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北海道森林管理局

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    平成28年度調査

    保護林モニタリング調査(平成28年8月2日から4日)

    平成28年8月2日、4日の2日間、(株)森林環境リアライズの方々に同行して、後志森林管理署管内で保護林モニタリング調査の方法を学びました。今回の調査対象となった植物群落保護林は中山峠、歌才、大谷地の計3箇所。ブナ林帯や湿地帯等、それぞれ植生環境が異なる保護林を選定しました。調査方法は、保護林内の代表的な森林状況を示す場所に予め設定されている円形の調査プロットを復元し、プロット内にある樹木の樹種・直径・樹高,植生状況といった調査項目を記録していきます。まず、調査プロットを復元するためにプロットの中心に打ち込まれている中心杭を探し出します。劣化状況により打ち直したりもします。なかなか見つからないこともあり、その場合は本調査において最も過酷な行程と化します。

    新たに杭を打ち直している様子
    新たに杭を打ち直している様子

    プロットの中心から東西南北に向かってロープを張り、プロットを復元、可視化していきます。

    調査プロットの復元の様子

    調査プロットの復元の様子

    胸高直径は直径巻尺を用いて調査していきます。木の直径が大きいときは一人で測るのも大変です。

    バーテックスでの測定の様子
    バーテックスでの測定の様子

    胸高直径は直径巻尺を用いて調査していきます。木の直径が大きいときは一人で測るのも大変です。

    直径巻尺での測定の様子
    直径巻尺での測定の様子

    今回の調査は、収穫調査時における標準地調査と共通する部分も多い調査でしたが、過去の調査結果との比較や、下層植生を意識する等異なった視点から森林を観察することができ、大変有意義なものとなりました。2日間とも真夏の炎天下での調査となりましたが、ご協力を頂いた(株)森林環境リアライズの皆様、大変ありがとうございました。

    カラマツ人工林収穫試験地選木調査(平成28年6月28日)

    平成28年6月28日、網走中部森林管理署置戸森林事務所管内の国有林において、カラマツ人工林収穫試験地の間伐の選木調査を森林総合研究所北海道支所の指導のもと行いました。本試験地は昭和42年に設定された人工林における成長量、収穫量及び林分構造の推移の解明を目的に設置された試験地です。 

    カラマツ林1


    カラマツ林2

    この試験地は昭和28年植栽、面積は標準地0.199ヘクタール(約40メートル×50メートル)、外囲林0.681ヘクタール、合計0.88ヘクタールで、これまでに間伐を一度実施しています。

    カラマツ林3

    まず、形質良好な立木を残すこととし、偏った枝張りの木、上木の下層になってしまった木、成長の衰えた木等を優先的に間引くように選木を行いました。

    カラマツ林4

    現地は、最も高いもので30メールを超える立木もありましたが、残念ながら野ねずみ被害等によって枯れているものや近年の強風等により倒れているものが目立つ状況でした。

    カラマツ林5

    調査に参加して、カラマツ人工林であるため、野ネズミによる食害等による立枯や風倒木が顕著に見られ、その中で選木・残存木の配置を悩みながら判断しなければならず、大変勉強になりました。
    初めての試験地調査を行う職員もおり、貴重な経験になったと思います。

    清川採取園(上川町)、雨紛採取園(旭川市)の着果調査(平成28年6月27日)

    平成28年6月27日、上川中部森林管理署管内の清川採種園(上川町)及び雨紛採種園(旭川市)において着果調査を林木育種センター北海道育種場4名、北海道森林管理局技術普及課2名、網走西部森林管理署4名、上川南部森林管理署4名、留萌南部森林管理署3名の合計17名で実施しました。今回の調査の目的は採種園ごとの着果状況を調べ、苗木生産に必要な豊凶度の情報提供を行うことです。今年はそれに加え、樹高・枝下高・胸高直径についても調査しました。これは、着果状況と樹木の成長の関係を研究するもので、解明されれば豊凶の予測などに役立ちます。着果状況についての調査方法は、アカエゾマツ・カラマツ40本、トドマツ30本を対象に球果(マツボックリ)となる雌花の豊凶度を5段階評価(アカエゾマツ・トドマツの場合、樹幹全体の2分の1以上なら5、3分の1の範囲なら4、4分の1の範囲なら3、全体にわずかなら2、全く着果なしなら1になり、カラマツの場合、樹幹全体に濃く着果していれば5、全体に薄く着果していれば4、全体にまばらに着果していれば3、全体にわずかに着果していれば2、全く着果が見られなければ1)で判定していきます。(5は豊作、3は並作、1は凶作)

