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東北森林管理局

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    置賜森林管理署(令和3年9月)

    白い森のおぐに ~未来に残したい豊かな自然~

    森林官 志田 有里絵

      私の勤務する小国森林事務所は山形県の西南端、新潟県との県境に位置する小国町にあります。朝日連峰・飯豊連峰という山並みに囲まれて9割以上が森林という町で、ブナを中心とした四季折々の美しい景色を楽しむことができます。また、全国有数の豪雪地帯であり、冬になると町全体が真っ白な雪にすっぽりと覆われます。このブナの樹皮と雪からイメージして、町では「白い森の国」と表現しています。
     小国町の人々はこの豊かな自然と共存しながら生活しています。ワラビやゼンマイなどの山菜やキノコ類、渓流のイワナ、そしてクマなどの獣を捕るマタギ文化など、自然の恵みをいただきながら、山を敬い大切にしています。私もこの恩恵に与り、おいしい水や食べ物をいただいています。小国町のワラビやお蕎麦はとてもおいしいので、ぜひ一度食べていただきたいです。
     また、ワラビ園をはじめ、キャンプ場やスキー場など、雄大な自然を活用した観光スポットがあり、全国から多くの観光客が訪れています。このような小国町の生活に憧れて、移住する方々もたくさんいます。

    朴ノ木峠展望台からみた、朝日連峰と小国町



     今年6月、移住者と町の人々をつなぐ移住者コミュニティ「つむぐ」主催の、持続可能な開発目標SDGs」をテーマにしたマルシェが開催されました。町全体でSDGsに取り組むきっかけとして、フリーマーケットのほか、来場者にはマイバックやマイカトラリー(※)の持参を呼びかけました。その中で「森林×SDGs」ブースにおいて、パネル展示やパンフレットを配布するなど、SDGsに貢献する森林の様々な効果について喧伝しました。これによって少しでも森林・林業の魅力を感じて関心を持ってもらうきっかけになればと思います。
     このような自然あふれる小国町ですが、今後の林業において問題を抱えています。以前より、ツキノワグマによるスギの樹皮剥ぎ被害がみられましたが、現在その被害が増大し、町にあるスギ林のほとんどが被害に遭い、材としての価値が失われています。そこで置賜署では少しでも被害を食い止めるために、様々な資材を
    使ってクマ剥ぎ防護対策を行っています。また、町役場職員をはじめ、森林所有者や林業事業体などを対象とした現地研修会を開催し、民国一体となって対策を進めているところです。
     豊かな自然とともに生きてきた人々の歴史とも言える森林を未来の子ども達に残していくために、これからも毎日の業務の中で、微力ながら貢献していきたいと思います。

    (※)カトラリー:ナイフ、フォーク、スプーンなどの総称

    つむぐマルシェ・森林×SDGsブース クマ剥ぎ対策現地研修会