木材は人にやさしい
木材は、断熱性が高く、調湿作用があり、目に与える刺激が小さいなど、人に心地よい感覚を与える素材です。
ここでは、そうした「人にやさしい」木材の特長をみていきましょう。
適度な湿度に保つ
木材は、空気中の湿度が高いときには水分を吸収し、湿度が低いときには水分を放出するという調湿作用をもっています。このため、木材を建物の内装などにたくさん使うと、部屋の中の湿度の変動は小さくなります。
断熱性や衝撃に対する安全性が高い
木材は、無数の細胞からなり、そのひとつひとつに熱を伝えにくい空気を含んでいるため、コンクリートなどに比べ高い断熱性をもっています。木材、ビニールタイル、コンクリートを床材にして、足の甲の皮膚の温度変化を測定すると、コンクリートがもっとも足が冷え、木材がもっとも冷えなかったという結果が得られています。
また、木材は、パイプ状の細胞が柔軟に変形してクッションのような役目をするので、例えば、大理石に比べて2~3倍の衝撃吸収能力があります。
このため、床や壁に木材を上手に使用することは、転倒などによるけがの防止につながります。
資料:山本孝 他「木材工業」Vol.22-1.P24,1967 | 材料で違う衝撃吸収率 資料:宇野英隆「建築アラカルト」 鹿島出版社(1986) |
目にやさしく、音をまろやかにする
紫外線は私たちの身体に悪い影響を与えることがあり、海や雪山ではこの有害な紫外線から目を守るためにサングラスをかけて目を保護します。
木材は、紫外線をよく吸収するため、木材から反射する光にはほとんど紫外線は含まれません。紫外線の反射が少なければ、目に与える刺激も小さくなることから、木材は目にやさしい材料であるといえます。
また、木材は、音を適度に吸収してまろやかにし、心地よく感じる範囲に調整してくれます。木材を使った部屋は「音がいつまでも響かず適度に反射する」ので音が聞きやすいといわれています。
木材は健康に良い
木材は、人の生理面や心理面に良い影響を与えることが知られています。
例えば、特別養護老人ホームでの調査によると、木材を多く使用している施設では、インフルエンザにかかったり、転んで骨折をしたりする入居者が少ないという結果が出ています。
特別養護老人ホーム入居者を対象とした、施設の木材使用度別の心身不調出現率比較
有意差(P<0.01)の認められたもの
資料:全国社会福祉協議会「高齢者・障害者の心身機能の向上と木材利用-福祉施設内装材等
効果検討委員会報告書」。調査期間は平成9年12月から平成10年1月。
このように、木材が健康に良い影響を及ぼすことは、動物実験でも確かめられています。
マウスを使った実験では、木製の飼育箱で生活するマウスの方が、金属やコンクリートの飼育箱より生存率が高い結果がでています。体重の変化を見ても同様です
資料:伊藤他、静岡大学農学部(1987年)
木の香りでリラックス
資料:森林総合研究所 宮崎良文ら
塗装の違いでリラックスしたりストレスを感じたり
資料:森林総合研究所 宮崎良文ら
木質居室でリラックスしたりわくわくしたり
資料:森林総合研究所 宮崎良文ら
木の香りでダニ防除
資料:森林総合研究所 宮崎良文ら
- 木の香りは、体をリラックスさせ、ダニの行動を抑制します。
- 塗装の違いは、リラックス状態やストレス状態を生じさせます。
- 各種木質居室は、リラックス状態やわくわくした状態をもたらします。
- 木質居住環境は、一般的に生理的リラックス効果をもたらします。
- 「個人の価値観に応じた環境の創造」に寄与します。
ある小学校で、木製の机と椅子を導入したところ、子ども達が、物事に熱心になった、あくびがあまりでなくなったといった「良い傾向の変化」が多かったという調査結果も出ています。
木製の机・椅子が導入された後の授業中の子どもの様子(教師から見た様子)
お問合せ先
林野庁林政部木材利用課
担当者:消費対策班
代表:03-3502-8111(内線6122)
ダイヤルイン:03-6744-2296