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治山事業による岩木山・後長根沢の土石流対策について 

平成27年10月    3基の治山ダムが完成しました

 

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全体写真

 

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1号治山ダム                                                                              2号治山ダム                                                                              3号治山ダム

平成26年11月完成                                                                      平成27年10月完成                                                                      平成27年10月完成

H=5.0m   L=61.5m   V=846m3                                                       H=5.0m   L=51.5m   V=593m3                                                     H=5.0m   L=41.5m   V=489m3

 

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    平成25年9月の台風による豪雨で、後長根沢で土石流が発生しました。(詳細は下記リンクへ)

    土石流の発生状況についてはこちらから→ http://www.rinya.maff.go.jp/tohoku/apply/publicsale/tugaru/140715usironaganesawa.html

 

    この土石流により渓床内には、多量の土石が不安定な状態で堆積しており、再び台風等により豪雨が降ればこれらの土石が流出してしまう恐れがありました。後長根沢の下流には県道や市道、民家、小学校等の重要な施設があり(右図)、これらの施設へ被害が及ばないよう早期の対策が必要となりました。 

    そのため、渓床内に堆積している土石の流出を防止すると共に、渓岸、渓床の侵食の拡大を防止するため治山ダムの整備を計画しました。

 

    後長根沢は土石流の発生に伴い、渓流のほぼ全域にわたって多量の不安定土石が連続して堆積していることから、当面の対策としてまず、土石流発生区間の下流側(標高400~440m付近)に治山ダムを3基整備することとしました。この区間は渓床の洗掘、侵食が著しく、土石が特に不安定な状態で過剰に堆積している箇所が見られることから(下写真参照)、この区間で重点的に治山ダムを整備することで不安定土石の移動、渓流の侵食防止等の対策がより効果的に図られるよう計画しました。

 

 

    平成26年5月から、計画した3基の治山ダムの整備に着手し、平成26年12月に1基が完成(1号治山ダムH=5.0m   L=61.5m   V=846m3)、平成27年10月には残りの2基が完成(2号治山ダムH=5.0m   L=51.5m   V=593m3  ・ 3号治山ダムH=5.0m   L=41.5m   V=489m3)し、土石流発生後の当面の対策が完了しました。

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1号ダム上流付近渓岸侵食状況(発生当時)                   2号ダム上流付近渓床洗掘状況(発生当時)                3号ダム上流付近土石堆積状況(発生当時)

 

 

 

 

治山ダムができるまで

    平成26年~平成27年の2年間で3基の治山ダムが完成しましたが、その治山ダムはどのような流れで施工されるのでしょうか。ここからは治山ダムが完成するまでの一連の工程を紹介します。

 

(1)

 ~準備工1~

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まずはダムを作設する準備を行います。

ダム作設に伴い邪魔になる立木(支障木)の伐採や、下草を刈り払います。

 

そして重機や資材搬入のための作業道を作設していきます。

(2)

~準備工2~

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作設位置の地形を測定し作設場所を確定するため測量を行います。

その結果を基に、掘削する位置(方向・勾配・高さ)を示す丁張という作業を行います。

(3)

~準備工3~

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左上方が下流となります

 

ダム作設工事は渓床内での作業となりますが、流水のある沢の中での作業は困難となります。そのため、流れを止めぬよう流路を規制し、渓流の片方ずつに分けダムを造っていきます。

 

ここでは渓流の下流に向かって左側(左岸)に大型の管(暗渠管)を埋設して水を流し、右側(右岸)から作設していきます。

(4)

~掘削~

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準備が整ったら、あらかじめ示しておいた丁張に従って掘削を進めていきます。

掘削する深さを測定しながらダムの底盤となる高さまで掘り下げ、掘り終わったらコンクリートを打ち込むために掘削面を整えます。

(5)

~掘削~

kussakukannryou

 

右岸側が掘り終わり、掘削面整形も終了しました。

次にコンクリートを打込んでいきます。

(6)

~型枠設置~ 

katawakusetti2   katawakuseisou

 

