「新たな林政における森林組合のあり方に関する検討会」報告書の概要

林野庁経営課
平成13年12月

 我が国の森林・林業を取り巻く情勢が変化し、適切な施業や管理が行われない森林が増加している中で、本年7月には森林・林業基本法が公布・施行されるとともに、その的確な実施を図るための森林・林業基本計画が、10月に閣議決定されたところであり、森林組合についても、このような森林・林業に関する新たな施策の方向を踏まえ、その役割を適切に果たしていくことが重要である。
 本検討会において、今後の森林組合のあり方について幅広く検討を行い、今般、本報告書がとりまとめられたところである。

〈 内容のポイント 〉

1 森林組合の課題への対応

(1)森林組合の事業のあり方

ア 森林管理に関する事業

○ 経営意欲が減退した森林所有者の森林の施業・経営を集約化し、林業事業体としての森林組合がその施業・経営を担い、地域全体の森林管理を進めていくことが必要

○ 地域の森林管理水準の低下が危惧される中で、市町村の行う森林管理に関する業務の補完的役割を積極的に果たしていくことが必要

○ 地域において一体的に森林管理を行うためには、森林組合が地域の森林に関する情報を的確に把握することが必要

イ 森林施業に関する事業

○ 民間の林業事業体との競争関係が高まる中で、これまで以上に施業面における効率化、低コスト化に努め、森林所有者の期待に応えていくことが必要

○ 森林整備のための地域活動に対する支援措置については、森林施業計画の作成を行う森林組合としても、積極的にこれを活用

○ 森林施業の受委託についての透明性を高めるため、施業内容、料金体系の明示等契約内容を明確化するとともに、長期の施業受託の推進を図ることが必要。

ウ 経済事業・その他の事業

○ 販売事業や購買事業に関連した商品の開発や、異業種との連携、地域材の消費拡大を目指した製材業者との協業による事業の多角化等が重要。

○ 経営の実情に応じ、加工・流通部門は、森林組合の経営とは切り離して子会社化することや民間企業との協業等も検討

○ 新たに行うべき事業として、森林体験の場の提供、森林環境教育の場としての森林の整備や森林認証取得や産業廃棄物処理等の事業展開の検討も必要

(2)森林組合の組織のあり方

ア 経営基盤の強化

○ 経営基盤の強化のための方策として、今後も引き続き合併を推進していく必要があり、その際、効率的かつ安定的な施業・経営を実施しうるよう、組織の合理化、運営体制の整備等も含めた総合的な取り組みが必要

○ 不活発組合については、組合員の意思も尊重しつつ、その存続の必要性を検討し、状況に応じて、自主解散や他の組合との合併等についての指導が必要

イ 組織管理体制の強化

○ 組合運営に幅広い意見を反映させ、組織の活性化を図るとともに、施設の効率的利用に資する観点から、組合員資格の拡充についての検討が必要

○ 地域の森林管理を一体的かつ効率的に推進していくため、組合への加入促進を積極的に図り、地域の森林管理における森林組合のリーダーシップを高めることが必要。

○ 透明性の高い組合運営を行うとともに、組合運営の健全化を図るため、常勤理事、員外理事、員外監事の設置に努めていくことが重要。

○ 業務執行体制の適正化を図る観点から、参事、会計主任等の設置に努めるとともに、研修の実施、人事交流等による職員の資質向上を図ることが必要。

○ 現場作業職員の育成のための研修制度等を確立するとともに、福利厚生面や雇用管理の改善を図るほか、林業労働力の総合的な育成確保に向けた検討を深めることが必要

2 森林組合連合会の課題への対応

○ 連合会と森林組合との役割分担を明確化し、組織の合理化、事業運営の効率化を図ることが必要

○ 今後の県森連の事業のあり方として、森林組合に対する指導・普及事業や監査事業のウエイトを高め、その上で、系統組織全体として、系統2段階制への移行のあり方の検討も必要

○ 全森連は、県森連に対する指導・普及事業、監査事業に事業を重点化するとともに、中央組織として政策提案機能を充実させることが必要


戻る / 参考1へ / 参考2へ