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第14回森林再生小委員会議事要旨

「第14回森林再生小委員会」が平成26年11月20日(木曜日)に、釧路合同庁舎で開催されました。小委員会には18名(個人5名、9団体、関係行政機関6機関)が出席しました。

   今回の森林再生小委員会は、午前中に雷別地区及び達古武地域の両自然再生事業地の委員による視察が行われ、午後に釧路合同庁舎において協議が行われました。

第14回森林再生小委員会 資料

 adobe pdf 議事要旨のPDF版(PDF:201KB)

   adobe pdf 会議資料(表紙、名簿、目次)(PDF:213KB)

   adobe pdf 会議資料(「達古武地域自然再生事業」)(PDF:3,274KB)

   adobe pdf 会議資料(「雷別地区自然再生事業」)(PDF:3,128KB)

   adobe pdf 会議資料(「釧路湿原自然再生全体構想の見直し」ほか)(PDF:5,698KB)

   adobe pdf 参考資料(釧路湿原国立公園達古武地区におけるエゾシカ対策)(PDF:1,528KB)

 ニュースレター

   adobe pdf ニュースレターNo.14(PDF:2,323KB)

  

現地視察

雷別地区自然再生事業(笹地12)

 〈笹地12入口〉

(事務局)
ここは資料雷別現地-2頁の鹿侵入防止柵設置ラインの右の角に当たる。鹿柵の高さは2mであり、網はポリエチレン製だが、そのままでは動物に噛み切られてしまうため、針金をねじ込み工夫している。また、鹿柵の外側に、鹿が近づかないように針金をねじ込んでいない網を斜めに垂らしている。

 

〈平成26年度植栽箇所〉

(事務局)
ここはボランティアで植樹をした箇所で、使用した苗木はマルチキャビティーコンテナで育成したものである。釧路市街では生育状況が悪い為、概ね20cm以上に達したものを植えることにした。大きく成長した後には他に移し替えていく。密度は2500本/haで、ケヤマハンノキの山引き苗も一部植え、山引き苗が使えるかを試している。小さい苗も冬越しも兼ねて植えている。

(委員)
1m以上あるものを、きちんと植えないと枯れる。

(事務局)
意見を参考の上、経過を観察する。

(事務局)
もう1箇所鹿柵を作り、冬囲いをして冬越しさせている。

(委員)
それはやり過ぎである。やはり1m以上のものをきちんと植えて、風で根が動くことがないようにしておく。そして笹を刈れば植生する。

(事務局)
それも参考の上、今後活かしたい。

 

〈区画C40〉

(事務局)
ここは資料10頁左側写真の箇所である。写真は去年の11月撮影したものである。周辺に苗木が流されていたり、倒れていたり、抜けている苗木がある。この時期は、草本類が葉を落としているので緑が乏しいように見えるが、夏になると沢山の草本類が入っており、去年よりは随分良くなってきた印象である。ササは思ったより侵入せず、被度が伸び悩んでいる状況である。

(委員)
笹を活かすには刈るしかない。

(委員)
笹の丈を適度に保てば、小さい木も育っていく。

(事務局)
そのとおりと考える。

(事務局)
この区画は、去年と比較して徐々によくなっていると思われる地点である。去年はエロージョンが激しい状態であったが、徐々にササも入り込み、ケヤマハンノキやキイチゴの類などが入ってきている。

(委員)
農家が草地改良しようとするような場所にある樹木を、貰って植えるのが一番早い。

(事務局)
先程、視察した箇所ではケヤマハンノキの山引き苗の成長を観察して行きたい。林道の脇にケヤマハンノキ、ヤナギ、カンバ類があり、これらを山引きで持ってくると、強い樹種であり有効と考えた。まだ、結果は出ておらず、今後経過観察して行きたい。

(委員)
引くのではなく、スコップで起こして取るべきだ。

(事務局)
例えばハンノキ類は根粒菌が大事であり、根粒菌を落とさないように、できるだけ土壌がついた状態で植えていくことが大事だと考えている。

(委員)
ハルニレもそうである。

(事務局)
我々も、ハルニレやミズナラなどを植えてきたが活着が悪い。むしろ強いのはカンバやケヤマハンノキなどの先駆性の樹種である。自然の遷移を考えて、このような裸地に近い状態に強いのは先駆性樹種であり、その様な樹種から植えた方が無理なく山になると考える。

