区 分 : 都市と山村の交流
タイトル: 〜馬頭の自然に触れ“陶芸の魅力”に出会う〜
「陶遊館」・「自然学習塾キャンプランドなまずっこ」    
都道府県:栃木県 市町村:馬頭町
1 地域の概要

 当地域は栃木県北東部の那須郡に位置し、隣を小川町と接している。東西約11.5q、南北約17.5q、総面積は151.54kuである。
 土壌は、八溝山系特有の礫質層の植壌土で比較的肥沃であり、生産性は中位にあたる。耕地は中小河川に沿って狭い水田と畑地を有し、那珂川沿岸の河岸段丘上にまとまった水田地帯を形成している。総耕地面積は、1,567haで町の総面積の10.3%にあたる。
 また、林野面積は10,998haで町の総面積の72.6%を占めている。
気候は内陸型の気候で、年平均気温は12.9℃前後であり、年間降水量は約1,300o、初雪は12月中旬、終雪は3月下旬で積雪は年間5日前後である。気象の特徴として、夏は雷が多く、県北部の日光・那須といった高山地帯で発生した雷雨により、農作物等への被害が多い。また、冬は「日光おろし、那須おろし」と呼ばれている、北西の季節風による乾燥害があり、農業、林業、交通、その他生活全般に大きな影響を与えている。
2 事業(取組)の背景と経緯

(1)事業(取組)の背景
 当地域は、都市部から遠距離にあり交通条件の悪さの他に、目立った観光名所も無いことから、毎年人口の減少傾向にあったが、平成12年度馬頭町広重美術館の完成により、町内外に向けて広く歴史、文化をPRでき、多くの観光客が訪れるようになった。
(2)事業(取組)の経緯
 新鮮な地域野菜や、キノコ、山菜等を使っての提供。ろくろ、手びねり、絵づけ等の陶芸体験、また、自然の“恵”を使った各種の体験活動。以上の取組においても、馬頭町広重美術館の完成は重要なPR効果につながっている。

3 事業(取組)の概要

(1)「陶遊館」
 馬頭町北西部に位置する小砂地区は、歴史のある陶器製造の窯元が多数あり、小砂焼きは町の特産品(観光資源)として重要な役割をはたしている。ろくろ、手びねり、絵づけ等を体験することにより、土に親しみ“陶芸の魅力”をここから町内外に発信することを目的としている。
 陶芸教室及び展示場の建設においては、地域の資源である地元産の杉や檜を材料として使用することにより町内外に広くPRする効果がある。陶芸愛好家はもちろん、初めて土に触れる人達との交流の場として、また食材供給施設・直売所等においては自然の山菜・キノコ等の他に地元の農産物(野菜・コンニャク・果樹・花き)等を有効に利用し、郷土料理に生かし、大いに地元のPRに役立てている。地域住民の雇用の確保にもつながっている。
 また、陶芸教室等で手掛けた作品を実際に登り窯で焼く体験をすることにより、陶芸に対する理解を深め、感激を呼び起こすため必要な施設として登り窯の改修にも取り組んだ。ガス窯と両面で対応する仕組みである。


“陶芸の魅力”がいっぱい

(2)「自然学習塾キャンプランドなまずっこ」
 馬頭町北部の大山田地区に位置する当施設は、地元の農業後継者が取り組んできた、なまずの養殖が軌道に乗り、更なる村おこしをということで整備された。
自然あふれる当地区で、オートキャンプ・そば打ち・きのこ採り・マウンテンバイク等の体験を通して都市住民との交流活動を展開している。
 また、平成12年度からは、きのこ(しいたけ・なめこ等)のオーナー制度が始まった。


里山で遊ぼう!

4 事業(取組)の成果(効果)

 馬頭町広重館のオープンに伴い、平成12年には約2,000人弱落ち込んだ入り込み客数も平成13年度には、若干ながらも客増が見込まれた。まだ安定した数字ではないが“陶芸の魅力・自然の魅力”に目覚めた人達が、リピ−タ−としてPR効果につながっている。
 定住人口の数字的にも平成13年度には若干ではあるが、増加になっている。これら、来客者が増えたことは、地域住民の地元に対する意識の変化に繋がり、地域への取組み方もかなり積極的になってきている。地元の女性グル−プによる農産物加工品の開発も進んでおり積極的に地元直売所への出品や、収穫祭等への参加等もみられるようになった。また、きのこのオーナー制度も導入され住民の自主的な地域づくり(町づくり)への意識改革が、高まってきている。

《定住人口の推移》               4/1現在(単位:人)

平成10年度

平成11年度

平成12年度

平成13年度

961

930

918

932

《入込み客数》                  4/1現在(単位:人)

平成10年度

平成11年度

平成12年度

平成13年度

34,868

34,853

32,140

32,613

5 今後の課題

 馬頭町広重美術館を中心とした観光エリアの一環として発展していくことが、一番の活性化につながることであり、町全体の活性化にもつながっていく。
 地域住民の合意に基づき、地域の特性を十分に生かし周辺環境を阻害することなく、陶芸観光、農業の一体化を図るとともに、自然体験活動を推進していくことが大切である。


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