    清川採種園での調査前の目慣らし
    清川採種園での調査前の目慣らし

    清川採種園ではアカエゾマツの着果状況を調査しました。単眼鏡や双眼鏡を使いながら確認していきますが、なかなか見つけることができず評価2、評価1と凶作傾向でした。雨紛採種園ではカラマツ、トドマツの着果状況を調査しました。ここでは評価3をいくつか見つけることができましたが、全体を通してやはり凶作傾向でした。

    雨紛採種園でのカラマツ着果調査
    雨紛採種園でのカラマツ着果調査

    樹木の成長量の測定は超音波樹高測定器と輪尺を使い行いました。超音波樹高測定器は樹木の高さを測るための器械です。
    計り方は、
    1.測定対象木の根元から高さ1.3メートルの位置に応答器を設置
    2.木の梢頭が見える位置から測定器の照準窓をのぞき、照準を応答器に合わせて測定ボタンを押す(水平距離の測定)
    3.続いて、樹冠を構成している主要な枝の中で最も低い位置についている枝に照準を合わせて測定ボタンを押す(枝下高の測定)
    4.最後に、木の梢頭に照準を合わせて測定ボタンを押す(樹高の測定)
    5.測定器が、自動的に「樹高・枝下高」を算出し、ディスプレイに数値が表示される

    以上の手順に沿って測定していきます。なお、超音波測定器は、対象木を見通せなくても応答器から出る超音波をとらえることが出来れば、樹高を測ることが出来ます。しかし、付近で大きな音を立てたときや、雨天時で雨粒の音が絶えないようなときは誤作動を起こす場合があるとのことでした。

    超音波樹高測定器(上が測定器、下が応答器)
    超音波樹高測定器(上が測定器、下が応答器)

    測定器をのぞき樹高測定
    測定器をのぞき樹高測定

    【調査を終えた隊員の感想】
    • 最初は超音波樹高測定器の操作に戸惑ったり、照準窓をのぞきながら梢頭を見上げ照準を合わせることが難しかったりと大変でしたが、慣れてくるとスムーズに操作を進めることができよかったです
    • 今回、初めて着果調査に参加しましたが、今年は着果が少なく、探して見ることが出来たものもごく僅かで残念でした。しかし、調査方法や探し方のコツをベテランの方に教えていただき、良い経験になりました。次年度も、同じ調査を実施すると伺っているので、また参加したいと思います。
    • 今回の調査では、調査対象である今年着果した球果を見られず残念だったが、昨年の古い球果はいくつか見ることができ、良い経験になった。調査方法についても、実際に身体を動かして作業することで理解を深めることができ、非常に良い勉強となりました。

    銀山採種園(仁木町)と発足採種園(共和町)の着果調査(平成28年6月17日)

    平成28年6月17日、あいにくの天気でしたが、石狩森林管理署管内の銀山採種園(仁木町)と後志森林管理署管内の発足採種園(共和町)において、石狩森林管理署から3名、後志森林管理署から2名、北海道森林管理局から4名が参加し、森林総合研究所林木育種センター北海道育種場の方々の指導のもと着果調査等を実施しました。今回の調査目的は、遺伝的に優れた種子を安定的に供給するため、種苗生産者等への豊凶情報の提供を行うことです。調査内容は、トドマツ固定調査木40本の着果状況を評価判定する着果調査、超音波樹高測定器による樹高・枝下高の測定及び輪尺による胸高直径を測定する成長量調査の2種類を行いました。

