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第13回森林再生小委員会議事要旨

「第13回森林再生小委員会」が平成25年12月12日(月曜日)に、アクア・ベールで開催されました。小委員会には19名(個人7名、9団体8名、関係行政機関4機関4名)が出席しました。

  第13回森林再生小委員会写真1 第13回森林再生小委員会写真2

議事1:達古武地域自然再生事業の実施状況について

 事務局から達古武地域の自然再生事業の実施について説明が行われた後、内容について協議が行われた。

 

(委員長)
施工後の実生の発生状況について、ササ刈りよりかき起こしの方が良好という結果から、今後はどのように考えているのか。
 
(事務局)
母樹から近い区域に関しては、かき起こしは有効である。ただし、より広葉樹の定着が期待できる植栽を施工方法の基本に考えている。


(委員)
かき起こしやササ刈り、植栽は全て防鹿柵の内部で行っているのか。
 
(事務局)
かき起こしやササ刈りは、一部防鹿柵外もあるが、植栽は全て防鹿柵内部で行っている。
 
(委員)
防鹿柵を設置することで内部は守られているが、外部については残っている落葉広葉樹が被害を受けるという事例もある。植栽方法の工夫や防鹿柵の形状、設置方法も検討してはどうか。
 
(事務局)
やはり植栽直後の植栽木は脆弱なので、これを保護するには防鹿柵は有効と考える。植栽木がシカによる食害に耐えられる樹高まで成長したら、他の植栽箇所に防鹿柵を移動させることは当初は予定していた。現在、間伐により光環境を改善することで植栽木の成長を促進させる、大きめの苗木を植栽するなどして、防鹿柵を外すまでの期間を短縮できないか考えている。
 
(委員)
サクラの木は5年生でも、枝の採食や樹皮はぎの被害を受ける。しかし、リンゴ等、実のなる木は食害を受けない。
 
(事務局)
たしかに樹種により被害差はある。一般的にニレは食害を受けやすい。多様な樹種を植栽するとともに、食害を受けにくい樹種を植栽することも必要と考える。
 
(委員長)
基本的には、シカの個体数を減らすしか方法はないのではないか。捕獲事業はどこまで進んでいるのか。
 
(事務局)
シカの個体数調整に向けて各種調査・検討を行っているところ。今冬には試験捕獲を予定している。後程詳しく説明する。
 
(委員長)
防鹿柵外でシカによる被害があるのであれば、植栽木の植栽方法や防鹿柵の形状について意見交換をするのが良い。
 
(事務局)
今年の冬は達古武全体で食害は一様にあり、防鹿柵内にもシカが侵入した。防鹿柵内部と外部の比較については、今後実施していきたいと考えている。
 
(委員)
今年の9月に時間雨量30mmが2時間ほど続く大雨など、降雨・出水が多かった。降雨による土砂流出等の被害は発生しなかったのか。
 
(事務局)
土砂流出、植栽木の傾斜等の被害はなかった。
 

議事2:雷別地区自然再生事業実施計画策定後5年間の事業実施内容の点検

事務局から雷別地区事前再生事業実施計画策定後5年間の事業内容の点検結果について説明が行われた後、内容について協議が行われた。

 (委員)
これまでの苗木の育成目標に対して実際に出来た苗木の本数があまりに少ないのではないか。単に技術的な問題なのか、苗木の選び方の問題なのか。


(事務局)
技術不足、施設不足に加え、職員の移動で替わることにより苗木作りへの意識・意欲の低下があったのではないかと感じる。また、冬越しの失敗や夏場の管理の不徹底、シカの食害などいろいろな事が重なった結果である。採種に参加していただいたボランティアの皆様には大変申し訳ない。
 
(委員)
解決策としては、苗の購入ということか。業者も同じような失敗をするかもしれないのでは。


(事務局)
雷別地区もしくは標茶町で採種したものから育成した苗という条件を付けて購入したい。今までのところ結構良い苗を購入できている。ただし、業者も先に言わないと作ってくれない上に、役所というのは競争入札なので、かならず買うという約束はできない。