(委員)
ニレを根付かせる為には春先に土が凍っているところを取る。そのまま持ってきて植えると根粒菌を傷めず、砂利のところでも根付く。

(事務局)
どんな樹種も、根を痛めないように泥を出来るだけ付けた状態で植えるのが肝心である。

 

〈区画C43〉

(事務局)
ここはエゾシカによる食害とエロージョンの2つの原因で植栽木が枯れてしまったところである。防鹿柵は8月に完工した。資料10頁右側が去年撮った写真である。ササもほとんど生えておらず、至る所でエロージョンが発生していたが、徐々に緩和してきた箇所である。私の前任は雪により苗木が引き抜かれたのではないかと説明したが、30cm程度の雪でこのような現象が起こるのかと疑問に思ってきた。土壌凍結と関わり合いがあると思い状況を観察した。この箇所も雪解け時には表流水が流れている事を観察できた。土壌は飽和状態で、長靴で踏んでも感触が無い程であり、傾斜があるので雨が降れば簡単に流れる状況であった。この箇所は、昨年からのわずかな観察期間であるが、良好な経過が確認出来ている。次は悪化した箇所を視察する。母樹があるが稚樹はほとんど生えてこない。ヤチダモも見えるがヤチダモの稚樹はほとんど観察されない。

 

〈区画C41〉

(委員)
これでは母樹にならない。

(事務局)
生えてくるのは先駆性で風散型のダケカンバやケヤマハンノキ、ヤナギなどである。この箇所では、去年の調査でエロージョンが見られなかったが、今年の調査でエロージョンが新たに発生した区画である。この場所でエロージョンを引き起こし、さらに上のササ地の方から表流水が流れて押し流されたとも考えられる。このように良くなったところや悪くなったところがあり、エロージョンについては不安定な状態である。私は去年の委員会で植生の回復とともにエロージョンが緩和されるのではないかと提案させていただいた。しかし、ササの被度を調査したが、伸び悩んでいる状況である。ササが根付いて根茎が発達すれば収まるとは思うが、ササが伸び悩んでいるところでエロージョンが新たに発生しているところが見られる。この箇所は傾斜があるが、斜度5度から10度のほとんど平らに見えるような尾根の上でも面状侵食が起きている。緊急に対策するとなれば治山的工法を取り入れていけば良いと思うが、面状的に洗われた部分をどうするかが課題となり、場所に応じて工法を変えて行かなければいけない。

(委員長)
工法というのはここで何かやるのか。

(事務局)
調査設計に任せたいが、例えば木柵工を設置して、水だけを流し土砂だけを止めるような工法がないか等を検討したい。

(委員長)
他の場所にも木柵工をするのか。

(事務局)
場所に応じて長さ、傾斜に応じて間隔が違ってくる。また、侵食の種類が面状の場合の工法については来年検討していきたい。

(委員)
この箇所は掻き起こし過ぎてしまったが、再生地の一部にすぎないので、残りの場所で木柵工などせず、ササの中に地ごしらえして植えていくので良いのではないか。

 (委員)
掻き起こし過ぎた部分は、大きい木を構えさせると良い。笹の部分は、笹を刈って植えると良い。

(事務局)
基本的にはそのように考えている。

(委員)
ここは作業道のために削ったのか。

(事務局)
ここは、植えた後にササの影響を受けて枯れる懸念があり、バックホウでササの根茎まで掘り取った。

(委員)
全体の会議の際に、笹を根茎から掘り取ると土砂が流れることになり、逆効果だと発言してきた。

(委員長)
笹を掘りとった後に木柵工を行うのは過剰投資である。笹を根から取らなければ、このままの状況で様子を見ても良いのではないか。土壌凍結層により春先に水が流れる現象は、苫小牧など冬場の積雪深が少ないところで起きている。この地域のトドマツが生育しない理由は、春先に土壌凍結が起こった後に解け切れず、トドマツが水を吸いあげられないためである。50年程度のトドマツが枯れだしている理由も同じであると丸山氏も言っている。エロージョンのプロセスはふれあい推進センターの意見に同感である。しかし、笹を全面的に剥いで掘り起こすのは逆効果である。しかし、逆に笹がありすぎると結果的に生えてこない。それらの解決策を見つけるために、次々と事業を行うのは過剰な投資である。こういった侵食を起こさない程度の面積で刈り取って植えていくのが良い。

