北海道外から北海道の山を登りに来られる方々へ
平成21年7月17日に大雪山系トムラウシ山と十勝岳山系美瑛岳で大変痛ましい遭難事故が発生しました。 このような遭難事故の再発防止のため、主に北海道における登山の注意点について記載しましたので、十分注意のうえ、安全な登山を通じて森林レクリエーションをお楽しみください。 なお、これは登山知識・技術を持っていることを前提とし、それらの知識・技術等に加えて特に北海道の山を登るための注意点として記載しました。 |
1 真夏でも北海道の山は寒い
通常、気温は無風状態でも標高が100メートルあがることに0.6度低下します。例えば、平地で気温が20度であっても、標高2,000メートルでは気温が8度になります。
また、風速1メートルにつき、体感温度は1度下がると言われており、更に朝方は冷え込みがきつく、真夏でも0度前後になることも北海道の山では珍しくありません。
北海道は、春の訪れが遅く、秋の訪れが早いという特徴があります。大雪山系では早い年では、9月中旬には初冠雪の便りを聞くこともあり、道内の2,000メートルの山々は、本州の3,000メートル級以上の山の気象条件に匹敵すると言われていますので、防寒対策は十分すぎるくらいに用意してください。
2 必ず天候の確認を
北海道は広く、天候は地域や時間によって大きく変化しますので、気象に関する情報は最新のものを得るよう心がけましょう。
天候が荒れる場合は、登山を延期・中止することも大切な判断ですので、適切な判断をするようお願いします。
例え、今回諦めたとしても遭難しなければ、次に機会が必ず訪れます。
3 北海道の山小屋は無人がほとんど
北海道内のほとんどの山小屋には、管理人が常駐しておらず、食事や寝具の提供もありませんし、ほとんどが暖を取るストーブなどもない避難小屋程度の設備しかありませんので「荒天時に避難するため、テントよりはいくらかましで風雨がしのげる程度の小屋」という認識で利用してください。
また、ハイシーズンになると山小屋が満杯になり到着が遅くなると山小屋に入れない可能性もありますので、シュラフのほかにテントも持参することも必要です。
4 北海道の山は登山客が少ない
北海道は広く、登山の対象となる山も多いので、一部の人気のある山域以外では、他の登山者とまったく会わないことも珍しくありません。
このため、ケガや事故が起こった場合、他の登山客に救助を求めることが難しい場合がありますので、万が一に備え自力で適切な応急処置や救助要請ができるよう最低限の知識と技術・装備等を持つようお願いします。
5 登山計画は余裕をもって
北海道外から来られる登山者の方々の中には、仕事や交通機関等の事情等により、無理な日程を組まれて来道され、登山をする方がいらっしゃいます。
北海道の山は登山口から山頂まで非常に距離が長く、時間と体力が必要となります。 多くのガイドブック等には、行程時間が記載されていますが、これはあくまでも目安に過ぎず、天候や体力・技術によって大幅に変わることがありますので、行動時間には十分な余裕を持ちましょう。
また、縦走など長期にわたって入山する場合には、予備日を設定したり、エスケープルートを設定する等、不測の事態に備えた計画を立てることも必要です。
6 日帰り登山にも注意
日帰り登山であっても、天候が急変した場合など予定通りに下山できず、避難小屋のない場所で、ビバークしなければならない状況も想定されますので、万が一に備え非常食やツエルト等の緊急用品を携行するようお願いします。
7 登山計画書等の届出はしっかりと
登山の際には、一部の登山口等に設置している「入山者名簿(登山届)」にも必ず記載するようお願いします。
また、万が一、遭難等不幸な事態が発生した場合、速やかな救助活動が出来るように、地元の警察には登山計画書等を必ず提出するとともに、家族にも登山計画書の写しを渡し、行き先等をしっかり伝えましょう。
森林管理署及び支署では、「登山計画書」(登山届)は受け付けておりません。警察署への提出をお願いします。北海道警察本部のホームページから「安全登山情報」をご覧ください。
8 その他(ヒグマ対策はしっかりと)
ヒグマが生息している環境は、自然が豊かに存在するという北海道内山岳地帯の魅力の一つですが、反面ヒグマによる被害も心配されます。
一度、残飯等を食べたヒグマは、残飯等に執着し、登山者につきまとうなどの行動をとる恐れがあります。そのため、山中では絶対に残飯等を放置せず、必ず持ち帰るようお願いいたします。
また、ヒグマに出会わないよう熊よけのスズ等を携行する、ヒグマに出会った場合の熊スプレーを持参するなどの十分な自衛策をお願いします。
以上、記載した内容は北海道における登山に当たっての注意点の一部を記載したものであり、あくまでも自己責任のもと自身の技術や体力を過信せず、安全な登山を通じて森林レクリエーションをお楽しみください。
参考に安全情報もご覧ください。
お問合せ先
計画保全部 保全課
ダイヤルイン:050-3160-6286