公園や山小屋等の汲み取り式のトイレは管理が大変です。バイオマストイレは、スギ等の木材チップと微生物を使って処理するシステムであり、今後の普及が期待されます。
1 福井県大野市の施工事例
・設置場所:福井県大野市の麻那姫湖青少年旅行村
・実施主体:福井県大野市
・概 要: 当旅行村は春から秋にかけて家族連れ等で賑わい、施設内の7箇所のトイレはピーク時には延べ1,000人/日の利用者があり、においが漂うなどの苦情があることから、1箇所をスギ材と微生物を利用したバイオマストイレに改修(「間伐材用途開拓実証事業」(平成12年度補正予算)」と県の「木とのふれあい施設づくり推進事業」を活用)
2 国有林野事業での施工事例
・設置場所:長野県上水内郡戸隠村の国有林内の戸隠森林植物園
・実施主体:北信森林管理署長野事務所
・概 要: 当園内に設置してあったトイレの建て替えに伴い、間伐材等地域材の活用の一環として、トイレ施設をバイオマストイレに、建物をヒノキの間伐材で建築(「生活環境保全林整備事業(国有林治山)」を活用)
(参考)バイオマストイレの仕組み(A社製)
@し尿は便器から入り、調整槽でし尿以外のものを取り除き曝気槽に送られる。
A曝気槽でエアブローし攪拌した後蒸発・反応槽に送られる。
B蒸発・反応槽で間伐材チップと微生物により炭酸ガスと水に分解する。
C炭酸ガスは蒸発し、水は再利用される。
企業名 |
概 要 |
主な既設箇所 |
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循 環 型 |
A (大阪府) |
(仕組み) ・杉チップとバイオパウダーを活用し、微生物の働きでし尿(・・)等を炭酸ガスと水に分解し自然蒸発させる。 (し尿等は水と撹拌し液状とし、蒸発・反応槽で微生物により分解) ・水は浄化処理後に再利用する。 (設備・処理能力等) ・トイレ部分(便器)、蒸発・反応槽、脱色槽を地上に、調整槽、曝気槽、貯水槽を地下に埋設する大型のものから、移動して設置する小型のものがある。 ・設置型で最大200〜400人/日の処理が可能。 ・設置型で400〜900万円。 (メンテナンス等) ・設置後は杉チップの自然減少分の補充(年1〜2回)とモーターの電気代のみである。 ※バイオパウダー:し尿(・・)等を分解する微生物の「種」 |
白銀環境清掃センター(三重県津市) 国営木曽三川公園(岐阜県) 富士山登山口(静岡県、山梨県) |
B (和歌山県) C (茨城県) |
(仕組み) ・ホーラ剤を使用し、有機質汚泥がホーラ剤に注入、接触すると微生物の働きで個液分離が行われ、更に 発酵・消化される。(有機汚泥物は液状で処理槽に運ばれ発酵・分解) ・水分は浄化後に再利用し、余剰分は排水される。 (設備・処理能力等) ・一般家庭の下水から産業排水まで処理が可能である。 ・一般家庭のトイレ(5〜6人家族用)で140万円。 (メンテナンス等) ・設置後は杉チップの自然減少分の補充(年1〜2回)とモーターの電気代のみである。 ※ホーラ剤:微生物を棲みこませた汚泥消化剤 |
JR広川ビーチ駅(紀勢本線) 西広海水浴場(和歌山県) | |
完 結 型 |
D (東京都) |
(仕組み) ・杉チップのバグネストに落ちた排泄物を撹拌機で撹拌し、バグネスト中の微生物が排泄物を水と炭酸ガ スに分解し蒸発させる。 ・水分は蒸発することで残らない。 (設備・処理能力等) ・標準型(タンク容量251g)で50人/日の処理が可能である。 (メンテナンス等) ・設置後は杉チップの減少分の補充とモーターの電気代のみである。 ※バグネスト:杉材をチップ化しバクテリアの棲みかとしたもの |
釜谷浜海水浴場(秋田県)多摩森林科学園(東京都) |
E (旭川市) |
(仕組み) ・便槽内のオガクズに落ちた排泄物を撹拌機で撹拌し、排泄物に含まれる腸内細菌(バクテリア)を好気性条件下で活性化させ、水や薬品を使わず発酵・分解処理する。 ・分解された排泄物は無臭の有機肥料として使用可能。 (設備・処理能力等) ・主に家庭用、イベント会場等に使用することから小型軽量である。 ・4タイプ(2〜20人処理槽)で20〜200人/日の処理が可能。 ・4タイプ(2〜20人処理槽)で68〜220万円。 (メンテナンス等) ・設置後はオガクズの減少分の補充とモーターの電気代のみである。 |
個人住宅(北海道、長野等) キャンプ場(長野県) スキー場(北海道) |