区   分:地域資源を活かした産業の育成、交流の促進
タイトル:〜産直住宅〜
 九州の家は九州の木で 諸塚村産直ネットワーク    
都道府県名:宮崎県 市町村名:諸塚村
1 地域の概要

 諸塚村は、宮崎県の北西部で九州中央山地に位置し、諸塚山を中心とする標高1,000m級の山岳に囲まれた村で、総面積188平方キロメートル、人口約2,700人である。
 交通網は、国道327号線と国道503号線が通過しており、宮崎市まで車で約2時間30分の距離にある。
 村土の95%を占める森林は、針葉樹と広葉樹(クヌギ、ナラ)を植栽しているモザイク林相と呼ばれている。それらの山々を巡っている道路網(村内路網密度55.6m/ha)と点在する88の集落により、森林と集落を一体化させた森林管理を可能にしている。

2 事業(取組)の背景と経緯

(1) 事業(取組)の背景
 豊富な森林資源や山村に育まれてきた心豊かな人間性、文化などの複合的な活用を図り、新たな森林と人間の共存による「森とむらの文化圏の創造」ということを基本理念に「全村森林公園化」を目指した各種施策を推進している。その一つとして森林資源の総合的な活用に取り組んでいる。

(2) 事業(取組)の経緯
 森林資源を総合的に活用した、諸塚村と耳川広域森林組合諸塚木材加工センター、第三セクター・ウッドピア諸塚の共同プロジェクトとして、「諸塚村産直住宅」が平成8年度からスタートしている。木材などの森林資源や自然、地域の文化を生かしながら、都市と山村との独自の交流を図ることで、山村の人々が自信を持って生活していく基盤を作る「エコビレッジ諸塚プロジェクト」をベースにしている。

3 事業(取組)の概要

 川上(木材産地)と川下(住宅地)が人的ネットワークを構成し、主に木材産地が情報発信して、コーディネイトする方法をとっている。自然素材を使った家づくりの提案や木材産地ツアーなど地域資源、地場の素材を活用したイベントを企画し、双方の交流の中で森林資源の大切さや山村文化を再評価する活動を通して、単なる木材の直売や観光に終わらない人にも、地球にも優しい運動の展開を図っている。できるだけ、施主や設計者、施工者に木材生産現場に入ってもらい、さらに木材生産者が棟上げ式や竣工式に参加するなど、木材生産者と施主と家づくりの現場がお互いの顔の見える流通の仕組みをつくることに力点を置いている。

(産直住宅)

(木材産地ツアー)

4 事業(取組)の成果(効果)

 5年目の平成13年度末で、熊本県、鹿児島県、宮崎県内を中心に受注実績が通算42棟となり、徐々に軌道に乗りつつある。
 また、九州各地の都市住民に呼びかけ、村内の木材生産現場の見学とあわせて、都市と山村との交流事業の一環として、夜神楽、地元の祭り等の山村行事へも参加する木材産地ツアーや森林と住まいのセミナーの開催により都市とのネットワークが図られている。これまでツアーとセミナーをそれぞれ24回、15回実施し、遠くは北九州、佐賀からの参加もあり、約900人が来村している。

5 今後の課題

 平成13年4月から交流の森づくり会員の募集と交流の森づくり活動に取り組んでいる。これは、森林組合所有の山林にドングリやウメなど実のなる木の植林活動などを通して、産直住宅を通して縁のできた人々(施主、設計者、施工者、ツアー・セミナー参加者等)の交流の拡大やリフレッシュの場となる森をつくる活動である。
 この活動により木材を伐採し、家を建てるだけでなく、そこからはじまる産直住宅ネットワークづくりを目指していく。


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