(参考資料2)

(平成13年11月6日 林野庁仮訳)

決議6(第31回ITTO理事会)
持続可能な木材生産・貿易と森林法施行

ITTO理事会は、

 1994年のITTA第1条、27条、30条、及び36条の関連パラグラフ及びリブレビル行動計画を想起しつつ、

 天然資源に対する各国政府の主権を確認しつつ、

 持続可能な森林経営から生産された木材の伐採及び貿易に対する需要が増加しつつあることを認識しつつ、

 持続可能でない木材生産が行われる原因の複雑さ、持続可能な木材生産を推進する必要性、更に、政府、森林所有者、産業、及び地元共同体の収入と利益を大きく増加することを目的として、消費者市場に対する適切なアクセスを推進する必要性を認識しつつ、

 持続可能でない木材生産、不適切な森林法の施行、違法な貿易、及びこれら問題の市場に与える影響は、ITTOにおける生産国・消費国双方にとっての関心事項であることを認識しつつ、

 全ての加盟国が、持続可能な木材の生産と貿易、及びITTOの持続可能な森林経営の取組みに対する貢献を増加させるために、協力することを望んでいることを認識しつつ、

 全ての加盟国とITTOが持続可能な森林経営を阻害する行為を撲滅することについて、一定の役割と責任を有することを認めつつ、

 ITTO加盟国による目標2000に向けて達成されてきた進歩を賞賛しつつ、

 持続可能な森林経営と森林法の施行を改善し、違法な貿易に対処することは、生産国・消費国の双方にとって利益にかなうことであることに注意しつつ、

 持続可能な森林経営に向けた適切な財源が欠けていること、及びこの文脈において、森林法の施行を強化する必要性があることを認めつつ、

 以下の通り、決議する。

1 事務局長が、コンサルタントに対して、自発的に参加することに関心を抱く生産国・消費国とともに、ITTOの市場と経済に関する理解を深めることを目的として、熱帯木材と国際貿易に係る木製品の輸出入データについてアセスメントを行うことを認めること。

2 加盟国から、持続可能でない木材生産、森林法の施行、及び熱帯木材の違法な貿易を優先事項として対処するための国内的な能力開発を行うための原資を引き出すことを目的として、ITTOの支援を必要とする国々に対して、自発的に、これらの問題に対処するためのプロジェクトをITTOに提案するよう促すこと。

3 1994年のITTAの文脈において、他の国際機関と協力しつつ、違法な木材・木製品貿易の程度、性質、及び原因を地球規模で調査し、その防止について提案を行うことを将来的に検討すること。

4 事務局長が、熱帯木材の市場アクセスに影響を及ぼす関連事項の情報を収集・分析し、この情報を、第33回理事会において提出し、理事会の検討に付するとともに、適切な措置を検討すること。

5 事務局長に対して、生産国の要請に基づき、コンサルタントが、必要に応じて、違法な木材貿易とその影響を考慮しながら調査を行い、生産国による森林法施行促進のための方策に関する検討を支援することを認めること。

6 加盟国に対して、情報を共有することを目的として、目標2000に向けたプログレス・レポートの中に、持続可能な森林経営、木材生産、及び貿易慣行、特に森林法の施行、熱帯木材・木製品の市場アクセスに対する支障に関する情報を含めることを要請すること。

7 事務局長に対して、本事案に係る他の国際機関によるこれまでの作業に従うとともに、必要に応じて当該機関に貢献し、そのことについて理事会に対して報告を行うこと。

8 事務局長に対して、本決議の目的に対して資金を融通するためには既存及び新規の資金が必要であることを理解しつつ、本決議の実施に必要な資金を融通するために、加盟国からの特別会計への自主的な出資を要請するとともに、これに対して十分な出資がなかった場合には、バリ・パートナーシップのパラ1,4及び5に基づき、当該資金B勘定からの支出を行うことを求めること。

 

 

別紙1 輸出入データのケーススタディに係る調査の契約条件

1 特定の国々に関して、ITTO及び他の機関から利用可能な貿易統計について予備調査を行うこと。

2 それぞれの国について、予備調査によって発見された不整合の性質と程度に関するレポートをとりまとめること。

3 予備調査を踏まえて、貿易統計報告システムを調査するために特定国へミッション派遣すること。本ミッションは、以下の事項について検証を行う。

・報告の詳しさも含めた、貿易統計報告システムの全体的な検証
・不整合の見出された品目に対する、個別の通関記録の分析も含めた検証
・計測基準及び報告様式の違いによる影響の調査(例:計測単位、分類方式、報告期間等)
・品目間及び品目コード内における分類違いに関する調査(例:製材−モールでぃんぐ、針葉樹−広葉樹)
・船荷証券又は通関報告上の目的地と実際の目的地が異なる、「三角貿易」に関する調査
・出荷時の平均価格及び他のデータの分析による、価格移転の行われている可能性に関する調査
・換算率の比較(重さ、面積、又は価格→体積)
・今後の調査を要する分野の特定

4 統計報告システムを強化するとともに、違法貿易問題に対処することを目的として、確定された問題をまとめ、加盟国及びITTOのとるべき行動に関する勧告を行うこと。

5 とりまとめたレポートを第33回理事会に報告すること。