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「嵐山国有林の取扱に関する意見交換会」の第3回会合を開催

10月23日(金曜日)に、「コミュニティ嵯峨野」(京都市右京区)において、「嵐山国有林の取扱に関する意見交換会」の第3回会合を開催しました。今回の会合では、高橋委員((独)森林総合研究所関西支所主任研究員)及び三好委員(京都府立大学助教)から、それぞれ獣害及び治山の観点より、嵐山国有林の取扱に関する考え方について発表を行って頂きました。
意見交換会には、前回に引き続き、地元関係者3名と専門家4名、計7名に委員として参加して頂きました。あわせて、京都市・京都府の関係部署から4名にオブザーバーとして出席して頂きました。
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意見交換会の様子

当日は、まず、高橋委員より、「シカとどうつきあうか」と題して、主に以下の点について発表が行われました。

・嵐山国有林の下層植生はシカの低嗜好種が優占。林内には、随所に「ブラウジング(採食)ライン」(※シカの口の高さまで採食された状態)が形成。
・林内での撮影では、一度にシカ7頭が同じ場所にいたことを確認。
・嵐山国有林を日常的な行動範囲とするサルの群れが存在しており、相当の折損被害を起こしている。
・林内のどこでもシカによる更新被害とサルによる折損被害が生じうる状態。
・シカと人間の関係は、大昔から「食うか食われるか」のシビアな関係。シカの防除は不可欠。
・今後の対策としては、獲って食べることと、守るべき場所を守ることが重要。

続いて、三好委員より、「嵐山の治山」と題して、主に以下の点について発表が行われました。

・嵐山国有林では、下層植生の衰退により、斜面中~下部の土石が移動しやすい状況にあり、落石の危険性が増大している。
・下層植生の衰退などの条件変化により、小規模な崩壊が発生する危険性あり。土層厚の増大により、比較的大規模な崩壊が起こる可能性もある。
・落石防止については、ネットやアンカーによる発生源対策、落石防護柵の拡充・維持管理、植生導入による落石の発生抑制・堆積促進が考えられる。
・崩壊防止については、山腹工の実施、不安定土砂の人為的除去、老大木の伐採が考えられる。
・荒廃防止のみならず、風致施業の基盤形成も重要。
・落石や崩壊を皆無にすることは不可能。入山者への十分な情報伝達と入山者の管理が重要。このためには、地元の主体的な貢献・協力が不可欠。


発表を踏まえて、委員の間で熱心な議論が行われました。議論の中では、委員より主に以下の点について発言がありました。

・シカの活動範囲となっている緩傾斜地では、森林が崩壊してもおかしくない状態にある。シカの餌となる植物はまだまだあるので、シカが減ることはない。
・全域を守るのは無理なので、重要な場所からシカを排除することが必要。できることからやるしかない。
・国有林上部では、コナラの大径木化が進んでおり、落石の発生やカシナガ被害による枯死の可能性がある。コナラ高木の早期処理が重要。
・国有林のみならず、民有林も含めた地域全体での取組が重要。
・嵐山国有林から最も利益を受けているのは地元なので、地元の協力が何よりも大事。
・今回の意見交換会は、植生、景観、獣害、治山の専門家が分野の垣根を越えて議論する画期的な取組であると考える。

最後に、次回会合は、12月中旬を目途に日程調整を行うこととしました。次回会合では、事務局より「とりまとめ(案)」について発表を行った上で、意見交換を行う予定です。

なお、当日午後は、自由参加による嵐山国有林の現地見学会を開催しました。現地では、当所職員のみならず、専門委員からも各種トピックについて詳細な説明が行われ、活発な意見交換が行われました。
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現地見学会の様子

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