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知床森林生態系保全センター

結果と考察(その2)

1号区で広葉樹増加の傾向が見られたことから、広葉樹について直径階毎の本数の変化を調べてみました。(→グラフ1

昭和61年と平成18年を比べると胸高直径6~14cmの細い径級で大幅な増加が見られました。その内訳を見るため樹種別に調べたところ、増えた樹種のほとんどはその他広葉樹に分類されるもので、その大半はナナカマドでした。(→グラフ2

1号区でナナカマドが増えた要因を考えてみると、ナナカマドは陽樹であり、1号区では、平成3年にかけ伐採量以上の本数・材積減が見られたことから、そのことが比較的大きなギャップつまり林間の隙間を生じさせ、陽樹であるナナカマドの侵入を促したのではないかと考えています。
伐採率以上の減少が起きた理由についてはっきりとしたことはわかりませんが、1号区は2号区と比べ本数が多く、その大半が小中径木に偏っていることから、そのような混み合った林内環境が一つの要因になっているのではないかと思われます。

→グラフ1、1号区の広葉樹推移(径級別)
→グラフ2、1号区の広葉樹推移(樹種別)

次に針葉樹の増加が見られる2号区において針葉樹の大半を占めるトドマツについて同様の(→グラフ3)を作成してみたところ、ほとんど変化のない1号区はに比べ、2号区では昭和61年と平成18年を比べると34cm以下の層で本数が1.5倍に増えていました。

本来、ヘリコプター集材による単木択伐では、ギャップが小さく抑えられることから、林内への陽光の差し込みが限定的になり、陰樹の更新に有利に働くことが想定されます。

2号区で陰樹であるトドマツの成長が旺盛であった理由については、そのことに加え1号区より木が混んでなかったことも、成長する空間的余裕があったという意味で影響したものと思われます。

→グラフ3、トドマツの直径階毎の本数推移

一方、3号区は無施業区にもかかわらず、本数、材積共に減少傾向にありました。

その中でも特大径木の減少が目立つことから、特徴的な変化を見たところ(→表1→グラフ4)、特大径木が多くを占めるニレの木が、昭和61年時には7本あったものが、平成13年には全滅しており、材積減の大きな要因となっていることがわかりました。

現地の状況を見る限り、樹皮をはがされて枯れているものが目立つことからエゾシカによる食害が原因と推定されます。

ニレの木はエゾシカが好む樹種の代表格であり、知床では平成に入ってからエゾシカの頭数が急増し、被害も拡大していることからこの動きに合致した減少といえます。
また、3号区は、背丈ほどのクマイザサが密生していることから、このことが稚幼樹などの成長を阻害し一層の本数の減少に繋がったものと思われます。

→表1、3号区ニレの本数推移
→グラフ4、3号区材積の推移

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