区  分:就業機会の創設・確保
タイトル:〜栃の実で山村の活性化を!〜
滋賀県余呉町「妙理(みょうり)の里」の取り組み
都道府県名:滋賀県 市町村名:余呉町
1 地域の概要

 伊香郡余呉町は、滋賀県最北部に位置し、東は岐阜県、北は福井県と接しています。町面積は県内3番目の大きさで16,762haとなっており、林野率は、滋賀県で最も高い92%となっており、四方を山に囲まれた山村です。
 余呉町は、琵琶湖に流れる高時川の上流部に位置することから、町内の森林は、びわ湖の重要な水源地域となっています。また、気候は日本海型に属し、冬季の積雪が多く、積雪期間も長く12月〜3月となっています。今回紹介します「妙理の里」は、高時川の上流に位置する菅並地区にあります。
2 事業(取組)の背景と経緯

(1)事業(取組)の背景
 当地は、山が深く水量の豊かな深い谷が多いため、栃の木が多く、古来からそれぞれの家庭で、風味・色彩・舌触りの異なる栃もちを作ってきました。そして、この味覚は各家庭秘伝のものとして、受け継がれてきました。
(2)事業(取組)の経緯
 菅並地区は、昭和63年4月に着手された丹生川ダムの直下の集落です。地元では、「当ダム建設を期に地元の活性化を図りたい。」との思いから、今まで秘伝であった栃もちで活性化を図ろうと、平成12年に妙理の里栃の実加工組合(組合員17名)を設立し、栃もちの生産に取り組み始めました。
3 事業(取組)の概要

 「妙理の里」は、ダム建設により水没を余儀された上流山村集落のかけがえのない美しい古民家集落の景観に着目し、こうした貴重な地域資源の再生を図ることにより、この地域に伝わる文化の保存と伝承を目的として、集落形態を模して整備を進めています。
 妙理の里の加工販売施設は、健康で社会参加意欲の高い高齢者の生きがいづくりの場として、林業構造改善事業(高齢者生産活動施設整備事業)により、建設されました。(平成12年1月竣工)
 現在、秘伝であった技法の栃もちは、妙理の里で受注生産を行っています。主な出荷先は、近隣の高速道路サービスエリア、ドライブウェイの販売所等に出荷しています。また、交流イベント等では、積極的に実演販売も行っています。

妙理の里

栃もちづくり
4 事業(取組)の成果

 組合員17名で、製造から販売までの役割分担を決め運営されており、製造部門には、女性の方が熱心に従事されています。また、販売部門は個人から事業者へと、幅広く販売、営業を行っています。事業が始まって間もないですが、妙理の里は地域の高齢者を対象とした就労の場としてその役割を果たしています。
 平成12年度の栃もちの販売実績は、約44,000個(約8,800パック)でした。
5 今後の課題

 今後の課題としては、販路の拡大、原材料の低価格購入、製品目の拡大等が考えられます。販路の拡大については、各種イベントによる地域内の消費や県外の観光客を対象とした販売等に今後、力を入れていきます。また、製品も栃もちだけではなく、栃煎餅の加工についても、開発研究を行っています。


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