X 国有林野事業における改革の推進  

1 国有林野事業の役割とこれまでの取組

○ 国有林野は、我が国の森林面積の3割を占め、その多くが奥地脊梁山脈や水源地域に分布しており、公益的機能の発揮に大きな役割を果たしている。

○ 国有林野に期待される役割に応えるため、改革関連2法に基づいて平成10年度から改革に着手し、公益的機能の維持増進を旨とする管理経営を推進している。

○ 伐採、造林、下刈等の実施行為の民間委託を推進しており、平成14年度にはそれぞれ、10割、8割、9割の水準に達している。

○ 平成14年度においては、職員数の適正化等により、人件費、森林整備費等の事業的経費を合わせて前年度より188億円縮減した。また、財政の健全化に向けて新規借入金を110億円減少させた。

○ 今後は、これまでの5年間の集中改革期間に築かれた、簡素で効率的な管理経営を進めるための基礎の上に立って、名実ともに開かれた「国民の森林」の実現を目指すこととして管理経営基本計画を改訂した。

○ 具体的には、公益的機能の維持増進を旨とする管理経営の一層の推進、地球温暖化防止等の新たな政策課題への率先した取組、森林環境教育や国民参加の森林づくりを本格的に推進することとしている。

○ また、これらの取組は情報の開示等による透明性の確保、国民の要請の把握等、双方向の情報受発信を基本とした対話型の取組として推進することとしている。

図X−1 民間委託の実施状況


資料:林野庁業務資料

図X−2 管理経営基本計画の改訂のポイント

                         
2 「国民の森林」に向けた取組

○ 個々の国有林野を重点的に発揮すべき機能によって「水土保全林」、「森林と人との共生林」、「資源の循環利用林」に区分し、それぞれの区分に応じた森林づくりを推進している。

○ 国民の生活を守るため、保安林の計画的指定や治山事業により、災害に強い安全な国土づくりや水源地域の整備を推進している。 

○ 優れた自然環境を維持・保存するため、民有林関係者やNPO等と連携しつつ、新たな保護林の設定や、保護林をネットワーク化する「緑の回廊」の設定を推進している。

○ 地球温暖化防止対策として、健全で活力ある森林づくりや森林土木工事における木材利用に率先して取り組んでおり、平成14年度の木材利用実績は4年前の3倍に増加した。

○ 地方公共団体等と森林管理局・署との間で森林の整備に係る協定や覚書を結ぶなど、民有林関係者等と連携を図りながら、森林整備や林業の活性化に向けた取組を推進している。

○ 学校等が国有林野内で体験活動等を実施するための「遊々の森」の設定を推進している。平成15年12月現在、65箇所で森林管理署等と協定を締結している。

○ また、国有林野を森林ボランティア団体等の活動の場所として提供する「ふれあいの森」、伝統文化等の継承に貢献する「木の文化を支える森づくり」、分収林制度を活用した「法人の森林」等を推進している。

表X−1 生態系の保全に向けた国有林の共同管理(事例)

群馬県新治村の住民の団体、(財)日本自然保護協会、関東森林管理局は、イヌワシ、クマタカ等が生息している自然豊かな国有林野約1万haにおいて、生態系の再生・保全を目的に三者で共同して取り組むプロジェクトを平成15年11月に発足させ、その活動の具体化について話し合いを進めている。
 
図X−3 ふれあいの森の設定状況
 
資料:林野庁業務資料

表X−2 木の文化を支える森づくりの設定状況

   
資料:林野庁業務資料
注:平成15年12月現在

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