更新日:2011年5月10日
担当:上川中部森林管理署
外国樹種見本林
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外国樹種見本林の歴史
見本林設定までの経緯
- 北海道は現在、山岳地帯を除いてほとんどの土地が、居住地や田畑となり、市町村をつなぐ交通網が発達するなど近代化を遂げたが、これらの土地は、かつて百数十年前、鬱蒼とした原生林に覆われていた。
- 幕藩時代以来、道南地方から和人移住が始まり、主に漁業を営み海岸線に点々と集落を形成し発展してきたが、生活上必要な燃料、鰊粕製造用の燃料、建築や造船資材として木材を確保するため、周辺の森林が伐採され荒廃が進んでいった。
- 北海道開拓の進展に伴い、伐採や山火事の発生により森林が失われ、各地で災害が発生するようになったことから、森林の保護、伐採の抑制といった育林思想がようやく台頭してきた。
- 入植当初は、「望郷移植」という形でスギ、マツなどの植栽が行われたが、開拓使が植林を奨励し、郷土種を始め本州からの移入種や外国樹種を多くを播種し、気候に耐えうる樹種の育成を図ることとなった。
- 明治中期以降、信州カラマツの造林が盛んになるが、郷土樹種のトドマツ、エゾマツ等の育苗技術が確立していない中で、外国技術者の指導を受けながら外国樹種の育成が進められた。
1854年(安政3年) | 七重村に幕府が官園(薬園)を開設し、スギ、マツ、クワ、コウゾ、ウルシ及び薬草の栽培を開始した。 |
1869年(明治2年)7月 | 明治政府が開拓使を設置し、蝦夷を北海道と改称し、北海道の本格的な開拓が開始された。 |
1871年(明治4年)4月 | 黒田清隆開拓使次官が、北海道の開拓や農業経営等の模範をアメリカに求め、米国農務省長官(農務局長)ホーレス・ケプロン(Horace Kapron) を開拓使顧問として招聘した。【1871年(明治4年)8月来日、1875年(明治8年)5月帰国。滞日3年10ヶ月】 |
1871年(明治4年)9月 | ケプロンの建言により東京府に官園を設置し、アメリカから輸入した作物・果樹・樹木・家畜の日本への適応を試験した。 その後、これらを七重開墾場(明治3年七重薬園を改称。明治9年七重勧業試験場に改称。)と札幌に新設された官園で育成し、北海道内へ普及させていくこととなった。 |
1872年(明治5年)3月 | ケプロンの招きに応じ開拓使の嘱託園芸技師として雇われたルイス・ベーマー(Louis Bömer)が来日した。【1882年(明治15年)開拓使廃止まで道内に滞在。就任期間10年3ヶ月。その後横浜で園芸商を営み1894年(明治27年)10月離日。】 |
1874年(明治7年) | ケプロンの指示により、ベーマーは5ヶ月間にわたり道内各地を回り、植物相の調査や標本の採集を行った。 東京官園でベーマーにより養成された洋種リンゴ75種、西洋ナシ、ブドウ、スモモ、アンズ、モモ、サクランボ、ラズベリー等を七重開墾場(官園)に移植した。 |
1875年(明治8年)9月 | アメリカ・ニューヨークの種子商ピーター・ヘンダーソン社から北海道の植物を入手したい旨の要請があり、ベーマーが交換条件としてアメリカ及びヨーロッパの樹木を要求した。 |
1876年(明治9年)5月 | ベーマーが東京官園から札幌官園へ異動を命じられた。 |
1876年(明治9年) | 七重勧業試験場(官園)から札幌官園へヒノキ、スギ、マツを移植、翌年にもスギ、ヒノキ、ウルシを移植した。 |
1876年(明治9年)7月 | 米国マサチューセッツ農科大学からウイリアム・スミス・クラーク(William Smith Clark)が来日、札幌農学校の教頭として就任した。【1877年(明治10年)5月離日。滞日11ヶ月】 |
1877年(明治10年)2月 | 開拓使がクラークに対し、当面の林政施策について森林教育の推進など14項目を諮問し、その回答のなかでマサチュセッツ州のアーノルド樹木園【1872年開設。ハーバード大学付属施設】を紹介し、樹木園設置の必要性を説いた。 |
1877年(明治10年) | 札幌官園が札幌勧業試験場に改称された。ケプロンの勧告で北海道に適する樹種を選択するため外国産樹種が輸入され、同年10月、米国産林木の種子を札幌勧業試験場に播き、外国産樹種の育苗が盛んに試みられた。 |
1878年(明治11年) | ベーマーが開拓使の堀基(ほりもとい)大書記官宛に国内外多数の樹種の生長について報告をした。【スギ、チャノキ、クリ、カキ、キリ、ウルシ、コウゾなど在来種の生育状況をはじめ、米モミ、ヨーロッパアカマツ、ストローブマツ、ニオイヒバの発芽状況など報告】 |
