区  分:都市住民と山村の交流
タイトル:−山村留学「国木ハイランドビレッジ」がくれた大きな贈り物−
     自然と文化が香る交流の里づくり    
都道府県名:愛媛県 市町村名:広田村
1 地域の概要

 広田村は、愛媛県のほぼ中央、県都松山市から南へ約30kmに位置し、総面積は4,437ha、その内森林面積が3,799haで、林野率86%になる。
 河川は、肱川水系小田川支流玉谷川が北に源を発し、そこへ東西から支流がそそぎ南へ流れている。この川沿いに国、県道が整備され、また農地が点在している。
 昭和35年の人口は3,468人であったが、高度経済成長、広田鉱山の閉山等の産業構造の変化により、過疎化・高齢化が進み、現在の人口1,212人となり、主幹産業である農林業は、近年つづく農林産物価格の低迷等により大きな打撃を受けているが、何とか復興しようと特産品づくりに取り組んでいる。
2 事業(取組)の背景と経緯

(1)事業(取組)の背景
 山村留学制度を導入した高市地区は、昭和35年で人口624人、高市小学校児童数119人いたが、平成3年には戸数90戸、人口250人まで減少し、当地域の中央にある小学校の児童数はわずか4名にまで減少し小学校存続の危機となり、地域のシンボルである小学校存続への取組が地域をあげて進められた。
(2)事業(取組)の経緯
 「地域文化の拠点である学校の灯を消すな」を合言葉に、地域を離れた若者へのUターンの呼びかけや里親さがしなど、積極的な運動を展開したがうまくいかず。村が主体となり全寮制方式で留学センターを建築し、平成4年度から児童を受け入れ山村留学制度を導入することとなった。

3 事業(取組)の概要

 全国的な都市化の進展に伴い、青少年の心身の健全な育成に欠くことのできない自然環境がしだいに失われつつあります。こどもたちは、恵まれた自然の中で豊かな情操が培われ、心身ともに健全な育成が図られます。
 そこで、山村留学「国木ハイランドビレッジ」では、親元を離れ、留学センターで集団生活し、少人数ではあるが、児童一人一人にいきとどいた学校生活、地域と密着した日常生活を通して、地元のこどもたちや、地域住民と人間的にふれあい、心身ともにたくましく成長していきます。
 現在、当センターの受け入れ定員は25人、当初対象は小学校児童でしたが、現在は小学校児童・中学校生徒となっています。職員体制は、所長1名、指導員2名、寮母1名で24時間体制で運営しています。
  年間の主な行事は次のようになります。
  ○春 たけのこ掘り、遠足、山菜採り、しいたけ植菌、つり大会、いも植え、探検遠足
  ○夏 田植え、高齢者との交流会
  ○秋 お月見、稲刈り、栗ひろい、いも掘り、高齢者との交流会、秋祭り、遠足、稲こぎ、収穫祭、みかん狩
  ○冬 クリスマス会、高齢者との交流会、もちつき、お別れ遠足 
 このように、地域住民と触れ合いながらの自然体験、勤労体験を通して、山、川、土に親しみ、収穫する喜びに感謝し、貴重な体験として生涯心に残る思い出となります。

いもほりコンクール

しいたけ植菌

4 事業(取組)の成果(効果)

 山村留学「国木ハイランドビレッジ」は、広田村の大自然を舞台に各地からやってきたこどもたちが、衣食住を共にし地元のこどもと共に集団で活動する中で、それぞれに興味や関心をもち、意欲的に関わり、もてる力を発揮することができます。また、このような集団生活の中で、個性を発揮し、お互いを認め高め合いながら、自ら考え行動することで、様々な体験を重ね心身の調和のとれた成長の基礎を身につけることができます。
 また、小学校の存続が危ぶまれたこの地域も、今はいつもこどもの声がこだまする地域となり、新しい出会いを地域全体で歓迎しています。今年で10周年を迎え、おくり出した留学生も200人を超えましたが、この全国にいる巣立ったこどもたちやその家族との交流も続いており、目に見えないところで着実に地域の活性化が図られています。

5 今後の課題

 今日まで継続してきた山村留学制度は、地域・学校・留学センターが一体となったこどもたちへの支援体制があったからで、特に地域の方は「こどもは地域の宝」という意識で、時にはきびしく、時にはやさしく見守ってくれます。この制度の継続・発展させていくには、この体制を維持していくことが重要である。


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