(事務局)
笹地10から13までは、既に掘り起こしをした。これまでの結果を踏まえて、笹地4~9では、ササの地上部だけ刈り、植栽した後、丹念にササを刈り払っていく方法を行う。また、全面的にササを刈るのではなく、坪刈りや筋刈りなどの省力的な方法で行う。

(委員長)
木柵工を行うのは、掘り起こしをしすぎてしまった場所の回復ということか。

(事務局)
そうである。

(委員長)
下流に流れているようには見えないので、今後、落ち着いてくると思われる。

(事務局)
下流には流れていない。

(委員)
3mぐらいの若木が生えると、笹は太陽が当たらない為、自然に枯れる。

(事務局)
一昨年の委員会で、早急にエロージョン対策を行うべきと意見があった。しかし、植生の回復とともにササやケヤマハンノキなどが入り込んでおり、それとともに徐々に緩和していくと、去年提案した。

(委員)
これは短期間で終われる問題ではない。

(事務局)
短期間で終わる問題ではないが、先駆樹種が入り草本類が入れば、いずれは収まると思い去年提案をした。早急に対策を講ずるのであれば治山的工法を取り入れることとなると考えている。

(委員)
予算がないのであれば時期を待つしかない。あまりにも焦り過ぎている。エロージョンの影響はそれほどない。

(事務局)
良い意見をいただいた。

(委員)
挿し木は強いドロノキを利用すると良い。

(事務局)
雷別由来の苗木を使用するという基本方針があり、この山にドロノキは無い。まずは、樹種に関わらず林にするというのが先決だと考える。最初からミズナラの林やハルニレの山を作ろうとして失敗している。自然の遷移に従い、強い先駆樹種から植林を行っていく。落ちているドングリは気温が氷点下20度ぐらいになると発芽能力がなくなる。氷点下14度ぐらいになると発芽能力がほとんどなくなるとの研究結果がある。ミズナラの母樹はあるが、稚樹は出てこない。

 

(委員)
ドングリがなっているのをこれまで見てきたか。

(事務局)
今年は大豊作であり、粒も大きく、量も多かった。去年は凶作であった。ここの箇所は、新たにエロージョンが発生した箇所であるが、このようにササが少しだけ生えただけでは不十分で、根茎が発達して土壌を押さえ、ササの被度が高くならなければ、少し斜度があるとエロージョンが発生する例である。凍上で起き上がっているが、面状の侵食の箇所であり、洗われて流路が見られない侵食のタイプである。

(委員長)
それほど大きな問題になるエロージョンではない。

(事務局)
表土を剥いだところは天然生稚樹が出てこないが、何も手をつけていないところはササの中からヤチダモが出ている。

(委員)
防鹿ネットが無い時期に出てきたのか。

(事務局)
そうである。

(委員)
防鹿ネットが無い場合は、笹が有効である。

(事務局)
この周辺はヤチダモが密生している。このような尾根にヤチダモを植えた事でお叱りを受けたが、尾根でもヤチダモは出てきており間違いではなかった。

(委員)
天然更新でこれだけ出てくれば良い。

 

<車内 ~雷別地区~達古武地区>

(事務局)
強いて、治山的工法を取り入れてエロージョン対策を早急に行うことは、合理的ではない意見があった。それを踏まえて事業を進めて行きたい。

(委員)
鹿柵の杭はどうなっているのか。

(事務局)
1mの鋼鉄製の杭を50cm打ち込み、地上の部分50cmに鉄管を被せている。

(委員)
凍上で浮いたり、傾いたりなどの影響を考慮し、基礎は入っているのか。

 

(事務局)
基礎は入っていない。2008年と2009年に委託業務で土壌凍結深調査を行った。2月下旬から3月上旬が最も土壌凍結が深い。50cmの凍土が一気に解ける現象は確認されていない。5月上旬に地表面は乾いてもその下側にまだ凍土が残っている状態で、段階的に上側から下側に移って凍土が解け、その段階において上側から乾いていくプロセスを把握している。したがって最高凍土深は50cmだが、一気に融解することはないため、打ち込みは50cmで十分と考えるが、検証していく必要はある。ササの根茎まで剥ぐやり方がこの場所では相応しくなかった。事業実行にあたってはササの表面だけを刈る。全部刈るのではなく、植えたところの周りだけ刈る、あるいは効率性を考え筋状に刈るなど工夫していく。