1880年(明治13年) | 札幌神社(現在の北海道神宮)外苑に札幌円山育種園(養樹園)を開設した。 その目的として「内外、凡百の苗木を栽培して土地に対する適否を試み、生長の遅速を察し、その善良なものは山林に移植し或いは人民の需要に応じて払い下げる」こととした。養樹園では信州カラマツを大規模に移入し、養成して普及を図った。 |
1889年(明治22年) | 上川郡神楽村の約1万町歩が御料地に編入された。 |
1890年(明治23年) | 全道200万町歩の官林が御料地に編入された際、円山養樹園も御料地となり、御料養樹園となった。7月に御料局札幌支庁が設置された。 |
1892年(明治25年) | 神楽村に御料局上川試験場が設置され、苗圃を開設し、国産のアカエゾマツ、カラマツ、カバ類を播種した。 |

見本林設定後の経緯
1895年(明治28年)1月 | 神楽村に御料局札幌支庁上川出張所が設置され、上川郡の御料地を管轄することとなった。 |
1898年(明治31年) | 札幌円山の御料養樹園に植栽されていた外国産トウヒなど7種5,400本を御料上川試験場内美瑛川沿岸防風林に移植した。 このとき、現在の外国樹種見本林のストローブマツ、ヨーロッパアカマツ、ヨーロッパカラマツが植栽された。(0.88ha)【明治28年と記載の文献もある。】 |
1902年(明治35年) | ヨーロッパトウヒが植栽された。(0.46ha) |
1926年(大正15年) | 育苗技術が確立し、郷土樹種のトドマツが外国樹種との生長比較のため植栽された。(1.10ha) |
1927年(昭和2年) | トドマツ(0.33ha)、ヨーロッパトウヒ(1.57ha)のほかチョウセンカラマツ(0.33ha)が植栽された。 |
1928年(昭和3年) | チョウセンモミのほか郷土樹種のヤチダモ、オニグルミが植栽された。(0.26ha) |
1933年(昭和8年) | グラウカトウヒが植栽された。(0.22ha) |
1936年(昭和11年) | ストローブマツ、ヨーロッパアカマツ、ヨーロッパクロマツ、バンクシアナマツ、ムラヤナマツ、カラマツが植栽された。(1.56ha) |
1943年(昭和18年) | トドマツが植栽された。(0.12ha) |
1947年(昭和22年) | 林政統一により農林省所管となる。アカエゾマツが植栽された。(0.11ha) |
1949年(昭和24年) | トドマツ(ストローブマツの混植あり)、アカエゾマツが植栽された。(0.36ha) |
1950年(昭和25年) | 美瑛川右岸堤防が、洪水防止の目的で作設された。 |
1954年(昭和29年) | 洞爺丸台風によりストローブマツ、ヨーロッパアカマツなど約400本の風倒被害が発生した。 |
1956年(昭和31年) | 5月の台風にトドマツなど約100本の風倒被害が発生した。 今後の施業方針として「北海道に適した外国樹種を集め、植栽、育成、その生長過程を観察するとともに、在来の郷土樹種との生長を比較しうる経営見本林とする」ことが示された。 |
1959年(昭和34年) | ウラジロモミ、モミ、スギ、ヨーロッパトウヒ、改良ポプラ、ウダイカンバ、シラカンバが植栽された。(1.22ha) |
1964年(昭和39年) | ヨーロッパカラマツ、グイマツ、チョウセンカラマツ、ダグラスファー、ノルドマンモミ、コンコールモミ、ウラジロモミ、シラベ、ヤツガタケトウヒ、プリカータネズコ、改良ポプラ(12系統)、ハンノキ、ニセアカシアが植栽された。(0.433ha) |
1965年(昭和40年) | 旭川在住の三浦綾子氏による当見本林が舞台の小説「氷点」が朝日新聞の懸賞小説に入選し、見本林が全国的に有名となる。 |
1968年(昭和43年) | 明治100年事業の一環として林業試験場の指導を受けて、堤防内は樹木園・庭園として整備し、堤防外は樹木地として整備するという整備計画を作成した。 |
1969年(昭和44年) | 堤防内地域について,林内ササの全刈、巣箱の設置、民地との境界にフェンス設置を行い、堤防外地域に歩道の整備などを行った。 |
1970年(昭和45年) | 全国の国有林に自然休養林を設置することとなり、見本林を含む嵐山・神居自然休養林が9月10日に指定された。 |
1973年(昭和48年) | 見本林の施業方針が「外国樹種(異郷土樹種も含む)の展示林であり、学術の参考及び自然休養林として一般市民の教化を図る」ことが示された。 |
1974年(昭和49年) | 自然休養林の整備として、川沿いにサクラ、ナナカマドなどを植栽するとともに、歩道、標識、ベンチなどを整備した。 ストローブマツ、ヨーロッパカラマツ、カツラが植栽された。(0.86ha) |