(委員)
技術的に大変であればあるほど技術がしっかりした業者に作ってもうらわないといけないし、なんとか契約を工夫してもらいたい。


(事務局)
理想をいうとそうしたいが、制度上は難しい。ただ、これまで購入している苗は問題ない。
 
(委員)
ミズナラなどは肥沃地ではないと育たない。雷別の砂地に植えてもミズナラが育つのは難しい。その辺も考えてやってもらいたい。
 
(事務局)
今までは活着はうまく行っている。その後伸びるのか伸びないのかはシカの食害があって確認はできていないが、活着は良い。
 
(委員)
この事業では雷別地区あるいはその周辺の苗木を使うということで、丁寧なアナウンスに努める考えであり、そのことを踏まえて、業者さんには競争入札に参加していただきたいと考える。
 
(委員長)
森林管理局は、苗木作りや森林を作っていくプロであると考える。今回の失敗を将来的に活かしながらきちんとやって頂きたい。広葉樹による植林ということは林業としてはほとんど経験がないため、困難が多々あるはず。苗木生産の契約に関して随契が出来ない等、事務手続き上の問題で済まさず、何とか業者さんがリスクを抱えないような形を検討していただきたい。
 
(委員)
私たちも苗畑を持って苗作りをしている。今までに4万株ほどの苗を生産した。その中でもやはり失敗はしている。失敗の一番の原因は苗の放置であった。水と温度の管理が十分でないと感じた時に対処すべきであった。

(事務局)
今年、達古武のトラストサルンさんの苗畑での草取りボランティアに参加した。非常に成績も良く感心した。


(委員)
小さい苗も良いが、シカのことを考えるとある程度大きい苗の方が有利と思う。また、密植することで生き残ることも経験している。


(事務局)
発生密度でいうと、雷別では地がき区画でhaあたり460本程度と非常に少ない。皮肉なことに地がきしない昔の土場跡から大量のシラカンバが出て3mほどになっている。残念ながら地がき区画ではなかなか出てこない。


(委員)
牧草を作っているが、傾斜がきつくて放置したような箇所でも10年以上たっても木の苗が出てこない場所がある。それは土壌が赤土の場所である。

(事務局)
土壌が重要であると今回非常に強く感じている。

(委員長)
浸食についてはどのような方法を用いるのか。

(事務局)
エロージョンの対策としては、まず植生の回復を待って補植をしていきたい。掘る、被せるなど何かの工法を用いてやろうとすると逆に悪化させる可能性があると考えている。

(委員長)
ササの伸長を待って、苗木を植える時にササの一部を剥いで植えるということか。ボランティアによる作業を予定しているのか。

(事務局)
補植の際はササが入り込んでいると思うので、苗木の周りは刈る予定である。ボランティアの協力も考えている。

(委員長)
現状として浸食は地がき区画で発生はしたけれども、その後の植生の回復によって徐々に収まりつつある。そこは今後新たに植栽を加え、森林化していく予定であるという理解でよいか。

(委員)
私たちも作業道で浸食を受けた箇所があり対策を行った。粗朶束(そだたば)を作り、水道を塞ぐ様に設置した。粗朶の間にシカが食いにくいケヤマハンノキを植えた。現在はしっかりと固まり土砂の流出が起きなくなった。

(委員長)
今年はなかったが、来年は現地で意見交換したい。室内で聞いてもイメージがなかなか湧かないので。今回天然更新の完了基準を書き直す際は何を基準に考えていくのか。

(事務局)
その部分がはっきりと書けない。経験がないので樹高が何mで密度が何本が良いとか分からない。唯一の目標として、近くに目標とする森林があるので、そことの対比で見ていきたい。

(委員長)
植栽本数の根拠が良く分からないので、もう少し整理して欲しい。天然下種更新に頼る場合は更新指数を使って、植栽に頼る場合はどれくらいの密度が適当なのかという理屈を分かりやすく書いてもらいたい。

(事務局)
林野庁では広葉樹植栽や広葉樹の混植といった経験がほとんどない。委員の皆さんからもエビデンスがあれば参考にして活用していきたい。

(委員長)
今の植栽本数はカラマツか何かを植える時のイメージか。自然林に戻すということは林野庁にとって初めての経験だと思う。様々な形で課題が発生するのは致し方ないことだが、その中で苦労して得た知見が、担当者が替わる時にうまく伝わるようにしてもらい、林野庁、森林管理局全体で共有してもらいたい。委員会の中でも現地で意見交換するなど、様々な知見が共有できるようにしてもらいたい。

 

議事3:雷別地区自然再生事業の実施状況について

 事務局から平成25年度の雷別地区自然再生事業の実施状況について説明が行われた後、次の議論が展開された。


(委員)
エゾシカライトセンサスの結果によると、昨年がかなり減少しているが結果の信頼性についてはいかがか。全道的にみた場合のエゾシカの頭数の推定値と雷別地区では傾向は一致するのか。


