プレスリリース |
平成13年2月22日
林 野 庁
1 概要
近年、社会問題化しているスギ花粉症問題に対する森林・林業面からの対策の一つとして、林木育種センター及び都県が連携して、10か年ほどにわたり、関東及びその近県において、成長や幹の通直性等に優れたスギ精英樹を対象に、雄花の着生量を継続して調査しました。この結果、雄花の着生が全く認められないか、きわめて僅かであるスギ42品種を開発し、今春から原種を希望する県に配布することとしました。
平成9年に公表した15品種と合わせ57品種となり、本格的な花粉症対策品種の普及が始まります。
花粉の少ないスギ品種(精英樹)名は別紙のとおりです。これらのスギ品種は、平年では花粉を生産せず、また、生産してもごく僅少で、花粉飛散量の多い年でもほとんど花粉を生産しません。すなわち、花粉生産量は一般のスギに比べ、約1%以下です。
なお、今回の品種開発の対象とした地域は、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、長野、岐阜、静岡、愛知の13都県です。
3 今後の取組
先の15品種と合わせ花粉の少ない57品種の原種は、林木育種センターで保存しています。15品種は平成11年から要望のあった千葉県及び山梨県へ採種園・採穂園造成用の原種を苗木で配布しております。今回開発した品種についても、すでに原種の配布要望の声が出ており、林木育種センターでは、採種園・採穂園造成用に必要なさし木・つぎ木用の穂木については、今春から県へ配布を行うこととしています。
また、各県の既存の採種園や採穂園の中から,花粉の少ない品種を中心に苗木生産用の種子や穂木を採取すれば、2、3年後にはこれらの品種が森林に植えられることになります。
注)精英樹:環境が同じ地域の林木のうちで同種、同齢の林木に比べて成長、その他の性質が優れているもの。
原 種:開発した品種そのものの特性を維持しつつ増殖したもの。
採種園:優良個体の実用種苗を種子により大量に生産するために、種子採取用に設けられた樹木園。
採穂園:優良個体の実用種苗をさし木で大量増殖するために、さし木用穂木の採取用に設けられた樹木園。
担 当:林野庁森林整備部研究普及課 亀田 連絡先:代 表 03−3502−8111 (内線 6354) 直 通 03−3501−3845 |