1975年(昭和50年) | バンクシアナマツ、ムラヤナマツ、ウラジロモミ、アオモリトドマツ、シラベ、ヤツガタケトウヒ、ポプリアカンバ、パルストリスナラが植栽された。(0.09ha) |
1976年(昭和51年) | モンチョコラマツ、レジノーサマツ、リキダマツ、ノービリスモミ、コントルタマツ、ヨーロッパナナカマドが植栽された。(0.35ha) |
1977年(昭和52年) | ヨーロッパクロマツ、ノービリスモミ、グラウカトウヒ、ポプリフォリアカンバが植栽された。(0.24ha) |
1979年(昭和54年) | ポプリフォリアカンバが植栽された。(0.10ha) 春に、昭和50~52年にかけて植栽したヨーロッパクロマツなどが野鼠の食害を受けた。 |
1980年(昭和55年) | ダフリカカラマツ、グイマツ×カラマツ(F1)が植栽された。(0.02ha) 第3次上川南部地域施業計画の樹立に際し、見本林整備計画が検討された。 |
1981年(昭和56年) | ポンテローザマツ、ブンゲンストウヒ、ザンギネミズキが植栽された。(0.29ha) 当見本林において国際林業研究機関連合(IUFRO)の研修が行われた。 |
1982年(昭和57年) | 旭川市と姉妹都市である米国イリノイ州・ブルーミントン及びノーマル市との姉妹都市提携20周年を記念して「ブルーミントン・ノーマルの森」を造成することになった。 その際、レジノーサマツ、バンクシアナマツ、サトウカエデ、ルブラムカエデ、サカリヌムカエデ1220本が植栽された。(0.34ha) |
1983年(昭和58年) | 昭和47年に日中国交回復を記念して中国から送られ、道内で養成されたチョウセンカラマツ、ホクシカラマツ、モンゴリアカマツが植栽された。(0.13ha) |
1984年(昭和59年) | 旭川ブルーミントン・ノーマル姉妹都市委員会などの協力により、駐車場周辺にパルストリスナラ、エゾヤマザクラ、エゾムラサキツツジ、レンゲツツジが植栽された。 |
1985年(昭和60年) | 国際森林年記念植樹行事として、ヨーロッパカラマツ、改良ドロノキが植樹された。 (0.08ha) |
1997年(平成9年)8月 | 旭川市が選定した「旭川八景」の一つに外国樹種見本林が選ばれた。 |
1998年(平成10年)6月 | 見本林内に「三浦綾子記念文学館」が開館された。スカーレットオークが植栽された。(0.036ha) |
2004年(平成16年)9月 | 台風18号によりトドマツ、ヨーロッパトウヒなど約1000本(見本林内総本数の約16%)の風倒被害が発生した。 |
2005年(平成17年)9月 | 台風被害跡地の復旧を図るため、旭川市民参加による「外国樹種見本林復活の集い2005」が開催され、ヨーロッパトウヒ、トドマツなど950本が植栽された。 |
2006年(平成18年)9月 | 「外国樹種見本林復活の集い2006」が開催されストローブマツ、トドマツなど約800本が植栽された。 |
2007年(平成19年)9月 | 「外国樹種見本林復活の集い2007」が開催されヨーロッパトウヒのほかサクラ、ナナカマド約200本が植栽された。平成17年から3カ年で風倒跡地の復旧が終了した。 |
2011年(平成23年)3月 | 落枝による事故防止の観点から正面のストローブマツの剪定を行った。 |
外国樹種見本林の植栽樹種
樹種 | 分布 | 特徴等 | 用途 | 植栽年度 |
1ストローブマツ Pinusstrobus Linn.〈Eastern white pine) |
アメリカ合衆国北東部からカナダ南東部にかけて分布。 1705年にヨーロッパに移植。 |
立地に対する適応性が強く、原産地では年平均気温5度~10度のところで良好な生育を示す。 五針葉。樹皮は始め緑褐色で滑らかだが、後に灰色となり縦裂が生じる。材は軽くて軟らかい。 |
建築資材、製函材、パルプ材等 | 明治31年、昭和11年、昭和49年、平成17・18年 |
2ヨーロッパアカマツ Pinus silvestris Linn.〈Scotch pine、Scots pine) オウシュウアカマツ |
ヨーロッパ全域(イギリス、バルカン半島を除く)からシベリアにかけて広く分布。 |
環境に対する適応性が強く、知力に対する要求が少ない。 また、寒さに対する抵抗性が強く、霜害を受けない。しかし、野鼠の食害を受けやすい。二針葉。 |
建築資材、パルプ材等 | 明治31年、昭和11年、昭和49年 |
3モンチコラマツ Pinus monticola Lamb.〈Western white pine〉 |
