発生源地域を推定する調査の実施等により、花粉発生源対策を推進します。具体的には、以下の取組を行います。
@ 苗木供給量を飛躍的に増大させる新たな苗木生産技術のモデル的実施
広域連携優良苗木確保対策 52(50)の内数
A 組織培養の手法を用いた無花粉スギの増殖・普及
抵抗性品種等緊急対策事業 48(28)の内数
B 都市部への花粉飛散に影響している発生源地域を推定する調査を実施するとともに、地域区分図を作成
スギ花粉発生源調査事業 30(30)
森林・林業面からの花粉症対策 ←クリックしてください。
 
5.森林を支える林業就業者の確保と山村の活性化
 都市と山村の共生・対流、定住促進、雇用促進、雇用機会の増大、林業における再チャレンジに資する支援を行います。
 具体的には、以下の取組を行います。
@ 情報提供や研修等によりUターン森林所有者を支援するとともに、「緑の雇用」事業により林業就業に必要な技術に関する実地研修等を行い、林業の担い手の確保・育成・定着と山村の活性化を推進
林業後継者活動支援事業のうちUターン森林所有者再チャレンジ支援事業 60(11)
緑の雇用担い手対策事業 6,700(6,700)
A 都市と山村の連携による意欲的で先導的な地域の取組を支援するとともに、山村活性化に資する人材の育成
山村力誘発モデル事業 145(125)
B 森林資源等を活用した新たな産業(森業・山業)の創出を支援
森業・山業創出支援総合対策事業 115(135)
C 山村において貴重な収入源である特用林産物の生産・加工施設の等の整備
強い林業・木材産業づくり交付金 6,433(6,990)の内数
D 地域の想像力を活かした居住地周辺の森林・居住基盤の整備、竹林の拡大防止
山エリア再生交付金(公共) 9,822(11,000)

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