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中部森林管理局

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    令和2年度 森林技術交流発表会の発表成果の活用について

    中部森林管理局では、令和元年度より森林技術交流発表会で発表された各課題について、審査委員による講評(国有林の部:信州大学加藤正人教授、民有林・学生の部:名古屋大学大学院田中隆文准教授)と今後の当局の業務における活用の方向性を整理しております。このたび令和元年度の活用状況ならびに、令和2年度の発表課題の活用の方向性を整理しましたのでお知らせいたします。

    今後とも、成果の普及による森林・林業・木材産業の発展に資するため、発表課題の募集、その成果の普及及び業務への反映に積極的に努めて参ります。

    令和2年度中部森林技術交流発表会の発表成果の活用

    【全体版】(PDF : 312KB)


    番号 課題名 発表者 発表概要 審査委員の講評
    (国有林:加藤委員民有林・学生:田中委員)
    今後の活用の方向性 発表
    要旨
    1 軽量フレームを使用した等厚コンクリート擁壁の開発 伊那谷総合治山事業所 〇治山技術官
    立邊真悟
    係員      
    津村直樹  
    係員
    両角和也
    治山事業(山腹工)の土留工として長年コンクリートブロックを適用してきたが、建設業界の高齢化等に伴い、取扱える技術者の減少から工法の選定に苦慮している。コンクリートブロックを使用しない新たな工法開発を発表。 着想が非常によい。軽量化や木材の利用、曲線での施工など新しい発想と考えに沿った工法を採用し、実際に試して紹介をした良い発表。これからも継続した取組を期待。 治山技術の継承と現場技術者の負担軽減のため施工可能な現場については積極的にこの工法を取り入れていくため、令和2年度に治山工種定規図集へ掲載。 (PDF : 297KB)
    2 マルチスペクトルカメラ搭載垂直離着陸(VTOL)型UAVを利用した森林管理の効率化・高度化の試み 愛知森林管理事務所
    森林技術指導官
    日置順昭
    一般職員
    埴岡千尋
    (有)森山環境科学研究所
    森山誠
    段戸国有林において、マルチスペクトルカメラを搭載したVTOL型UAVを用いた広域調査による森林管理の効率化とマルチスペクトル画像とインターネット地図を用いた病虫等被害木早期発見の試みを発表。 新しい技術を国有林の中で利用するのはチャレンジングだと思います。撮影時期も含めて示唆を与えるものなので今後も取り組んでいき、研究成果が現場へ生かされることを期待。 広く一般に取り組みを紹介するため、中部森林管理局のHPに発表内容を掲載。(令和3年度) (PDF : 411KB)
    3 山腹工におけるUAV(無人航空機)の活用事例 中信森林管理署
    治山技術官     
    向山剛
    一般職員      
    森上慶士
    一般職員
    加東良彬
    山腹工の施工状況の確認については、これまで目視により実施していたが、今回UAVを活用し確認したのでその取組内容を報告。 現場で一番必要とされる内容だと思いました。国交省では実用化が進められているので、管理基準を整備していき、安全、正確性を考え、運用を進めて実績をあげ、正確なデジタルデータの活用の進展に期待。 UAV等新たな調査機器を活用した調査測量手法の試行を検討。(令和3年度以降) (PDF : 187KB)
    4 治山工事における無人航空機(UAV)を活用した三次元測量の取組 木曽森林管理署
    治山技術官  
    帆足郁
    (株)吉澤組
    吉澤純
    令和2年度に実施した山腹工事において、受注者の創意工夫の取組みとして無人航空機搭載型レーザースキャナによる三次元測量(土量の把握)を実施し土量の算出を行ったので、その取組内容を発表。 ドローンレーザーと従来の測量との比較について、安全面を強く言及されていました。とても大事なことなので、費用や日数も含めた形で、ドローンレーザの有効性を確認できたことから、積極的に治山現場に活用されることを期待。 UAV等新たな調査機器を活用した調査測量手法の試行を検討。(令和3年度以降) (PDF : 219KB)
    5 無人航空機活用による野鼠駆除の省力化に向けた取組 東信森林管理署
    一般職員