カナダ南西部からアメリカ西部にかけた太平洋岸及び内陸に分布。 | 乾燥地、深層地等に生育し、砂質の痩せ地にも生育している。 五針葉。樹皮は長方形から六角形の鱗状となる。 |
内装建築材、マッチ・つまようじ材 | 昭和51年 |
4レジノーサマツ Pinus resinosa Ait.〈Red pine〉 |
カナダ及びアメリカ北部の五大湖周辺に分布。 | 排水の良い通気性に富む土壌を好み、湿地に適さない。 二針葉。 |
建築材、パルプ材、造園樹等 | 昭和51年、昭和57年 |
5モンタナマツ Pinus mugo Turra. 〈Dwarf mountain pine,Mountain pine) |
ヨーロッパ中南部に分布。 | 2変種があり、アルプス山脈の南東部やバルカン半島等に分布する低木のものと、ピレネー山脈北東部やポーランド等に分布する約20mと高木のものがある。 二針葉。 |
造園樹 | 昭和10年(現存せず) |
6ヨーロッパクロマツ Pinus nigra Arn.〈Austrian pine, Crimean pine〉 |
ヨーロッパ中南部から小アジアにかけて分布。 | 成長は早くはないが、寒さや乾燥に強く、耐陰性をもっている。 二針葉。 |
造園樹、防風林等 | 昭和11年、昭和52年 |
7リキダマツ Pinus rigida Mill.〈Pitch pine〉 |
アメリカ東南部のアパラチア山脈に沿って分布。 | 土壌の浅い痩せ地にも生育する。耐陰性は低い。 三針葉。 |
造園樹 | 昭和51年(現存せず) |
8バンクシアナマツ Pinus banksianaLamb. 〈Jack pine〉
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大部分がカナダに分布し、ハドソン湾を挟んで東西に長く分布。またアメリカの北東部に分布しており、 北米大陸産マツ類の中で最北部に分布。 | カナダの代表的な樹種。側枝が曲がりながら不規則に伸びる。 二針葉。耐寒性はあるが、暑さに弱く、乾燥、過湿にも弱い。 |
パルプ材、建築材等 造園樹 |
昭和11年、昭和50年、昭和57年 |
9コントルタマツ Pinus contorta Dougl ex. Loud. subsp. contorta 〈Shore pine〉 |
カナダからアメリカ西部にかけての太平洋岸、ロッキー山脈沿いに分布。 |
常緑灌木で、時に喬木が見られる。山火事後に先駆樹種として更新する。 二針葉。ニュージーランドでは野生化が問題になっている。 |
庭園樹等 |
昭和51年 |
10ムラヤナマツ Pinus contorta D. ex L.subsp. murrayana (Balfour) Engelmann〈Sierra lodgepole pine〉 ロッジポールパイン |
アメリカ西部の太平洋岸、ロッキー山脈沿いに分布。
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コントルタマツの1亜種。 耐寒性が強く、乾いた粘土質の土壌に生育。
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建築資材、杭等
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昭和11年、昭和50年
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11ヨーロッパカラマツ Larix decidua Mill.〈European larch〉 オウシュウカラマツ |
ヨーロッパ中部からシベリアにかけて広く分布。 | 耐寒性に富むが、耐暑性、耐陰性に劣り、過湿に弱い。 | 建築資材、家具材、坑木等 | 明治31年、昭和39年、昭和50年 |
12ダフリカカラマツ Larix gmelinii(Rupr.)Kuzen.〈Dahurian larch〉 |
シベリア東部に分布。 | 比較的湿性地にも耐える。 | 建築資材、枕木等 |
昭和55年 |
13グイマツ Larix gmelinii (Rupr.) Kuzen var.japonica ( Regel)Pilgerシコタンマツ |
南千島、樺太、シベリア東部よりカムチャッカ、中国東北部に分布。 | カラマツより生長がやや劣るが、寒冷地、湿潤地にもよく生長し、野鼠の食害にも抵抗性がある。 | 坑木、パルプ材等
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昭和29年、昭和39年、昭和45年 |
