平成16年7月2日
林   野   庁

「適切な森林管理に向けた林業経営のあり方に関する検討会」(第3回会合)の概要

1.日時  平成16年7月1日(木)13時00分〜15時40分
2.場所  林野庁林政部会議室
3.出席者
鶴座長、梶原委員、中武委員、滑志田委員、藤生委員、前田委員、山田委員
4.委員の主な発言内容
○森林所有者との結びつきがあること、労務職員を組織していること、森林関連の情報を整備していることが森林組合の強み。森林所有者の施業の掘り起こしは森林組合の基本的役割。
○多くの小規模零細な森林をどうまとめるかが重要で、そのために森林組合が役割を果たすことが必要。
○森林組合は、多面的機能の担い手、山村振興・定住促進のための受け皿として位置付けられるところであり、このような役割についてどのように国民的理解を得ていくか。都市と山村の交流と対話の促進という観点から情報発信も強化する必要。
○森林組合改革のあり方は、県別、地域別にそれぞれの地域毎の事情に応じて、細分化した対応が必要。
○森林組合が、森林の守り手としての役割を果たしていく上で、一般の林業事業体との連携も必要。
○森林組合と民間の林業事業体が対等な条件の下で競争できるようにすべき。
○森林組合の合併は、組織改革、事業体制の整備を進める大きな契機となるが、合併のメリットを活かしつつ、組合員との結びつきも失わないようにする配慮が必要。
○森林組合は森林所有者のための組織であり、組合員のための森林経営を進めることが第一義的目的。自分たちの仕事の拡充は副次的目的。森林所有者のためを考えると、森林組合がフルサービスするのではなく、場合によっては、事業の減量、アウトソーシング(外注)も考えていくことが必要ではないか。
○作業班を維持しようとすると、そのためのコストが固定費としてかかり、効率的組合運営を行う上で制約になるのではないか。作業班を株式会社として外部化したとしても、そのことで森林整備が進まないということにはならないと思う。
○森林施業実施のための調査等に森林整備地域活動支援交付金を活用できるようになっており、森林組合がこのような情報を総括的に把握し、森林所有者へのコンサル業務を展開できる段階になっていると思う。
○森林組合が組合員に対する森林施業の指導やとりまとめなど各種のサービスを実施するためには、別の収益源が必要。利益が出れば、組合員に還元している。
○森林組合として、木質バイオマスの利活用を促進することが必要。
○森林組合が新規事業展開を検討する上で、大規模設備投資が伴うものについては慎重な検討が必要。現有の経営資源をどう活用するかという視点が必要。
○森林組合が、儲けていないのに経営多角化に乗り出したり、事業を継続するようでは、組合員の利益が損なわれる。儲けていないならばスリム化を考えるべき。
○利用事業の事業量が3割落ちたら、ほとんどの森林組合が赤字になる。個々の県の改革プランを見ても、そういう危機感がうかがえない。
○森林組合は、利用事業のみに依存する経営体質では厳しい。他にも経営の柱になる事業が必要。加工・販売事業も、経営の柱になり得る可能性がある。
○今の森林組合経営は、コストがかかっていてもコストは所有者負担という考え方が前提なので、コスト削減についての意識が働かないのでは。コスト削減できる部分は絶対にあるはず。
○製材工場については、今のままの森林組合が手がけるよりも、出資会社を立ち上げ、そこで責任ある経営体制を構築して運営する方がいい。
○共販所だけではなく、大きな製材所に近い段階で、必要な知識・ノウハウを有するスタッフが価格設定を行うというやり方もあるのでは。
○林構事業の経営診断書も、管理会計がわかり経営診断の能力を持った資格者が行うべき。市場の動きに対応するためにはコストをどの程度にするかという視点で考えることが必要。
○森林組合の役員の年齢の高低が問題なのではなく、経営指標を分析し、的確に経営するセンス・能力がある役職員がいるかいないかが重要。
○経営感覚を有する役員による業務執行体制を構築するためにも、役員の若返りが必要。役員定年制を導入することで、後進を育てようという意識も生まれる。
○林業経営を成り立たせるためには、一定の路網密度が必要。
○中小規模の林業者は高性能林業機械の導入が困難な場合もある。高性能機械のみならず、路網を整備し、小型の搬出機械も視野に入れることが必要。
○森林所有者の不在村化等により森林境界の不明確化が問題になっている。境界確定のための測量や、GISによる森林情報の整備が急務であり、森林組合の事業として考えることも必要。
○森林関連情報の整備は重要な課題だが、森林組合はIT化が遅れている。
○コストの削減という視点のみでなく、コストに見合う付加価値をつけてユーザーに買ってもらえるような取組の方向も必要。
○日本の林業は付加価値を付けるために、枝打ち等の努力をしてきたが、今、それに見合った価格で買ってもらえない。付加価値をつけようとしてコストをかけ過ぎ
てきたと思う。育林コストの見直しが必要。
問い合わせ先
 林野庁林政部経営課
 担当者 井上  晋(内線6115)
 電話  03(3502)8111(代表)
      03(3501)3810(直通)

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