達古武地域自然再生事業地


 〈現地7工区:(2)H25年度間伐区〉

(事務局)
2014年1月にカラマツの間伐密度40%の間伐施工を実施した。列状間伐を採用する理由として、植栽木の光環境を好転させる為、また伐採時に育った広葉樹が倒れる等被害が無いように配慮したものだ。造材は業者に依頼した。伐採木を搬出するための作業路は林野庁で行われている森林作業道の手法を準用し、バックホウで段切りを行い、切りの盛り土が大量に発生しないように配慮し作業を行った。森林作業道は水の流れも出ておらず、良好な環境となっている。苗木が順調に生育し体制が整った後は植栽を考えている。奧に母樹帯がある為、地表処理のみで対応するかは検討課題としている。

(委員長)
間伐後、苗は植えているのか。樹種は何か。苗畑で作っているものか。

(事務局)
これから植える予定だ。植える種類については、達古武で育てている広葉樹のダケカンバやミズナラ等を植える予定にしている。気象害で釧路の苗畑の苗木が全滅した場合などのリスク管理の為に、3割程度の種子を札幌にも持って行き育てている。

(事務局)
雷別地区と同じように土壌凍結は起きているのか。

(事務局)
土壌凍結は起きていると考えられるが、地表処理は行っていないので土壌凍結により土砂が動いた等は確認出来ていない。

 

〈現地1工区:(3)稚樹調査区〉 

(委員)
ここの稚樹を見てみると、エゾシカに食べられては脇から芽が出て枝が広がっているのが確認できる。雷別地区と同じく、何度も食害にあっているが、今年は食われずによく伸びている。200cm程度になるまで食害にあわずに生育できれば、その後の更新が期待できる。

 

〈現地2工区 植栽木追跡調査〉 

(事務局)
ミズナラの生育場所で説明。

(委員長)
ミズナラを植林している場所の奥は何故、列状間伐せずにそのまま植えたのか。

(事務局)
ミズナラを植栽している箇所は間伐区の林縁になり、その奥がまた別の植栽区である。指摘のあった箇所は、植栽密度が間伐が必要な基準値に当時は達していなかった。上木や枝が成長を阻害する可能性があるので、今後の検討課題だ。

(委員長)
間伐密度に達していないとはどういったことか。光が届く本数だったということか。

(事務局)
間伐対象とする450本/ha以下であり光が届くと判断した。

(委員長)
伐倒の際、植栽木などを傷めないか心配だ。

(事務局)
今のうちに上木との関係を検討してはどうか。

(事務局)
上木との関係については、現在植栽木が成長していく段階であり、最終的な伐採の作業内容について検討課題だ。

(委員)
カラマツ材の用途は何か。

(事務局)
木材を出すことが第一の目的では無い。用材に適していないカラマツが多い為、パルプ材になる事が多いと考えている。

(委員)
植栽木が2m程に育ち、カラマツを倒した時に植栽木が全滅の可能性も出てくるのではないか。

(事務局)
伐採方法によっては被害を受けることは懸念される。その為に伐採の時期や下層の植栽木成長具合によって倒す方法を検討課題としている。現在伐採を実施している箇所はリスク回避の為に、初めから列を開けている。

(委員)
カラマツの状態があまり良くない。

(委員)
きれいに間伐していないからではないか。

(委員)
細い木は今のうちに切り、明るさを確保し、そこに植えた方が一斉に間伐したときに被害が少ないのでは無いか。

(委員)
カラマツの状態をチェックして、不良木は今のうちに出した方が良い。ここまで植栽木を育ててもったいない。

(事務局)
懸念されている通り、乱暴な伐採方法をとると、成長した下層木が枯死する可能性はあるので、不良木を抜き切りする等、植栽木にダメージを与えないように検討したい。

(委員)
不良のカラマツは伐採し、その伐採したカラマツ材を利用して防鹿柵を作り、広葉樹を植えると合理的ではないか。

(事務局)
貴重なご意見をいただいた。自然林の広葉樹を傷めずに活かす方法を検討していきたい。

 