(事務局)
全道における頭数のピークは2009年から2010年であった。北海道環境生活部が実施する調査はかなり広域にわたっているが、雷別地区の調査では延長が10km程度しかなく、その辺の差が出てくると思う。調査は2日間だけであり、データの信憑性がないことも否定できない。

(委員)
JRが統計を取っている線路上でのシカとの事故ではかなり相関が出てくると思う。雷別地区の昨年の急激な減少は理解できない。2011年から頭数が激減した2012年であれば、食害も大きく違ってくるはずなのに、実際食害は減っていない。

(事務局)
確かに頭数は激減しているのにも関わらず、食害は依然激しく受けている。別な指標や手法も検討していきたい。

(委員)
農地周辺では、確かに狩猟期間に入るとシカはいなくなる。8月下旬などに実施するのが良い。

(事務局)
参考にしたい。

(委員長)
北海道の担当者は、調査手法自体はそれなりの信憑性があると説明してくれると思う。ただ、第一義的には苗木が現地で食害にあっていることそのものが問題であり、それらも判断に含めて考えると良い。
他に意見ががなければ今の方向でお願いしたい。

 

議事4:その他

 釧路湿原自然再生全体構想の見直し

 事務局から次の報告がされた。

 2005年3月に釧路湿原の自然再生を進める指針として策定された「釧路湿原自然再生全体構想」では、10年毎に施策と評価方法を見直すこととされている。次回の第19回協議会において見直しワーキンググループの設置が提案され、これまでの自然再生全体の振り返りや、社会背景の変化の反映等を行う予定である。

釧路湿原国立公園におけるエゾシカによる被害状況と達古武地域における試験捕獲

 事務局から次の情報が提供された。

〇今までの経緯
  ●近年、釧路湿原国立公園及びその周辺地域におけるエゾシカによる農林業被害や交通事故等が増加。
  ●平成23年度から「釧路湿原エゾシカ対策検討会議」を設置して対策を検討。
  ●昨年実施された捕獲手法調査により、シカの捕獲適地として達古武が挙げられた。

〇これまでに実施した調査
  ●冬期には湿原内で目立った食害なし。ただし、調査年は積雪量が多く、シカの湿原への出現数は少なかった。
  ● ハンノキ林では、ハンノキの他、クロミノウグイスカグラ、ツルスゲ等の採食を確認。
  ●丘陵地ではハルニレ、ハシドイが全周樹皮剥ぎされるなど被害が目立った。
  ●2004年と2010年の空中写真を用いて、湿原内の1km四方の調査区5箇所でシカ道の長さを比較したところ、6年間で2倍以上となった。

〇平成25年度達古武地域エゾシカ試験捕獲 実施方針
  ●目的
   ・釧路湿原国立公園におけるエゾシカ個体数調整の手法検討。
   ・捕獲体制、食肉利用等の有効活用に関する体制構築を図る。
  ●達古武地域の選定の理由
   ・自然再生事業で各種調査が継続実施されており、個体数調整による効果の評価が容易。
   ・平成24~26年度に間伐が実施され、積み置きした間伐材の樹皮や枝条にシカが誘引。
   ・作業道を利用することにより、捕獲個体の生体搬出が可能。

 

第13回森林再生小委員会 資料

adobe pdf 議事要旨のPDF版(PDF:342KB)

adobe pdf 会議資料P1-12(達古武地域自然再生事業)(PDF:1,493KB)

adobe pdf 会議資料P13-64(雷別地区自然再生事業その1)(PDF:4,662KB)

adobe pdf 会議資料P65-80(雷別地区自然再生事業その2)(PDF:2,919KB)

adobe pdf 会議資料P81-82(釧路湿原自然再生全体構想の見直し)(PDF:202KB)

adobe pdf 会議資料P83-89(釧路湿原国立公園におけるエゾシカによる被害状況と達古武地区における試験捕獲について)(PDF:1,829KB)

 

ニュースレター

adobe pdf ニュースレターNo.13(PDF:2,485KB)

 

お問い合わせ先

林野庁 北海道森林管理局 釧路湿原森林ふれあい推進センター 
電話:0154-44-0533
FAX:0154-41-7305

環境省 北海道地方環境事務所 釧路自然環境事務所
電話:0154-32-7500
FAX:0154-32-7575

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