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近畿中国森林管理局

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    大杉谷国有林からの手紙(53通目)

    PDFはこちら→大杉谷国有林からの手紙(53通目)(PDF : 729KB)

    ~襲い来るシカから苗木を守る!~  2021年10月

      暑い夏が過ぎ大杉谷国有林は一足早く秋を感じられる季節になってきました。
      今回の大杉谷からの手紙では、「大杉谷の森林を再生する取組」についてお話しさせていただきます。

    (1)木のない場所について

      林道から大杉谷を見渡すと周りとは少し色の違う場所が見えることがあります(写真1)。登山などで訪れた方は見たことがあるのではないでしょうか。
      実際に近くで確認してみると、周りの色と違う場所は、草が生えているものの木がほとんど生えていないところでした。私たちはこのような木のない場所に苗木を植え森林を再生する取組を行っています。
      ここで、「苗木を植えなくても、写真1のように周りに木があれば自然とカエデ、ブナなどの種が落ちて芽生え森林に戻るのではないか。」と思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、樹木の芽生え育つのをシカが邪魔しているのです。

    写真1 木のない場所

      (2)シカの影響

    写真2 シカの子供

      写真2は大杉谷の麓付近で見かけたシカの子供です。見た目が愛くるしく山で見かけると、思わずうれしくなってしまいます。
      しかしシカは、周りの木から落ちた種が発芽した新芽を食べてしまい、なかなか木が育ちません。また、人が植えた苗木も食べてしまうことから、シカが多い地域では、木のない場所に苗木を植えたとしてもそのままではなかなか大きく育ちません。そこで私たちは、苗木を植えた後にシカに食べられない取組を行っています。

      (3)シカから苗木を守る

      写真4をご覧下さい。森の中に金属の柵が作設されています。実はこの柵が先ほどお話したシカによる食害から苗木を守る方法の一つです。
      私たちはこの柵を「シカ柵」と呼んでいます。高さ2mの鉄の棒(支柱)と金網でできており、積雪の重みにも耐える頑丈な柵です。このシカ柵で苗木の植え付け箇所を囲むように設置し、シカの侵入を防ぎます。
      それではシカ柵がどれほどシカの害を防いでくれるのでしょうか?

     写真3 シカ柵

    写真4 平成30年に設置されたシカ柵

      写真3のシカ柵は令和3年に設置したもので、シカ柵の内(写真3左側)と外(写真3右側)ではあまり変化は見られません。
      写真4は平成30年にシカ柵を設置した箇所の写真です。4年経過した現在ではシカ柵で囲われている場所(写真4左側)は草木が生き生きと育っているのがわかります。しかし、シカ柵で囲われていない場所(写真4右側)はほとんどの草木が生えておらず荒れてしまっています。
      このようにシカ柵があるかないかでこれほどまでに草木の育ち方に変化が現れます。

      写真4のように苗木を長い期間守ってくれるシカ柵ですが、残念なことにシカに侵入されることもあります。
      侵入方法はいろいろありますが、シカ柵が倒木により壊されて侵入される場合や、山の斜面を利用し、助走をつけ柵を飛び越えて侵入する場合などがあります。
      そうなってしまうとせっかく植えた苗木たちはシカの格好の餌食となってしまいます。
      そのため、写真5のように定期的にシカ柵の状態や苗木が食害にあわず生育しているかなどの確認を行っています。

    写真5 シカ柵内確認

      (4)苗木のその後

    写真6 苗木

      大杉谷で採取した種を生育させ大切に植えた苗木は、大杉谷の大自然の中で育っていきます。環境に耐えきれず枯れてしまう苗木もありますが、写真6のように大きく葉を広げすくすくと育ってくれる苗木が多いです。
      私たちは元気に育った苗木を大杉谷で見るたび、美しい大杉谷の景色を守り育てていると感じます。
      今年の春に植えた苗木たちは、長い年月をかけて大杉谷の森林が少しずつ再生していくのが楽しみです。

      苗木を植えて森林に育てるには、大杉谷以外の地域でもシカの食害から苗木を守ることが必要です。そうやって山に森林がつくられていることに思いをはせて見ていただければと思います。



    2021年10月
          編集:三重森林管理署  尾鷲治山事業所  係員
          発行:三重森林管理署  尾鷲森林事務所  地域統括森林官

    お問合せ先

    三重森林管理署

    ダイヤルイン:050-3160-6110
    FAX番号:0595-82-8792

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