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平成25年9月22日(日)「春日奥山古事の森」の普及を目的に、奈良女子大学記念館において、奈良の古い街に建つ町家など伝統的な木造建築について考えるシンポジウム「古都奈良のまち並みと木造建築」が春日奥山古事の森育成協議会(会長:岡本彰夫春日大社権宮司)の主催により開催されました。
「春日奥山古事の森」は、歴史的木造建造物の修復用資材の供給に寄与するため、社寺や民間企業、関係行政機関、NPO法人等でつくる「春日奥山古事の森育成協議会」と連携・協力を図りながら、200~400年というこれまでにない超長期にわたる森林づくりの象徴的な取組として、平成15年度に春日山原始林に隣接する地獄谷国有林(奈良市)に設定されています。
当日は、一般参加者や春日奥山古事の森育成協議会関係者、ボランティア団体など、約300名が参加し、第1部のシンポジウムでは、昨年度に引き続き、日本の木の文化の下支えとなる日本古来の大衆の木造文化である町家・町並みをテーマに、「歩いて楽しむ奈良町(奈良町と町家の特徴)」と題した、上野邦一奈良女子大名誉教授からの基調講演では、奈良市内の町家の特徴の紹介や、「ガイドブックにあるように食べて、遊ぶのも良いが、ランドマークやアイストップを確認したり、じっくりと建物の美しさ・良さを眺めながら歩くのも良い」と町家の魅力が語られました。
基調講演の後、(財)ユネスコ・アジア文化センター文化遺産保護協力事務所長西村康氏をコーディネーターとし、建築家の藤岡龍介氏、鍋屋連絡所の保存・活用と“奈良きたまち”のまちづくりを考える会(通称:鍋活)事務局次長新井忍氏、奈良女子大名誉教授上野邦一氏、奈良森林管理事務所才本隆司所長の4名がパネラーとなり、「木造建築物の良さを活かしてまち並み再建」をテーマにパネルディスカッションが行われました。
各パネラーからは、約20年間空き家のまま放置されていた建物を改修し町宿(宿泊施設)として再生したエピソードやまちづくりに取り組む苦労話、自身で所有する町家の修復の課程と修復後の利用を事例に、木造建築の良さ、木の文化の継承について紹介されるなど、伝統建築を活用したまちづくりへのアイデアについて活発な意見交換が行われました。
また、コーディネーターの西村康氏から発言を求められた近畿中国森林管理局前川局長からは、古事の森は木をつくる取組であるが、良い材料があってもそれを使用する技術がなければ活きてこない、技術の承継を支えていくことも大切ではないかとの意見がだされました。
第2部の「町並み探険」では、きたまち散策、ならまち散策、若草山登山の3コースに分かれ、きたまち散策は鍋活の会員、ならまち散策は奈良市役所職員の協力により、古い町並みを歩きながら、転害門や格子の家などの名所を散策しました。また、若草山登山コースでは、グリーンあすなら(奈良巨樹・巨木の会)会員の案内で若草山二重目に登り、奈良市内の古い町並みの眺望を楽しみました。
参加者からは、「日本の伝統的な木造建築は社寺仏閣だけでなく身近な町家にも引き継がれていることがわかった。」、「日本人は昔から木をうまく使ってきたことがわかり、木を使う技術の継承が必要だと思った。」などの感想も聞かれました。
当所では、今後も古事の森育成協議会との連携を密にして「古事の森」の普及啓発に向けて取り組む方針です。
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