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近畿中国森林管理局

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    大杉谷国有林からの手紙(52通目)

    PDFはこちら→大杉谷国有林からの手紙(52通目)(PDF : 545KB)

    ~大杉谷の地質~  2021年7月

      大杉谷は国立公園や森林生態系保護地域に指定されるほど様々な動植物が多く生息しており、つい大杉谷を訪れる人たちは動植物に目を惹かれがちです。しかし、大杉谷は動植物のみならず大地や気候の力が作り出す地形も魅力の一つです。今回の大杉谷からの手紙では、大杉谷の地形について紐解いていきたいと思います。

    (1)大杉谷はどんな地形をしているの?

      51通目でお話しした登山パトロールで登山開始時、私は大杉谷の動植物に興味を持っていました。しかし、大杉谷を歩いていると突然目の前が開けたかと思うと写真1のような断崖絶壁がそびえ立ち、写真2のような滝が次々と現れます。ふと気づいた時には、この美しく魅力的な大杉谷の地形に私の心は奪われていました。
      しかし、なぜこのような断崖絶壁や滝がいくつも私たちの目の前に現れるのか。どうして大杉谷はこれほど特徴的な山になったのか考えていきたいと思います。

    写真1 平等窟の様子

    写真2 堂倉滝の様子

     (2)大杉谷の岩石について



      私はまず大杉谷の岩石が特徴的なのではないかと思い調べてみました。すると大杉谷にある岩石は、私たちの身の回りにもあるような岩石で構成されていました。主な岩石は砂岩・泥岩・石灰岩・チャートです。
      砂岩・泥岩は文字どおり砂と泥でできているのですが、砂と泥の違いは粒の大きさで分けられているそうです。それでは砂岩と泥岩の写真を見比べながら見ていきたいと思います。

    写真3 砂岩の画像

      写真3は砂岩になります。写真ではわかりづらいですが、砂は粒が大きいため小さなつぶつぶが見え、表面を触るとざらざらとしています。写真4は泥岩で、砂岩と比べると粒が小さいためつぶつぶが見えづらく、表面は多少ざらざらしていますがなめらかになっています。大杉谷ではこの砂岩と泥岩に石灰岩・チャートが複雑に混じって存在しています。
      石灰岩は、貝殻やチョークなどの成分と同じ成分でできており、簡単に割れてしまうのが特徴になります。チャートはとても硬いため昔は火打ち石として利用されていました。

    写真4 泥岩の画像

      ここでは大杉谷の岩石についてお話してきましたが、身の回りにあるような岩石と特徴的な大杉谷の地形にならないのでは?と思われたのではないでしょうか。そこで少し視点を変えて大杉谷特有の気候について見ていきたいと思います。

     (3)大杉谷特有の気候がもたらす岩石への影響



    写真5 雨の日の大杉谷の様子

      大杉谷は昔から「弁当忘れても傘忘れるな」と言われるほどの雨の多い地域となり、雨の時期になると毎日のように雨が降り続きます。また、大杉谷の1年間に降る雨の量を調べてみると日本の平均よりも2倍以上の量になるそうです。
      雨は地面に落ちると土などを跳ね上げ少しずつ地面を壊します。そして、雨が降ると地表のいろんな場所に水の流れができ、この水の流れは地面を削り、土などを運び出しときには地形までも変えてしまうのです。
      大杉谷は雨が多いという特徴から雨がもたらす力がとても強くなります。雨の力によって、前段でお話した大杉谷の岩石たちは壊され、削りとられ、運び出されます。その結果、写真1、2のような断崖絶壁や滝が多く現れる地形になったのではないでしょうか。今回は岩石と気候から地形について考えていきましたが他にも原因があるのかもしれません。

      今回の大杉谷からの手紙では大杉谷の地形についてお話をさせていただきました。大杉谷は動植物のみならず少し視点を変えても私たちを楽しませてくれます。大杉谷に来られた際は足元に転がる石や地形に目をやり自然の力強さを感じてみてください。


    2021年7月
             編集:三重森林管理署   尾鷲治山事業所   係員
             発行:三重森林管理署   尾鷲森林事務所   地域統括森林官

    お問合せ先

    三重森林管理署

    ダイヤルイン:050-3160-6110
    FAX番号:0595-82-8792

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