    1.着果調査

    着果調査の具体的な方法は、双眼鏡等を用いてトドマツの樹冠全体を、後に球果(いわゆるマツボックリ)となる「雌花」の量を観察し、5段階評価で豊凶の判定を行うというものです。全く着果が見られない場合を「1」として、1個でも着果していたら「2」となります。頭頂部から4分の1の範囲で着果していると「3」になります。「2」の評価には幅があり、「3」と迷う場合は「2」と判断します(評価5が「豊作」で、評価3が「並作」、評価1が「凶作」)。調査結果に統一性が出せるよう、事前に参加者全員が目合わせするのですが、なかなか球果が見つけられませんでした。昨年度は、全道的に「凶作」ということでしたが、今年度も、球果がほとんど見られず、「凶作」が予想されます。

    車の往来に注意してまずは目合わせ
    車の往来に注意してまずは目合わせ

    天候が回復して目合わせも楽に
    天候が回復して目合わせも楽に

    双眼鏡を用いて、じっくり観察すると、雌花の色が黄緑色のもの、赤紫色のものなどがありました。トドマツの雌花は、上向きで梢頭辺りに多く見られるため、調査木から離れて樹冠全体が見渡せる場所から観察することが必要でした。特に銀山採種園においては、隣接している広葉樹の葉が調査木の樹冠に重なっており、その枝葉に視界を遮られるという状況が多く、観察しにくい状況でしたが、なんとか観察することができました。

    視界が悪いなか粘り強く観察
    視界が悪いなか粘り強く観察

    首の疲労が!
    首の疲労が!

    慣れてくるとシルエットで判別できるように?
    慣れてくるとシルエットで判別できるように?

    一方、発足採種園は、園内の作業道が整備され、林床も比較的歩きやすい状況でした。また、林床や林縁部では、採種園のトドマツの種から発芽した稚樹が数多く育っておりました。
    みんなの意見をまとめて評価結果に

    熟練者が見つけた球果をみんなで探す
    熟練者が見つけた球果をみんなで探す

    親身の指導
    親身の指導

    林床のトドマツ更新が旺盛
    林床のトドマツ更新が旺盛

    2.成長量調査

    今年度から、着果の状況と調査木の成長量の因果関係の有無を明らかにするため、「樹高、枝下高測定」を行うこととなりました。具体の方法は、超音波樹高測定器を使用し、次のような手順で行いました。
    1. 調査木の胸高直径を測定
    2. 測定器に1.3メートルを初期設定(胸高直径測定高の設定)
    3. 測定対象木の根元から1.3メートルに応答器を設置
    4. 木の梢頭が見える位置から測定器の照準窓を覗き、照準を応答器に合わせて測定ボタンを押す(水平距離の測定)
    5. 続いて、樹冠を構成している主要な枝の中で最低のものと幹との交点に照準を合わせて測定ボタンを押す(枝下高の測定)
    6. 最後に、木の梢頭に照準を合わせて測定ボタンを押す(樹高の測定)
    7. 測定器が、自動的に「樹高・枝下高」を算出し、ディスプレイに数値が表示

    輪尺と応答器を構える
    輪尺と応答器を構える

    3.調査を終えた感想

    あまり使ったことがなかったため、双眼鏡のピントの合わせ方が意外にも難しかったです。雌花の色が黄緑色になっていたため、初心者には着花しているのかどうか判断するのが難しかったです。銀山採種園では、林床に1メートル程度のクマイザサが繁茂しており、初めての経験でもあったため、スムーズな移動がなかなかできませんでした。超音波樹高測定器に関しては、はじめは、測定器の操作ミスでエラーを度々出してしまいましたが、操作に慣れるとエラーも少なくなり、どんどん測定を進めることができました。
     

    4.全体を通して

    本調査のご指導を頂いた森林総合研究所林木育種センター北海道育種場の皆様、本当にありがとうございました。森林調査隊の一員として着果調査等について、一部分でありますが、現地において直に肌で感じた1日間であり、大変有意義でありました。最後に、種子の安定的な生産(着果促進)を試みた接ぎ木から3年を経過したものを見せて頂きました。種子から育てたものより着果速度が5~10年程度速くなるそうです。周りを防水シートで覆い、植生の侵入を防ぎ水量を調節するという対策が取られておりました。接ぎ木を初めて見せて頂きましたが、継ぎ目がはっきりわかる状態でとても興味深く有意義なときであり今後の成長が気になりました。

    お問合せ先

    森林整備部 技術普及課
    担当者:企画官(技術開発)、技術開発主任官、技術係長
    ダイヤルイン:050-3160-6285