ホーム > 生物の多様性の保全 > 森林の恵みと危機~九州の生物多様性~ > 世界の生物多様性の喪失
世界中で森林や生物多様性の喪失が問題となっています。世界の森林面積はこの300年間で40%消失したといわれています。現在でも、毎年、日本の面積の5分の1に当たる森林が消失しています。また、これらによる生態系の破壊、生物種の減少等が大きな問題となっています。
|
|
現在では地球上で一年間に4万種もの生物種が絶滅しているとも言われている。 (ノーマン・マイアース著「沈みゆく箱船」(1981)より作成) |
毎年、1,300万ha(九州の約3.3倍)の森林が消失しています。
特に、「生命の宝庫」といわれるアマゾンの熱帯林は伐採後に7割が農地・放牧地に転用されていると言われています。
ブラジルアマゾンの森林伐採 (出典:IPA「教育用画像素材集サイト」) |
家畜(山羊)の過放牧により採餌圧が過剰にかかり、生態系の劣化、破壊が進んでいます。
特に、植生の再生力の弱い乾燥地では砂漠化が進行していると言われています。
乾燥地での過放牧 |
熱帯地域などでは、森林が保護区などに指定されているにもかかわらず、大規模・商業的に伐採されている事例が指摘されています。
違法に伐採された熱帯地域の森林 |
北極圏周辺の永久凍土の上に広がる森林(ツンドラ)では、永久凍土の融解や森林火災が近年多発し、森林が縮小しており、気候変動が原因といわれています。
永久凍土の融解により形成された沼地 |
1992年にブラジルで開催された国連環境サミットに先立ち、生物多様性の保全と持続的利用について定めた生物多様性条約が採択されました。これまでに190以上の国と地域がこの条約を批准し、その保全に向けて取り組んでいます。
世界の動き1992年 生物多様性条約採択 2010年までに生物多様性の損失の顕著な減少などを掲げた2010年目標を採択 2010年 条約事務局は地球規模生物多様性概況第三版(GBO3)を公表 今後も大規模な種の絶滅や生息域の減少が続くと予測 |
日本の動き1993年 生物多様性条約を批准 各種法律の制定・改正を実施 2007年 第三次生物多様性国家戦略策定 2008年 生物多様性基本法制定 2009年 森林における生物多様性の保全及び持続可能な利用の推進方策策定(林野庁) 2010年 生物多様性国家戦略2010策定 |
これまでの取組や戦略を踏まえ、閣議決定された生物多様性国家戦略2010では、生物多様性を脅かす危機の構造が示され、これに立ち向かう四つの基本戦略、2050年に向けた短・中期目標が策定されました。
○生物多様性の危機の構造
①三つの危機 ・人間活動や開発による危機 ・人間活動の縮小による危機 ・人間により持ち込まれたものによる危機 ②地球温暖化による危機 |
○四つの基本戦略
①生物多様性を社会に浸透させる ②地域における人と自然の関係を再構築する ③森・里・川・海のつながりを確保する ④地球規模の視野を持って行動する |
○2050年に向けた短・中期目標
短期目標 生物多様性の把握や保全などに向けた活動の拡大、持続可能な利用、社会経済活動への組み込み |
中期目標 2050年までに生物多様性を現状以上に豊かにする |
開発等による森林の荒廃は私たちと無関係ではありません。世界各地の森林を保全するためにも、合法性や森林の持続性を考慮した木材の購入といった生産地への配慮や我が国でまかなえる木材資源の有効活用が重要です。
例えば間伐材を使用した身近な製品を積極的に使用することで、世界の森林の保全、我が国の林業・山村の活性化や地球温暖化防止に貢献することもできます。 |
計画保全部計画課
担当者:生態系保全係
代表:096-328-3500(内線559)
ダイヤルイン:096-328-3500
FAX:096-311-1284