〈現地A-2(5)稚樹調査区〉

(事務局)
樹高の低い稚樹・幼木がない。こちらの方が先ほど視察した場所より上木の密度が高い気がする。

(事務局)
ここは試験区であり、上木を伐採することも考えられる。

(委員長)
もともとどんな場所だったのか。

(事務局)
ここは昔、掻き起こしや笹刈りの試験区として設定した場所である。

(委員)
掻き起こしでの更新はしていないが、天然更新の稚樹は大きくなっている。

(委員)
囲った所と囲っていない所とで10年間でこれだけの差が出るのは大きい。

(委員)
やはり春先にエゾシカの食害がでるのか。

(委員)
冬先からエゾシカが集まってくる。

 

<車内 達古武~合同庁舎>

(事務局)
達古武については、近年エゾシカの被害が増加した。達古武地域においては植栽に重点を置いており、防鹿柵などのシカ対策も重点的に行う必要があると考えている。

 

 協議

 達古武地域自然再生事業


(委員長)
カラマツ間伐を実施せずに苗木が植えられている場所で今後苗木が成長した際に、傷つけずに伐採・集材する方法について教えていただきたい。

(事務局)
植栽した苗木の上木にあるカラマツの扱いについては、自然に枯損させるか、地域住民の意見などを踏まえ木材として利用するか今後検討していく。伐採・集材を実施する場合は、植栽木への被害が少ない方法を検討していく。視察した7工区及び8工区は、伐採後の搬出作業を視野に入れ、次回のカラマツを伐採する際に植栽した苗木を傷めない列状間伐を実施・実施予定である。

(委員長)
材として利用する結論を出すならば、植栽木の被害が少なくするよう早めに作業をするよう検討をお願いする。

(委員)
林業経営も視野に入れた検討が必要ではないか。釧路湿原のみを考慮すると今まで通りでも良いが人口が減少しては意味がなくなるのではないか。

(事務局)
環境省で実施している本事業が林業経営上可能なのかは疑問がある。将来的には人工林が自然林に向かう方法を示していきたいと考えている。

(委員長)
林業経営の議論の必要性は感じるが、道東全体・林業全体の問題としての議論が必要である。

(委員)
環境学習プログラムの9月実施参加人数が14名と少なく、環境学習の規模としては疑問だ。参加少数では実績を積み重ねる件数にしかならない。広報等を踏まえ、予算に見合う25~40名程度の参加者を集めて、学習プログラムが展開されたと言えるのではないか。2月8日冬の調査体験では、効果的に実施して欲しい。

(事務局)
9月の子ども体験隊については、設定日が釧路市の小学校の父母参観日と重なり参加者が少ない結果となった。日程調整については今後注意していきたい。冬の調査体験については、例年25名程度の参加者がいるが、広報を含めて参加を募っていきたい。

 

 雷別地区自然再生事業

 

(委員)
ここに笹地が出来たのは、平成12年の気象害を受けて枯れた沢山のトドマツを伐倒処理した結果であると聞いた。気象害を受けた直前のトドマツ林齢がどれくらいであったか。また、樹木そのものや地盤が良好で安定した状態であったのか。

(事務局)
トドマツの林齢は70年生以上あり、地盤等に特段問題になる点は無く、気象害以前は安定している状態であった。気象害によりトドマツの通水機能が破壊される現象が起きたことから、木が弱ってきたと推測される。

(委員)
今後の方向性を考える為に必要な情報であると考え改めて質問した。

(委員長)
林野庁が雷別地区で自然再生事業を始める前に、トドマツの年輪の状況を確認した。枯れた要因は、水を吸い上げられない状態になっている事であると考えた。この地域は、ナラ等の広葉樹が中心の林であり、針葉樹のトドマツは50年生を過ぎると道東地域では枯れ出す傾向がある。植栽するとしても、早めの伐採が適している事を確認した。この地域ではヤチダモの人工林が沢山あったのか。

(事務局)
12箇所のヤチダモの人工林があるはずであったが、5箇所が未確認である。調査は、列が明確に残っている資料38ページ、表の「294は」から「297ぬ」までについて行った。

(委員長)
これは、本数を議論したのか。どの樹種が適当なのかを議論したのか。

(事務局)
ヤチダモを例に密度の問題を調査した。ヤチダモが育たない原因は植栽密度ではなく、何らかの別の原因があると考えた。

(委員)
自分の山で経験しているが、北風の当たる所は成長しない。湿地帯の風の当たらない所は太く高く成長する。

(事務局)
現状について、冬に予備調査を行い、夏に本調査を行った。ヤチダモが育たない場所には、北向きの斜面部分も一部あるが、ヤチダモの適地とされている谷地の周りに設定された人工林でも育っていない。