    舟木武    
    一般職員 
    志水茉衣子
    東信署では殺鼠剤の人力散布による野鼠駆除を実施しているが、職員の負担が大きいことが課題である。現在、省力化に向けて無人航空機による散布方法の開発に取り組んでいる。今回はこれまでの経過及び展望について発表。 ドローンで苗木をAIで把握する研究開発も進んでおり、苗木位置を紐付けできるようになれば、薬剤を的確にポイント散布することも将来的に可能になっていくのではと思いました。ドローンの薬剤散布の研究進展を期待。 令和2年度に開発した機材による散布試験の結果を踏まえ、その実用化について検討。(令和3年度) (PDF : 204KB)
    6 携帯電話不感地域の工事現場における通信環境導入試験について(第一報) 富山森林管理署
    署長           
    門脇  裕樹
    治山技術官
    祐成亮一
    NTTアドバンステクノロジ株式会社
    小田部悟士
    仁平勝利
    携帯電話不感地域で実施している工事現場において、工事従事者の安全対策や効率的な施工管理の環境整備のため、フレキシブルに設置・撤去が可能な小電力データ通信装置の導入について今年度実施した試行的取組の結果を発表。 山の通信環境はICT林業の課題の1つです。これがうまくいけば、治山だけでなく森林の現場、伐採現場でも、事故発生等の連絡手段になるため、通信環境の整備に引き続き取り組んでいただき、治山事業や奥山での伐採箇所における通信環境整備の試みと提言を期待。 ICT施工による労働力不足や効率的な事業実行への対応の一環として、現場条件等を精査し工事現場等における遠隔臨場を試行。(令和3年度以降) (PDF : 169KB)
    7 恵南豪雨災害を振り返る ~発生から20年~ 東濃森林管理署
    治山技術官     
    菅野暢晃
    治山技術官     
    中澤栄貴
    平成12年9月に恵南豪雨が発生し東濃森林管理署管内も甚大な被害を受けた。今年は災害発生から20年の節目であることから、災害を振り返ると共に、復旧の取組状況や現在の取組内容について発表。 過去の災害事例について、写真やデジタルデータから整備された山腹工と森林管理署の先輩諸氏の働きによって、災害から森林がよみがえっていった様子がよくわかりました。治山工事の必要性について一般の方にも理解してもらうには良い発表。 甚大な被害を及ぼした災害の記録や復旧の様子は、今後の災害対策並びに、地域の防災意識の啓発に必要なため、過去の災害を交えた治山事業の地元説明会などを必要に応じ開催。(令和3年度以降) (PDF : 246KB)
    8 岐阜署における『多様な森林づくり』への取組について 岐阜森林管理署
    〇一般職員 上戸公介
    総括森林整備官
    土田愉貴宏
    災害に強い森林づくりをテーマとした岐阜署における多様な森林づくりへの取組について、具体例を挙げて検討し、その際に生じうる課題についての考察を発表。 主伐や間伐を行う中で、最終的には現地で確認するということもありますが、現在はデジタルデータが整備されつつあるのでそれらも活用しながら、現場でいろんな発想のもとに、現地の情報を生かすことを期待。 飛騨川森林計画区における次期計画策定に際し、発表成果も踏まえて、多様な森づくり見える化プロジェクトにおいて多様な森づくりに資する施業方法について検討。(令和4年度) (PDF : 255KB)
    9 複層林下木の密度管理による成長と林床の状況調査の結果について 森林技術・支援センター ○森林技術普及専門官安江清文 複層林における下木の本数密度が、水土保全機能の回復に与える影響を確認するため、伐採強度の異なる区域を設定し、下層植生及び土砂移動等の林床の状況について調査を行ったのでその内容を報告。 高齢複層林の下層植生の成長状況を3次元モデルで紹介したが、ドローンやレーザ計測なども使うことで、異なる視点や解析についても期待。 飛騨川森林計画区における次期計画策定に際し、発表成果も踏まえて、伐採方法について検討。(令和4年度) (PDF : 220KB)
    10 ササ生地のヒノキ造林地における省力保育を目的とした下刈りスケジュールの検討 森林技術・支援センター ○森林技術普及専門官安江清文
    岐阜県森林研究所
    専門研究員渡邉仁志