14チョウセンカラマツ Larix gmelinii (Rupr.) Kuzen var. Olgensis(Henry)Ost. et Syrach |
朝鮮南部から北部、中国東北部、シベリア東部に分布。
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粘土が少なく、理学性の良い湿気に富んだ土壌にて良好な生育を示す。 カラマツよりははるかに野鼠の食害に抵抗性がある。 |
建築資材、枕木等
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昭和2年、昭和39年
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15カラマツ Larix kaempheri(Lambert) Carriere
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日本原産で、 おおよそ北緯35.5~38度の間、海抜1,300~1,700mに生育している。日光、富士山、八ヶ岳、中央山岳地域に分布。 |
温帯から寒帯に及び、火山岩、石灰岩質の肥沃地、乾燥地、峰筋の日当たりの良いところを好む。 |
建築資材、坑木、合板、パルプ材等 |
昭和11年
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16グイマツ×カラマツの1代雑種(F1) | カラマツとグイマツを自然交配した一代雑種で生長が早く、野鼠に強い。 | 昭和55年 | ||
17ダグラスファー Pseudotsuga menziesii (Mirbel)Franco 〈Oregon pine〉 ベイマツ |
アメリカ西部の太平洋岸、ロッキー山脈に沿って分布し、メキシコ西岸にも見られる。 | セコイア類に次ぐ巨木となり、原産地では高さでは99m、直径では4.8mに達するものも見られる。 | 建築資材、家具材、パルプ材等 | 昭和39年(現存せず) |
18チョウセンモミ Abies holophylla Max.Manchurianfir〉 マンシュウモミ |
韓国中部以北から中国東北部にわたって分布。 | 冬期間でも鮮緑色の美しい樹冠をしており、造園用に利用される。また、移植力も強く寒冷地に適する。 | 庭園樹、建築資材、家具材等 | 昭和3年 |
19ノルドマンモミ Abies nordmanniana (Steven)Spach〈Nordman fir〉 コーカサスモミ |
東ヨーロッパのコーカサス地方、黒海沿岸、ギリシャの亜高山帯に分布。 | 2亜種がある。樹高50m以上になり、ヨーロッパでは最も高木となる。耐暑性、耐寒性にやや劣る。 | 建築資材、パルプ材、庭園樹等、クリスマスツリー | 昭和39年 |
20コンコロールモミ Abies concolor(Gordon )Lind. ex Hildebrand〈White fir〉 コロラドモミ |
アメリカ南西部、メキシコのロッキー山脈に分布。 | 2亜種がある。モミ属のなかでは乾燥に耐える樹種で、造園樹として広く用いられている。 | 庭園樹、街路樹、クリスマスツリー | 昭和39年
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21ノービリスモミ Abies procera Rheder (Abies nobilis (Douglas ex D. Don) Lindl. )〈Noble fir〉 |
アメリカ北西部の太平洋側に分布。 | 耐寒性が優れるが、耐暑性はやや弱い。 材は樹脂分が少なく軽量で粘りがあるため、はしご、飛行機材に利用された。 |
庭園樹、街路樹、クリスマスツリー、建具、パルプ材等 | 昭和51年、昭和52年 |
22ウラジロモミ Abies homolepis Sieb. et Zucc. |
福島県から四国の海抜1,000~2,000mの高山に分布。 | 葉の裏が白いためこの名がついている。 幼枝はモミと異なり無毛である。 | 建築資材、梱包材、パルプ材等 | 昭和34年、昭和39年、昭和50年 |
23モミ Abies firma Sieb. et Zucc. |
岩手県衣川以南、四国、九州に分布。 | 幼時の生長は極めて遅く、10年生前後から急速に生長する。 日本のモミ属中ではもっとも葉が大きくて硬い。若枝には軟毛が生える。 | 建築資材、パルプ材等 | 昭和34年 |
24トドマツ Abies sachalinensis(Schmdt)Masters |