コンクリートを打込むための型枠を設置していきます。型枠は倒れないよう鉄筋などで補強しながら組み立てます。

型枠の設置が終わったら、型枠内を清掃します。

 (7)

~型枠設置~

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この現場は土石流が発生した現場であり、再度土石流が発生することも考えられます。

その際、土石流で型枠が剥離し流出する恐れがあるため、コンクリートと一体化させるべく残存型のコンクリートパネルの型枠を使用しました。

 

また当現場は自然公園地域であることから、一部に景観に配慮した自然石模様の化粧型枠を使用しました。

 (8)

 ~コンクリート打込み~

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設置した型枠の中にコンクリートを打込みます。コンクリートは材料が完全に均一になるよう、振動機(バイブレータ)で振動を与えながら締め固めます。

 

またここでは作業道から打込み現場までが遠いため、コンクリート圧送車によってコンクリートを送り込んで打込みます。

 (9)

 ~コンクリート打込み~

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youzyou

 

打込み後、ある程度固まってくると表面に膜(レイタンス)ができてきます。水分と共に骨材やセメントの微粒子が浮き上がり固まったもので、次に打継ぐコンクリートと一体化せず品質の低下を招きます。そのため、ワイヤーブラシなどで丁寧に取り除いていきます。

 

また、この処理を行っても完全に一体化させることは困難なため、あらかじめ鉄筋を差し込む(挿し筋)などして打継ぎ面を補強しておきます。

 

その後コンクリートが完全に固まるまで、マットやシートで覆い湿潤状態で保護します。(養生)

 (10)

~コンクリート打込み~

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sagankussaku

 

施工中、右岸側の作業から左岸側の作業へ移る必要があります。

その際、ある程度の高さまで仕上がったところで、流路を切り替えてもう片方の作設に移ります。

 

なお、流路を切り替えた際、流水を排水するためにダム本体に水抜き穴を作っておきます。

 (11)

 ~ダム本体完成までの流れ~

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コンクリートは施工中のひび割れ等を防止するために、ある程度の高さごとに分け(リフトという)完成まで数回に分けて打込んでいきます。

 (12)

~埋戻し~

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ダム本体が完成したら、掘削した部分を埋戻します。
(13)

~埋戻し(側壁)~

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左右岸の埋戻す部分に関しては、土が流れないよう土留工(側壁工)によって押さえます。
 (14)

 ~埋戻し~

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斜面を埋戻す際、急勾配で長い斜面などの場合は、埋め戻した土を安定させるため、簡易的な土留工(丸太積土留工)を設置したり、植生マットやシートを張るなどして保護します。

 

またダムの下流側は、落下した水で埋め戻した土が掘り返され流れないよう、ここでは巨石を張って保護します。

 (15)

 ~完成~

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治山ダムが完成しました。上流に堆積した土石の移動を止めて、下流への流出を防ぐことができます。

また、3基のダムにより渓床の勾配が緩和され流れが緩やかになることで、流域内の土石の移動を抑え捕捉することもできます。

(16)

~土石流センサー~

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最後に、当現場は土石流が発生した現場であるため、工事中に豪雨が降った場合など再度土石流が発生する恐れもあります。そのため、施工中の安全確保には十分配慮し、上流には土石流センサーを設置し作業を行いました。土石流が発生しセンサーが倒れたり流されたりすると、作業現場に設置した警報器からサイレンが鳴り危険を知らせます。

 

幸い施工中に豪雨が降ることはなく、土石流も発生することなく工事を終えることができました。しかし、渓流内には不安定な状態で堆積している土石が多く危険ですので、渓流内には近づかないようお願いいたします。

 

 

    平成27年11月2日、完成した治山ダムを弘前市長が視察されたことから土石流の発生状況、対策事業の概要等を現地で説明しました。

    後長根沢の土石流発生に伴う当面の対策は終了となりますが今後も継続的な現地調査を行うこととしており、地域の安全安心を確保するため治山事業を適時適切に実施していくこととしています。

 

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