    岐阜県の高標高地域に多くみられるササ生地における保育の省力化のため、県下3箇所のヒノキ造林地において、下刈り頻度がクマイザサとヒノキ植栽木に及ぼす影響を調査し、効率的な下刈りスケジュールを検討。 下刈りの省力化は難しいことを明らかにしたうえで、初期の1・2年時に下刈すれば省力効果があるという補足説明があり、研究目的である省力化の成果が出て良かった。 研究の進展を注視しつつ、下刈終了時期の判断基準等について検討。(令和3年度) (PDF : 172KB)
    11 D材(末木枝条)の継続的販売の取組について 南木曽支署
    一般職員    
    鳥居裕太
    主任森林整備官
    大橋孝宏
    近年、伐採・造林一貫作業地をはじめとする生産事業におけるD材搬出の必要性が高まる中で、奥地化する国有林事業地からの搬出には多くの課題がある。本発表では、当支署でのD材の継続的販売の取組みを報告。 D材はパルプ・チップ材の林業としてだけでなく、エネルギーとしての利用が増えていきます。今までマイナスだったものが赤字にならないような形が出来つつあるので、是非他のところでもトライしてもらいたい。 D材の効率的な販売に向け、重量や計算式による数量確定の対象範囲の拡大を検討。(令和3年度) (PDF : 220KB)
    12 戸隠森林植物園の木道整備 北信森林管理署
    主任森林整備官      
    長屋  憲明
    利用者の安全・安心の確保が難しくなってきた戸隠森林植物園の木道を再整備するため、企業やNPO等多様な主体の参加を得て「レクリェーションの森」の整備・管理を進めるサポーター制度の活用など、これまでの取組を発表。 日本は自然を無料で利用するという意識はまだありますが、今後は気持ちよく利用するためには利用料で負担する形に、徐々に変えていくことも必要。 レクリェーションの森における施設の維持・修繕は費用や労力に課題が多いことから、本取組事例を他のレクリェーションの森の関係者へ紹介。(令和3年度) (PDF : 296KB)
    13 地域一体となった「ミズバショウ群落」の保全活動について 飛騨森林管理署
    森林技術指導官
    小枝幸博
    岐阜県高山市荘川町の国有林内に、岐阜県の天然記念物「ミズバショウ」群生があり、平成23年度から高山市、岐阜大学など官民学一体となった自然環境保全活動及び森林環境教育についての紹介と今後の取組について報告。 気温、地形、いろんなことをデジタルデータとして解析して見える化してもらい、結果として電気柵の設置により鹿が防除され、ミズバショウが復元・保護されたという興味深い話題。引き続きの活動を期待。 当該発表箇所は山中山希少個体群保護林内にあることから、宮・庄川森林計画区における次期計画策定に際し、保護林管理委員会に情報を提供。(令和5年度) (PDF : 224KB)
    14 タテヤマスギ巨木の活力度評価 ~樹冠画像解析システムCROCOによる検証~ 富山森林管理署
    一般職員          
    太田  祥平
    富山県東部のブナ坂国有林において集団的に生育するタテヤマスギ巨木について、平成15・16年度に実施した調査と同様の箇所から樹冠を撮影し、樹冠画像解析システムCROCOを用いて活力度の変化を検証。 ドローンや反射波長による植物の活力度評価方法を取り入れながら、誰もが関心持つ貴重なタテヤマスギに関してweb等で情報発信して取り組まれることを期待。 当該発表箇所はタテヤマスギ遺伝資源希少個体群保護林内にあることから、神通川森林計画区における次期計画策定に際し、保護林管理委員会に情報を提供。(令和3年度) (PDF : 232KB)
    15 循環型林業確立に向けたニホンジカ対策モデルの検討 愛知森林管理事務所
    〇一般職員
    埴岡千尋
    平成31年4月よりスタートした森林経営管理制度等により、民有林でも主伐・再造林が増加すると予想される。その際課題となるニホンジカ被害について、国有林での「捕獲、防護柵、単木防護」の実証事例を組み合わせた防護対策モデルを検討したので発表。 内容は過去2年間も含めてシカ対策をどうすべきかという課題解決をよくまとめられています。マスコミ等への情報発信も行っており、今後も検証を進めながらの情報発信を期待。 昨年度の発表内容と併せ、各署及び民有林関係者への普及を検討。(令和3年度) (PDF : 264KB)
    16 南アルプス仙丈ケ岳で発生した雪崩の規模の推定及び災害対応について 南信森林管理署
    一般職員       
    棚橋和彦
    信州大学大学院
    石澤淳
