ホーム > 森林への招待状 > 署長が語る! > 署長が語る!盛岡森林管理署長


ここから本文です。

 

盛岡森林管理署

「署長が管内を語る!」

盛岡森林管理署長

伊藤 文彦

当署管内の森林は、北上川を挟んで西は奥羽山脈、東は北上高地の稜線まで、盛岡市を始めとする1市5町1村の周辺部に広がっています。約6万2千ヘクタールの広大な面積を有し、これは東京23区の面積に相当します。

自然豊かな奥羽山脈の森林・・・利用と保全

盛岡の市街地北西には、標高2,038mの岩手山が聳(そびえ)えます。小岩井農場の一本桜の背景としての写真や、石川啄木の「ふるさとの山に向ひて言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな」の歌でも有名ですが、市街地のあちこちからもその雄姿が望め、特に、厳冬の青空に映える冠雪の姿は神々しくさえ感じます。

岩手山と一本桜

岩手山と一本桜

ここから、反時計回りに、秋田県境には乳頭山、駒ヶ岳等からなる奥羽山脈、和賀山塊北のモッコ岳から東方向には男助山、女助山が雫石町を取り巻き、さらに、南昌山、箱ケ森、東根山からなる志波三山へと南下します。

那須火山帯の火山群に属する奥羽山脈一帯の山々は、十和田八幡平国立公園に指定され、変化に富んだ森林景観とともに、愛らしい高山植物の魅力などから、多くの登山、ハイキング愛好家を集めます。

千沼ヶ原

千沼ヶ原  

また、雫石、岩手高原、網張温泉の3つのスキー場とともに、数多くの温泉宿泊施設も国有林内に設置され、周囲は自然休養林となっています。

雫石スキー場

雫石スキー場

雫石町の西北部の奥山には、ブナを主体とする原生的な天然林が約5千ヘクタールの保護林「葛根田川・玉川源流部森林生態系保護地域」として残されています。

さらに、こうした保護林をつないで野生動植物の移動経路を確保し、彼等の生育・生息地を分断された状態から回復させ、遺伝的多様性の確保、生物多様性の保全を図ることを目的に、八甲田山から蔵王周辺まで延長約400kmにわたって「奥羽山脈緑の回廊」が設定されており、当署の森林は34kmが含まれています。

里山イメージの北上高地の森林・・・カラマツの循環利用

一方、北上高地方面は、遠く望む早池峰山に連なる毛無山から早坂高原までは1千m級の山々が平坦な山頂を連ね、大坊峠方面に至って起伏の少ないなだらかな里山の風景を呈します。

これらの森林の一部は、外山早坂高原県立自然公園に指定され、「北上高地緑の回廊」には、当署の森林が約24km含まれています。

北上高地側には、カラマツ、スギ、アカマツを植栽した人工林が多く、植栽後50年以上となった森林が増えつつあり、今後、木材として利用できる収穫時期を迎えます。当署の場合、人工林面積の約4割をカラマツが占めていることが特徴です。
                                             
本州でも有数の極寒地として知られる盛岡市郊外の外山・藪川地区周辺には、古くからカラマツが植栽されました。その後、石炭から石油へのエネルギー革命によって炭鉱の坑木としての需要が失われ、見向きもされなかったカラマツでしたが、集成材や合板向けにスギよりも強度が高いことが見直され、近年、その価格はスギを上回るようになりました。

カラマツ林

カラマツ林

地域の木材業界ではカラマツのブランド化・差別化による付加価値の確保・向上、森林所有者への収益還元に向けて取り組み始めたところで、当署としてもカラマツの安定供給体制づくりに貢献していく考えです。

森林・林業の活性化に向けて

地球温暖化対策として森林によるCO2吸収の効果や役割が広く知られるようになりました。CO2ストックを増大させる観点からは、木材としての利用期間を長くすること、伐採後は植栽してCO2の吸収源としてのサイクルを確実に実現することなど、資源の循環利用を進める努力が重要です。

高性能林業機械による間伐

高性能林業機械による間伐

震災後は、再生エネルギーの一つとして木質バイオマスの利用も脚光を浴びているところですが、小径木を運び出しても採算が合わないため、これまで伐り捨てられていた未利用間伐材の活用に向けての取組が急がれます。

森林・林業の活性化に向けて、路網整備や高性能林業機械の導入による条件整備を進める必要があり、民有林と国有林が連携して一体的に取組を始めた森林共同施業団地の設定もその一環です。

民有林では、森林所有者の施業意欲を引き出すとともに、集約化を図ることにより小規模所有の限界を克服できるか否かが重要であり、これに国有林を組み込むことでスケールメリットをさらに向上できないかなど、地域との対話を進め取り組んでいるところです。

平成23年の森林法改正により、地域の森林のマスタープランとして市町村森林整備計画が位置付けられましたが、実効性のある計画づくりのために、市町村の支援を行う体制整備が重要です。東北5県の林業普及担当県職員や国有林の技術者職員を対象に、姫神山を中心に当署の国有林をフィールドとして行われる「准フォレスター研修」が3年目を迎えました。研修終了者の今後の活躍を大いに期待しているところです。

准フォレスター研修

准フォレスター研修

管内の国有林は、奧羽山脈・北上高地の稜線から市街地へと続く河川が多いことなどから、管内森林面積の約8割が、水源かん養、土砂流出防備等の保安林に指定されており、今後とも、公益的機能の一層の維持増進を図りながら、前述の諸課題の解決に向けて、地域の声を反映させつつ取り組んで参りますので、読者の皆様方には、これまで以上のご支援、ご協力をお願い致します。

お問い合わせ先

盛岡森林管理署
〒020-0061
岩手県盛岡市北山二丁目2番40号
Tel 019(663)8001    IP電話 050-3160-5915
Fax 019(663)8172 

森林管理局の案内

リンク集