28年度実践研修(近畿中国ブロック)
近畿中国森林管理局では、若手技術者を対象に、地域において森林総合監理士活動を実践していく上必要な知識技術をレベルアップさせるため、地域特性等を踏まえた課題等をテーマに設定し現地検討方式で行う実践研修を、岡山県新見市で行っています。 |
実践研修では、近畿中国森林管理局管内の若手技術者12名(県府職員6名、国職員5名、民間1名)を対象に、3日間の日程で「トータルコスト造林の縮減に向けた技術者としての在り方」をテーマに現地検討を行いました。
【講義】低コスト造林の取組に向けた背景とねらい、植栽本数低減例
- 3日目:【検討発表全体討論】「トータルコストの縮減に向けた工夫」をテーマに課題や解決策の検討・発表
平成28年10月19日~平成28年10月21日
1日目(平成28年10月19日)
実践研修(近畿中国ブロック)がスタートしました。
この研修には、近畿中国管内(京都府、三重県、和歌山県、兵庫県、広島県、山口県)から、12名の研修生が岡山県新見市に集合しました。
開講式
林野庁近畿中国森林管理局 中村技術普及課長から「我が国の森林の現状は、植栽後50年を迎えるものが大半を占める中で、この貴重な森林資源を循環利用し林業の成長産業化を図ることが急務であるところ。しかし、木材価格の低迷により所有者の主伐に対する意欲が希薄であり中々進まない状況である。これらを打開するためには、施業の集約化を図り、川下である製材・合板工場等のニーズに合った原木を安定的に供給を図り価格の安定を図ること。また、林業を行う上でのトータルコストの低減を図ることが必要であると考える。特に造林コストの7割を占める植付から下刈りまでのコストを低減を図ることが重要であると考えられることから、今回の研修では、各地域の森林の状況を考え、どのような手法をもって所有者に対して如何に還元できるかを考えて研修を受講いただきたい。」旨の挨拶がありました。
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オリエンテーション
事務局から、研修全体の注意事項の説明の後、倉石プロセスマネージャー兼講師(林野庁近畿中国森林管理局技術普及課企画官(民有林連携担当))によるアイスブレイクが行われました。受講者の緊張もほぐされ、和やかな雰囲気に包まれました。
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アイスブレイクで緊張がほぐれたところで、今回の研修への意気込みを含めて自己紹介を行いました。
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実践研修ガイダンス
続いて、細川講師(林野庁近畿中国森林管理局 森林技術・支援センター所長)から、研修の概要と全体のカリキュラムについて説明がありました。
「主伐期を迎える森林が多くなりつつある現状の中、伐採後の再造林は採算性等の問題から難しくなっています。このため、主伐後の再造林について、できるだけ低コストで簡単に造林を行うノウハウが求められています。本研修では、低コスト再造林実用化の実現に向け知識や技術を補強し、現地検討を行います。」
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【講義】一貫作業システムによる低コスト再造林の課題
研修1日目、奥田史郎講師(森林総合研究所関西支所森林生態系グループ長)から、一貫作業による低コスト育林技術の開発、関西地域で多い実生ヒノキのコンテナ苗の活用による造林における活着、成長比較と今後の課題について講義がありました。
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【講義】コンテナ苗生産の工夫と現状について
続いて、長畑州三講師(豊並樹苗生産組合組合長)から、コンテナ苗の生産育苗方法、技術の特徴について講義がありました。
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コンテナ苗ついて講義を行う長畑講師 |
真剣に聴講する研修生 |
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【講義】シカ捕獲の取り組み事例~シカ害を中心とした獣害被害防止策(捕獲について)
研修1日目の最後は、坂田宏志講師((株)野生鳥獣対策連携センター常務取締役)から、再造林の回避及び造林育林コスト増大の一因となっているシカ被害の低減に向けて、シカの捕獲技術(体制を含む)や捕獲効率の向上、安全性について講義がありました。
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講義中の坂田講師 | 坂田講師へ質問する研修生 | 研修生からの質問に答える坂田講師 |
講義終了後、明日の現地検討会の進め方の説明を受けて、1日目の研修は終了です。 お疲れ様でした。
明日は、新見市内の国有林で現地実習を行います。
2日目(平成28年10月20日)
研修2日目は、午前中は新見市内の国有林(三光山国有林)で現地検討を行い、午後からは、低コスト造林の取組に向けた背景とねらい等の講義と発表の取りまとめを行いました。
【現地検討】三光山国有林
三光山国有林において、試験地の概要と普通苗とコンテナ苗の生長量を学び、実際にコンテナ苗の植付作業を体験、その後、下刈り省略の可能性について検討などを行いました。
