プレスリリース
平成16年11月17日
林     野     庁
「京都議定書に基づく森林吸収量算定・報告・検証体制」に関する専門家会合の概要
1.概要
 11月15〜16日、財務省三田共用会議所において、各国の森林資源管理専門家の出席の下に、標記会合が行われた。
 本会合は、林野庁委託事業「森林吸収源計測・活用体制整備強化事業」の一環として、京都議定書に基づく森林吸収量の算定・報告・検証手法のあり方について、関係各国の専門家と情報交換及び意見交換することを目的に実施した。

 会合においては、各国の専門家から、京都議定書報告に関する各国の検討状況や最新の研究概要について情報提供が行われるとともに、現実的な算定・報告手法の開発に向けて出席者間の活発な意見交換が行われた。
2.主な実施内容
(1)各国報告
参加各国の専門家より、森林吸収量の算定・報告・検証手法の検討状況について概要報告。
(英国、カナダ、スウェーデン、ドイツ、ニュージーランド、フランス、ロシア、日本)
(2)京都議定書報告に係る最新の研究報告
@リモートセンシングによるARD抽出
衛星画像や空中写真を活用した、京都議定書3条3項に基づくARD(新規植林、再植林、森林減少)対象地の特定手法の開発状況について報告。
A空間を特定した炭素蓄積変化の計測
衛星画像、GIS等を活用し、ARD及び森林経営地の炭素蓄積量の変化を個別林分レベルで推計する手法の開発状況について報告。
BLIDARによる炭素収支の推定航空機に搭載したレーザー測定機により地物の形状を測定し、森林の炭素収支を推計する手法の開発状況について報告。
C日本におけるバイオマス拡大係数と容積密度
我が国の主要樹種の齢級別バイオマス拡大係数及び容積密度を明らかにするための研究状況について報告。
D日本における土壌炭素の蓄積と動態
我が国の森林土壌に蓄積された炭素量とその変化量について明らかにするための研究状況について報告。
(3)主な意見交換
・京都議定書報告にあたっては、各国の状況に応じ、森林簿等の過去の蓄積データを含む様々なデータセットを組み合わせて活用していくことが最良の選択肢であることが確認された。
・リモートセンシングについては、二時点のデータを重ね合わせて差分を抽出する際の位置のずれや解像度等の点で問題点が残されていることなどが指摘された。
・バイオマス拡大係数などの適切な実証データは森林吸収量インベントリの基礎として重要であることが確認された。
・また、第一約束期間の森林吸収源の取り扱いについては、国際的に合意されたガイドライン等に沿った具体的な手法の開発が重要となっていることから、このような会合の開催は大変有意義であり、国内体制報告期限である2006年に向けて今後も森林資源管理に携わる専門家間の意見交換を継続していくことが重要であることが確認された。
3.出席者
各国専門家:
Dr. Jim Penman(IPCC)
 英国環境・食糧・農村地方省地球大気部対応戦略部長

・平石尹彦
(IPCC)
 気候変動に関する政府間パネル
(IPCC)国別温室効果ガスインベントリープログラム共同議長
Dr. Goran Stahl(スウェーデン)
 スウェーデン農科大学森林資源管理学部 教授

Dr. Rainer Baritz(ドイツ)
 ドイツ連邦地球物理学・天然資源研究所 土壌・環境保護空間情報部 副部長

Dr. Michael Gytarsky(ロシア)
 ロシア連邦水文気象学・環境観測サービス及び科学アカデミー地球気候生態研究所 上席研究員

Dr. Gerome Pignard(フランス)
 フランス農業省 GIS部長

Dr. Craig Trotter(ニュージーランド)
 ランドケアリサーチ社 上席研究員

Dr. Werner Kruz(カナダ)
 カナダ天然資源省林野局 パシフィック研究センター 上席研究員

Mr. Graham Stinson(カナダ)
 カナダ天然資源省林野局 国家森林炭素算定チーム 研究員
研究機関:
(独)森林総合研究所、(独)国立環境研究所、(財)地球環境戦略研究機関、(財)都市緑化技術開発機構、他
関係省
林野庁、環境省、他

早稲田大学、愛媛大学、東京大学、他
お問い合わせ
林野庁研究普及課調整班
担当 塚田・小島(内線6344
電話 03-3502-8111(代表)
    03-3502-8261
(直通)

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