区  分:都市住民と山村の交流
 タイトル: 四万十川で大自然体験! −四万十樂舎の挑戦−
森林ボランティア活動による里山再生プロジェクト    
都道府県名:高知県 市町村名:西土佐村
1 地域の概要

 高知県の西に位置し、北から西は愛媛県宇和島市・松野町・津島町、南は高知県宿毛市・中村市、東は十和村に接しています。村の中央を四万十川が南流、北部をJR予土線が走っており、村内に3駅があります。 平地は川の流域にわずかに見られる程度で、峡谷型の純農山村。村の面積の91%を森林が占め、良質の木材、椎茸などを産しています。古くは水運の拠点として栄え、昭和49年のJR予土線開通までは、宇和島線の終着駅でした。南予から土佐への入り口という交通の要所で、かっては経済・文化圏は愛媛県宇和島市に入っていました。
 近年は四万十川ブームを背景に、カヌーを中心とする観光客が急増しており、南部を流れる支流、黒尊川はとりわけ清流を誇っています。その黒尊川との合流点から上流約2kmの四万十川の川辺に「四万十楽舎」があります。西土佐村の総面積は248.00平方キロ、国調人口は3,816人です。
2 事業(取組)の背景と経緯

(1) 事業(取組)の背景
 村の過疎化や学校統廃合の現実を見つめながら、子供たちの元気な声を呼び戻すために、全国のすぐれた地域づくりに学び、創造性豊かなネットワークによる積極的な取り組みが求められています。西土佐村の自然や文化、歴史そして人々と直接ふれ合う「自然体験学習」と「文化創造」の核となるのが四万十楽舎です。四万十川流域の自然と生活に光をあてた生涯学習活動、へき地校の創造教育を支援する教育、文化のセンターとしての取り組みを行っています。
(2) 事業(取組)の経緯
 村内各地の遊休施設(廃校の小学校校舎)や利用頻度の低い施設を四万十楽舎と結びつけて活用しています。生涯学習活動は全国の文化人等の支援を受け、村内外の子供からお年寄りまで幅広い年齢層の方が参加する活動です。子供たちの環境学習・芸術活動、青年のミュージカル創設、高知大学と結びついた「四万十留学」などを村民の声をもとに企画し、事業化しています。

3 事業(取組)の概要

 四万十楽舎は、元小学校だった建物を宿泊施設に改築し、四万十川をフィールドとした活動を行っており、いわば「四万十川の文化環境センター」です。
 自然豊かな四万十川に、ゆったりと浸ってもらうために、スタッフと地元の様々な名人がカヌー、釣り、川漁、イカダ、シュノーケリング、木工、竹細工、森林散策、サイクリング等の自然体験プログラムを組み、指導、ガイド、先生役をしています。
 各種の体験ゼミナールは四季を通じて募集し、都市と農山村の交流事業、定住化促進事業に取り組んでいます。また、里小屋オーナー制度を立ち上げるとともに、間伐材や雑木等を利用した、ネイチャークラフト、「四万十イス」の販売もしています。

4 事業(取組)の成果(効果)

(1)四万十川流域・高知県西部里小屋オーナー制度
 四万十川流域で山林保全の間伐材活用を進めるため四万十川流域  の景観地を選び里小屋づくりを実施しています。参加するオーナーは、全国から募集し、農林体験を中心に都市と農山村の交流をすすめ、別荘、又は長期滞在、定住用住居として活用することを目的としています。
(2)四万十・ネイチャークラフト
 間伐材や雑木等、そしてその端材を有効に活用し、接着剤は続飯(飯粒を水でねったもの)仕上げは自然塗料を使用した環境循環型の木工品です。西土佐村の四万十杉を使った木目の美しいイスの販売をしています
(3)四万十楽舎自然体験プログラム
 四万十留学シリーズ(伝統工芸・川遊び・農林漁業体験等)として様々なカリキュラムを組み、主として青少年の四万十川 での自然体験活動をサポートしています。
5 今後の課題

 全国どこの山村でも過疎化問題、特に休校・廃校舎の利用について頭を悩ませているところですが、青少年の体験学習の場、老人福祉施設などに活用することが広がっています。しかし年間を通してスタッフが常駐し、社団法人として運営する四万十楽舎のような施設は、全国にあまり例をみません。利活用するために箱物整備はできても、このような施設の経営、運営がいかに難しいかということの証です。
 そのため、このような団体が健全な経営、運営を行うには、国、県、市町村の公的機関及び地元のボランティアによる経済的支援、人的支援が課題となります。四万十楽舎のスタッフ(7人、他アルバイトスタッフ数名)は地域の人たちや、地域を訪れる人たちが、生き生きと活動出来る様な施設であり続けたいと願っています。


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