区 分:都市と山村の交流 | |||||
タイトル: − 中町「観音の森」の再生をめざして − 森林ボランティア活動による里山再生プロジェクト | |||||
都道府県名:兵庫県 | 市町村名:中町 | ||||
1 地域の概要 中町は「日本のへそ」といわれている西脇市に隣接し、緯度、経度ともにほぼ日本の中央に位置し、阪神間からは車で2時間程度の距離にある。人口は12,000人弱で漸減傾向となっている。 土地利用は、森林が約54%を占め、町中央部の平坦地には農地と集落及び市街地が形成されており平地農業地域に属し、いわゆる「のどかな田園地帯」といえる。気候は瀬戸内式気候に属するが、沿岸部に比べ寒暖の差が大きく内陸部の特徴がある。 「観音の森」は中町の北西部に位置し、標高110〜390mで面積は約29haである。所有は大半が地元奥中の共有林で、植生は高木層にコナラ、アカマツ、アベマキ、コジイなど、また、低木層はコバノミツバツツジ、ヒサカキ、ネジキ、ネズなどの二次林で、当地域に普通にみられる里山林といえる。また、一部スギ・ヒノキの人工林がある。ただ、特筆すべきは小面積ではあるが、湿地があり、カキラン、モウセンゴケ、イシモチソウなどがみられる。 |
|||||
2 事業(取組)の背景と経緯 (1) 事業(取組)の背景 平成8年に設立された「ひょうご森の倶楽部」(以下「倶楽部」)も、県下各地の活動地において活動リーダーを中心に、「弁当とけがは自前で」という方針のもと、一定レベルのルールが確立され、活発に自主的な森林ボランティア活動を行っている。 しかし、二次林を主体としたいわゆる里山林においては、どのような活動が必要なのかなど、あいまいなまま進められ、断ち切れになった活動地が多く見られた。このようななか、里山林をどのように誘導するか。そのためにはどのような活動が必要かなどを明確にすることは重要な課題であった。 (2) 事業(取組)の経緯 里山林における指針づくりは、今後、森林ボランティア活動を活発化していくうえで重要なことであり、ボランティアレベルで地元・所有者と一緒になって考え、行動していこうとする「里山再生プロジェクト」を提案し、平成10年「緑の募金中央事業」に採択された。 |
|||||
3 事業(取組)の概要 平成10年、観音の森をどのような森に誘導すべきか、そのためにどのような活動をどのようにしていくのかなどを検討するため、地元と倶楽部からの公募による「里山再生委員会」を発足した。
|
|||||
4 事業(取組)の成果(効果) 本格的な活動が始まって、2年あまり、遊歩道の整備やログハウスも計画どおり進み、炭焼きは火を入れると数日間寝ずの番が必要であり、地元との協力体制のもと、順調に活動が継続されている。湿地植物の森では、わずかだったカキラン、ササユリ、キボウシなどが復活し、モウセンゴケも元気になるなど少しづつではあるが成果も見られるようになった。 参加者の大半は阪神間の都市住民であり、最初はややもすれば「都会の物好き」といった印象をもたれていたが、地元行事への参加や、合宿での交流などを通じ、また、継続した活動により森が明るく身近な存在になっていくように、いまではお互い親戚づきあいに近い「よい関係」になりつつある。 虫おくりや池浚えなどの行事もボランティアの参加により、地元からの参加者も増え、活気がでてきたと村役員の方々からも喜んでいただいている。 |
|||||
5 今後の課題 「ひょうご森の倶楽部のシンボル」として森林ボランティア活動の場、森とのふれあい拠点、教育・観察の森、交流の場として広く活用していくとともに、ボランティアによる里山再生のモデル林にしようという目標を達成するには、まだまだ、年数がかかるが、森林ボランティア活動を成功させるには「誠意ある継続」しかないという言葉を胸に、今後も地元の方と一緒に活動を継続し、地元にとってもこの観音の森が、かつて「遊山の場」として老若男女の集いの場であったように、新たな人と森とのかかわりができれば、また、このような仕組みで県下各地、全国の里山林がよみがえれば、折しも、「参画と協働の社会システム」の構築が求められている今日、この取り組みがその一助になればと念じ、頑張っていきたい。 |