(委員長)
現状を見るとヤチダモは自然の笹地の中でも生えている。来年も同じような調査を予定しているが、計画的に行った方が良い。現状から見ると、人工的な事業の実施は必要無いと考える。少ない本数でもしっかり成長するならば合理的だ。樹種の問題と密度の問題と一緒になって議論されているので、整理し必要性を検討すべきだ。生育場所に特徴的な要因はあるのか。

(事務局)
ヤチダモの発生状況の傾向はつかめていない。

(委員)
沢地の方がヤチダモの成長は良い。尾根は高く湿地ではないが、ヤチダモが沢山あった。あれは天然更新か。

(事務局)
天然更新である。ヤチダモの適地と言われる所での結果はあまり良くないが、実際に山へ行くと、尾根で天然更新が沢山成長している。その辺りの関連付けが難しく、なぜ尾根で育つのかもわからない。

(委員)
湧水が出ている所があるか調査をしているか。

(事務局)
シラルトロエトロ川源頭部に当たり、湧水の場所は見つけていない。

(委員)
土の質にもよるのではないか。

(委員長)
原因はわからないが、凍結層が必ず出来る事は気になる。常に雪解けの水分が続くのは、ヤチダモに好適地になるのではないか。エロージョンについては、よく調べられている。土壌凍結が起こり、それがきっかけで浸食が起こったと考えるのは同意見だ。他の委員からも意見があったが、ハンノキも含めて生育状況が戻ってきているならば、エロージョンについての過大な心配はせず、様子をみても良いのではないか。

(事務局)
前々年の森林再生小委員会で、早くエロージョン対策を施し、早く森林に戻すよう指摘があった。去年は現地の状況を踏まえて、笹が成長し被度が増えることに伴い、エロージョンも落ち着いてくるのではないかと提案した。前々年の指摘による緊急な対策として、色々な治山工法を取り入れ対応してきた。

(委員長)
現場を見ると、あの程度の面積に浸食を受けても下に流れる事はない。一番気になるのはシラルトロ湖に流れていく事だと思うが、それは全く起こっていない。防止工に入れる必要はない。

(事務局)
金的資源も限られており、出来るだけ早く自然の笹が回復し、エロージョンが自然力によって解消される方向で進めていきたいと考える。

(委員)
現地を見ることで、皆現状を理解できる。これからは、現地も見ることが一つのテーマだと思う。

(委員長)
出来るだけ、その方向で進めていきたい。

(委員)
46ページ、雷別地区の森林再生小委員会の検討、本日の議論を踏まえると、「現状と課題-修正すべき点など」の部分で、エロージョンの位置づけを若干修正したいと考えている。「天然更新の実施」についても天然更新は不成績に終わったものと結論付けているが、一つの方法として「地掻き」が相応しくなかったということであり、現地での意見にあった笹を刈るだけの方法等を試してみたいので、記述については再度検討したい。

(委員長)
検討し、変更をお願いする。「地掻き」が全て駄目であるという印象になりえるので、但し書きを加え、「凍結土層が出来てしまうような地域では…」等、誤解が生じないようにするべきである。

 

その他 

釧路湿原自然再生全体構想の見直し及び経過報告について事務局から報告があったほか、以下の質疑応答があった。

 

〈釧路湿原国立公園達古武地区におけるエゾシカ対策について〉

(委員)
去年、環境省でエゾシカの捕獲施設を作り、エゾシカが他の天然林地区に移動している可能性が考えられる。他の地域に影響を与えている可能性があるが、周辺地域についての調査は実施しているか。

(事務局)
事業地外では調査していないため確かなことは言えないが、事業地内での自動撮影カメラでの調査では、捕獲前と比較して捕獲後にエゾシカが減少した事は確認できず、むしろ確認頭数は増えた。捕獲の影響でシカが外に移動したということはないと思う。

 

お問い合わせ先

林野庁 北海道森林管理局 釧路湿原森林ふれあい推進センター 
電話:0154-44-0533
FAX:0154-41-7305

環境省 北海道地方環境事務所 釧路自然環境事務所
電話:0154-32-7500
FAX:0154-32-7575

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