最初に植栽試験地の概要と普通苗、コンテナ苗の生長量についての説明がありました。
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細川講師より概要説明 |
池田講師(林野庁近畿中国森林管理局林技術支援センター森林技術普及専門官)より生長量の説明 |
細川講師、池田講師からコンテナ苗の植付作業の功程や植栽方法、植栽器具の説明が行われ、研修生自ら、実際にコンテナ苗の植え付けを行い、普通苗を植栽した時よりも植付の容易性などを確認しました。
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細川講師、池田講師より植付作業について説明を受ける |
植付方法について指導を受ける研修生 |
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実際にコンテナ苗を各植栽器具を使って植栽体験をする研修生 |
植付体験をする研修生 |
次に下刈り省略の可能性について検討を行いました。
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細川、池田両講師より無下刈り区域と隔年下刈り区域の生長について説明を受ける |
奥田講師より被り度について説明を受ける |
下刈り省略の検討を行う研修生 |
続いて、森林技術支援センター植栽試験地において生育確認を行った。
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池田講師より試験地の生育状況の説明を受ける | 試験地にて生育確認を行う研修生 | 試験地にて生育確認を行う研修生 |
下山した後、全体の質疑を行い、最後に鹿防護ネット及び早生樹の説明を受け、現地検討は終了しました。
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熱心に質問をする研修生 | 研修生の質問に回答する細川講師 |
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池田講師よりシカネット(斜め張り)について説明を受ける |
池田講師より早生樹の生育状況について説明を受ける |
【講義】植栽本数低減例紹介等
午後から、研修会場である森林技術・支援センターに戻り、中村技術普及課長より低コスト造林の取組に向けた背景とねらいについて講義を受け、続いて、積講師(近畿中国森林管理局森林整備部企画官(技術開発・普及担当))より、低密度植栽林分の状況(下刈終了後等の林分の事例紹介)、成林した林分における形質材質の検証(標準伐期齢を越えた低密度植栽林分(事例)における幹形(細り)木材強度の状況)について、講義がありました。
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積講師より植栽本数低減例について説明を受ける |
発表とりまとめ
続いて、明日の発表に向け、現地で確認した問題課題を整理し、次の点の取組を中心に、その解決策の検討を班毎に行います。
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【題名】 トータルコストの縮減に向けた工夫
【キーワード】 一貫作業システム 地拵え コンテナ苗 保育作業 植栽本数 獣害対策 |
倉石講師より取りまとめ、発表方法について説明を受ける | ||
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講師からのアドバイスを受けながら検討を行う研修生 | 意見を出し合いなが検討を行う研修生 | 意見を出し合いなが検討を行う研修生 |
明日の発表に向けて検討が終われば、2日目終了です。研修生の皆さんお疲れ様でした。
3日目(平成28年10月21日)
研修最終日です。研修で学んだことを踏まえて、2日目に検討した内容について3班に分かれて発表を行います。
発表
本日は、各班毎に、KP法(紙芝居プレゼンテーション法)を用いて発表を行い、その後質疑応答を行いました。
1班 | 2班 | 3班 |
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発表者に質問する研修生 | 質問に答える発表者 |
最後に、林野庁森林整備部研究指導課沖森林保全専門官及び講師陣からの講評と取り纏めがあり、発表は終了です。
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沖森林保全対専門官 |
細川講師 |
奥田講師 |
このあと、研修生は3日間の研修をふりかえりながらアンケートを記載し、すべての研修カリキュラムを無事終了しました。
閉講式
閉講式では、林野庁近畿中国森林管理局 中村技術普及課長から、研修生の皆さんへ、今後の活躍への期待を込めたメッセージで締めくくりました。
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研修生の皆さん、3日間の研修お疲れ様でした!
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お問合せ先
森林整備部 技術普及課
担当者:企画官(民有林連携)
代表:06-6881-3500(内線3524)
ダイヤルイン:050-3160-6786
FAX番号:06-6881-3553