    2017年2月に南アルプス仙丈ケ岳北東斜面において発生した雪崩について、樹木損壊等の森林被害状況及び雪崩シミュレーションによる規模の推定と、南信署における災害対応について発表。 信州大学農学部の近隣で雪崩が発生して林道近くまでの大規模な立木被害があり、その被害解析に信州大学と連携して取組んだ発表 令和2年度に、当該地籍にて流木被害を踏まえた治山事業を計画し、災害復旧工事を実施中。 (PDF : 260KB)
    17 南アルプス大規模雪崩跡地における高木性樹木の更新初期状態 信州大学大学院
    〇宮城昂
    南アルプスで発生した大規模雪崩跡地において,ベルトプロットを設置し雪崩から3年目の主要5樹種の更新状況を調査した。地表攪乱強度と種子散布量が,亜高山帯林の更新に与える影響を考察。 アクセスの困難な南アルプスの山深いところで、大規模な雪崩跡地に5つの20m×20mコドラートおよび1m×1mの小プロット100個の調査も精力的に実施。詳しい解析で森林回復の過程、現在の種組成が不均一になっていることを明らかにした好発表。 伊那谷森林計画区における次期計画策定に際し、発表成果も踏まえて、亜高山帯林における天然更新の方法等を検討。(令和4年度) (PDF : 255KB)
    18 ドローンを用いた松くい虫被害木の半自動抽出 ~上田市武石鳥屋地区の事例~ 信州大学
    〇農学部4年
    宮島希実
    長野県上田市武石鳥屋地区において、ドローンと機械学習を用いた松くい虫被害木の半自動抽出を検討したことについて紹介。 2000本を超える単木のドローン画像をその一枚一枚を手作業で抽出し目視するという大変な手間をかけて学習データを整備し,機械学習を用いて松くい虫被害木を半自動で抽出しようとする意欲的な好発表。 研究の進展を注視しつつ、将来的には松枯れ被害数量の概算把握に活用することを検討。(令和3年度) (PDF : 164KB)
    19 岐阜県における林業用無人化技術開発の取組 岐阜県立森林文化アカデミー
    大島愛彦
    造林・育林作業の多くは人力で行われ、労働強度の軽減や災害の発生防止、作業の効率化を図るには機械化が必要である。岐阜県独自で造林・育林作業の無人化技術の開発に着手したので、その取組の経過を報告。 色々なアイデアが込められていて、こういうパーツがこういう目的で使えるのではないかといった様々なアイデアを試されていて、現実に実用可能なものはこうだ、そしてまた取り組むという流れが、聴衆を引き込むとともに,今後の展開に期待が高まる。 造林事業の機械化への取組として、中部森林管理局管内民有林関係者へ情報を提供。(令和3年度) (PDF : 188KB)
    20 低コスト再造林を推進するためのヒノキ優良苗の育成方法 岐阜県森林研究所
    主任専門研究員
    茂木靖和
    専門研究員
    渡邉仁志
    再造林にかかる経費を削減するため、ヒノキの育苗・植栽・初期保育技術の開発に取り組んだ。得られた技術を移転するために作成した指針書「優れたヒノキコンテナ苗の作り方と植栽時の留意点」を紹介。 ヒノキコンテナ苗の初期成長量を大きくする技術、そして育苗期間を2年から1.5年に短縮するための技術などが発表され,さらに精力的な研究で培われた技術を、広く普及させる方法や技術移転などへの展開もすばらしい。 ヒノキコンテナ優良苗の育成方法事例として、中部森林管理局管内の林業種苗関係団体へ情報を提供。(令和3年度) (PDF : 271KB)
    21 地域へ届け!私たちの思い ~下高井農林高校グリーンデザイン科の取組2020~ 長野県下高井農林高等学校
    〇3年上埜達郎
    〇3年河野悟大
    〇3年赤池樹
    (ア)木の良さを子どもたちに伝える(木育) 地元産木材を利用したベンチ等を保育園に寄贈するため、意欲的に制作に取り組んだ。 (イ)バンブーキャンドルの制作から活用 放置竹林の資源活用としてバンブーキャンドルの制作と地域の新たな観光資源として提案を行った。 小さいお子さんもシニアも皆が魅力を感じる屋台と八角形のベンチ。強度、安全性,素材の選択,製作・仕上げとても素晴らしい木育である。そしてバンブーキャンドル。放置竹林という問題を、芸術作品に仕上げ観光資源として展開するというまさにSDGs。 昨年度の研究発表成果と併せて、NPOや地域のボランティア団体が出席して開催されるNPO連携推進会議や中部森林管理局広報誌またはHPへの掲載を検討。(令和3年度) (PDF : 207KB)

    お問合せ先

    森林整備部 技術普及課

    担当者:技術開発主任官
    電話:050-3160-6548