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屋久島森林生態系保全センター

ヤクタネゴヨウと保護管理の取り組み

ヤクタネゴヨウ

1はじめに

ヤクタネゴヨウは、マツ科マツ属の常緑高木で、鹿児島県の屋久島と種子島にのみ自生していて、樹高30m太さ2m以上にも達する五葉松です。
近年、主にマツクイ虫被害(マツ材線虫病)による個体数の減少が著しく、自生木は屋久島で約1,000~2,000本、種子島で約200本程度と推定され、その本数の少ないことから環境省レッドデータブックの絶滅危惧A.B類(EN)に指定されています。
自生群落分布地域については、屋久島では西部地域(平瀬国有林)、破沙岳南斜面(破沙岳国有林)、高平岳南斜面(破沙岳国有林)の3地域、種子島では西之表市古田~中種子町増田にかけての図に示す地域となっています。
参考 : 絶滅危惧A.B類(EN)は、「維管束植物で近い将来における絶滅の危険性が高い種」

2保護管理の取り組み

(1)増殖・復元緊急対策事業

平成12年度に九州森林管理局で開催した事業検討委員会での事業の方向付けに沿って、(社)林木育種協会熊本苗畑においてチョウセンゴヨウなどの購入苗木を接ぎ木の台木用として植栽し、平成13年度に屋久島・種子島の自生地から採種した穂木を前年植栽した台木に接ぎ木を実施して引き続き育苗を行い、平成15年度に種子島において59クローン120本を植栽し採種林を、また、屋久島において40クローン115本を植栽し見本林及び98クローン320本を植栽し採種林をそれぞれ造成しています。

(2)マツクイ虫被害(マツ材線虫病)駆除対策

種子島におけるクロマツ等へマツクイ虫被害が顕在化している中、ヤクタネゴヨウへのマツクイ虫被害(マツ材線虫病)防止対策として、平成15年度から種子島ヤクタネゴヨウ保全の会(代表、池亀 寛治)、屋久島ヤクタネゴヨウ調査隊(代表、手塚賢至)などのボランティア団体と連携して、クロマツを含む被害木の伐倒及び林外持ち出しを実施しています。
(また、松枯れ防止用樹幹注入剤の薬効試験にも、屋久島ヤクタネゴヨウ調査隊と連携して取り組んで います。)

(3)鹿の被害対策

見本林・採種林には、植栽時に周囲にネット(柵)を設置していますが、種子島においては、ネットを飛び越えて等で採種林に鹿が侵入し被害が発生していることから、平成17年11月5日に種子島ヤクタネゴヨウ保全の会などのボランティア団体と連携して植栽木をネットで被覆しています。

(4)ボランティアによる下刈

屋久島森林管理署で公募した下刈のイベントに公募のあったヤクタネゴヨウ調査隊、ヤクタネゴヨウ保全の会などのボランティアと協力して平成17年11月27日に屋久島に設定している見本林・採種林の冬場の下刈を実施しました。

3今後の保護管理の取り組み

九州森林管理局においては、「種子島ヤクタネゴヨウ保護林調査」(平成16年度実施)を踏まえて、植物学上重要である群落の保護を図るため「早稲田川ヤクタネゴヨウ植物群落保護林」として設定しました。(平成18年度)
今後についても、「屋久島生態系モニタリング調査」及び「種子島ヤクタネゴヨウ保護林調査」等の外、各種の研究調査を踏まえつつ、更に、ボランティア団体と共催した「松くい虫被害対策専門家会議」(平成15年8月19日に西之表市において開催)で決定された「協議会」やボランティア団体等との連携の下、貴重なヤクタネゴヨウの保護管理に取り組んでいくこととしています。

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