鳥獣被害対策(ニホンジカ)
ニホンジカをはじめとした野生鳥獣被害対策については、平成25年に環境省・農林水産省で定めた「抜本的な鳥獣捕獲強化対策」のなかで、当面の捕獲目標を「シカ・イノシシの生息頭数を10年後までに半減」することとしています。 そのような中、国有林内において植付けした造林地(植付け後5年程度以下)では、造林木がニホンジカによ食害を受けて枯れる被害が出ています。また、遠野市ではニホンジカによる農作物被害が著しく増加していることから、その被害対策として頭数調整のための捕獲を行っています。 このことから当支署では、ニホンジカの捕獲が円滑に進むよう関係機関と連携し、平成25年1月から国有林内の林道を除雪することにより冬期でも山奥の林内に入り捕獲ができるよう支援を行っています。 |
ニホンジカ捕獲支援の除雪
当支署では、「遠野地方有害鳥獣駆除協議会」や「遠野市ニホンジカ被害対策連絡会」等に参画し、ニホンジカに関する情報共有や意見交換を行うと共に、林道除雪についての意見・要望を受けて毎年除雪を実施する路線を決定しています。
林道除雪による捕獲支援については、
- 猟期中に捕獲圧を高めることにより、前年より目撃数は大幅に減少した。
- 林道除雪により、遠野市全体が条件のよい猟場として評価され、多くのハンターの出入があった。その結果、県内で一番の捕獲数となった。(市外ハンターによる捕獲が6割)
- との意見が出され、今後も継続してほしいとの要望があります。
平成28年度林道除雪の実施状況
![]() 琴畑林道 |
![]() 金堀沢林道 |
平成27年度林道除雪の実施状況
国有林林道の除雪(琴畑林道) |
ニホンジカの足跡 |
今年度の除雪は、琴畑林道ほか2路線を1月下旬から2月上旬にかけて行い、さらに補正予算による対応として、4路線を追加で3月に実施しました。 除雪を実施した路線の周辺では、沢に水を飲みに来ていると思われる多数のシカの足跡が見られました。 |
委託事業によるニホンジカの捕獲
林野庁では平成26年度から森林整備事業により、シカ等の捕獲・処分等を広域的・面的に実施することが可能となり、全国的に個体数調整等の取組みが進められています。
このことから、当支署においても林道の除雪による捕獲支援と併せて、地域関係者と連携を図りながら平成27年度からは直接的に個体数調整に向けた取組みを行うこととしました。
捕獲方法
東北では初となる手法で、国有林内に鉄製の囲いワナを設置し、誘引餌(乾牧草等)によってワナ内に誘引されたニホンジカをAIゲートの自動閉鎖により捕獲するという方法です。
平成28年度の実施状況
また、実施時期が12月からとなったことから、冬に目撃が多い箇所(越冬地)の中から附馬牛地区で実施することにしました。
![]() センサーカメラ設置状況 |
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12月7日にセンサーカメラを6箇所設置しました。また、12月後半からは捕獲予定地に誘引餌を散布し、出没状況を調査したところ、1月上旬の降雪後に多数のニホンジカの足跡が確認された箇所があり、その場所に囲いわなを設置することにしました。
![]() 囲いわな設置状況 |
![]() 囲いわな周辺のシカ出没状況 |
![]() 囲いわな入口のシカ出没状況 |
1月17日に囲いわな設置後、5日程で周辺及び入口付近に多数のシカ(最大7頭)が見られるようになり、さらにその後、わな内にも入っているのが確認できました。
これらの状況から、捕獲日を1月31日に設定し、センサーの頭数は「3頭」にセットしました。
![]() 捕獲状況(センサーカメラ) |
![]() 捕獲状況(デジカメ) |
入口センサーは3頭でセットしましたが、捕獲したのは1頭のみでした。センサーカメラを確認した結果、センサーカウンターの
誤作動の可能性が高く、飛び越えて逃げた可能性が低いことが分かりました。
また、平成28年度はこの1頭を捕獲後、囲いわな周辺にシカが近づかなくなり、今期の事業はこれで終了しました。
来年度は、今回の調査データ等を活かして捕獲頭数を増やし、森林被害の防除と野生動物との共生に向けて取組みます。
平成27年度の実施状況
平成27年度は、試行的に11月末から12月末までの約1ヶ月間実施しました。
関係者で打合せ(遠野支署会議室) |
現地にて囲いワナの設置位置の検討 |
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囲いワナ設置完了 |
餌をワナ内から入口付近に散布 |
囲いワナを設置し、餌付け用にシカが好む乾燥牧草を散布。 囲いワナは、およそ半日程度で設置完了 (現地にはうっすら雪が積もっていました。)
これで準備完了! |
囲いワナ設置直後の降雪状況 |
散布した餌を掘り起こした状況 |
囲いワナ設置直後の降雪により、餌が埋もれてしまったため、餌を掘り起こし再度チャレンジしました。 除雪から約2週間ほど様子を見ましたが、ワナ内部どころかその周辺にもシカが現れた形跡がないことから、急激に気温が下がったことで越冬地へ移動したものと考えられます。このことから、今回はここで断念することになりました。 |
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