サハリンから南千島及び北海道全域に分布。 | 北海道の主要樹種であり、エゾマツやミズナラ等の広葉樹と混成し、ところによって純林となる。幼時に霜害を受けやすい欠点がある。 | 建築資材、パルプ材等 | 大正15年、昭和2年、昭和18年、昭和24年 |
25オオシラビソ Abies mariesii Masters アオモリトドマツ |
本州の中部地方から東北地方にかけての亜高山帯に分布。 | コメツガ、シラビソ等と混生し、また、亜高山帯上部ではしばしば純林となる。日本海側の多雪地帯では優勢となっている。 | パルプ材、建築資材等 | 昭和50年 |
26シラビソ Abies veitchii Lindley シラベ |
福島県の吾妻山から紀伊半島の大峰山系にかけての亜高山帯に分布。 | コメツガ、オオシラビソと混生するが、太平洋側の雪の少ない地方ではオオシラビソより優勢となる。 | 建築資材、梱包材、パルプ材等 | 昭和39年、昭和50年 |
27ヨーロッパトウヒ Picea abies(Linn.)Karsten 〈Norway spruce〉 オウシュウトウヒ、ドイツトウヒ |
ヨーロッパ全域に広く分布。
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理学性の良い適潤性土壌で良好な生育を示し、乾燥地や停滞水のところでは生育が不良。
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建築資材、パルプ材、庭園樹等
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明治35年、昭和2年、昭和34年、平成17・19年 |
28グラウカトウヒ Picea glauca(M0ench)Voss.〈White spruce)〉 カナダトウヒ |
アラスカ、カナダ、アメリカ北部に広く分布。 | 排水の良い湿気に富む砂壌土、沖積土壌を好み、岩石地にも生育する。また、乾燥地にも耐える。 | 建築資材、パルプ材、楽器材等 | 昭和8年、昭和52年 |
29アカエゾマツ Picea Glehnii(Fr. Schm)Masters〈Sakhalin spruce)〉 |
北海道、樺太南部、南千島に分布。 岩手県の早池峰山に隔離分布している。 |
適応力が大きく、霜害に強い。湿地、蛇紋岩地、火山灰土等条件の厳しいところに優先する。このようなトドマツ、エゾマツの生育できないところに純林を形成することがある。 | 建築材、パルプ材 楽器材(特にピアノの響板) |
昭和22年、昭和24年
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30ヤツガタケトウヒ Picea koyamae Shirasawa |
本州中部の八ヶ岳と南アルプスの一部(仙丈岳)に分布。 | 冷涼な乾燥地を好む。 レッドデータブックで絶滅危惧種IB類に指定されている。 |
昭和39年、昭和50年 | |
31スギ Cryptomeria japonica(Thunb.ex L.fil.)D.Don |
青森県から鹿児島県の屋久島まで分布。 | 1属1種で日本固有種。日本の代表的な針葉樹の1つ。 | 建築資材、梱包材、家具材等 | 昭和34年 カラマツ(昭和11年植栽)の樹下 |
32プリカータネズコ Thuja plicata Donn ex D.Don 〈Western Redcedar)〉ベイスギ |
アラスカ、カナダ、アメリカ北部の太平洋岸に分布。 | 沢沿い、湿地に多く見られる。材は、軽量で耐久性があり腐れにくい。 | ウッドデッキ等の外構材、庭園樹等 | 昭和39年(現存せず) |
33改良ポプラ | 改良がヨーロッパやアメリカで盛んに行われ、特にイタリアで優良品種が創生された。 生長がすこぶる旺盛で、10~15年で収穫可能であることから、日本では昭和29年頃から導入された。 |
昭和34年、昭和39年(12系統植栽) | ||
34オニグルミ Juglans mandshurica |
樺太、北海道から九州まで広く分布。 | 河岸や平地の湿潤な肥沃地を好む。 | 家具材、器具材、銃床材等 | 昭和3年 |
35ポプリフォリアカンバ Betula populifolia Marsh.(gray birch) |
カナダ、アメリカ北東部の大西洋岸に分布。 | 痩せ地、河畔地、乾燥地にも生育し、耐寒性もある。 | 庭園樹等 | 昭和50年、昭和52年、昭和54年 |
36ウダイカンバ Betula maximowicziana Regel マカバ、マカンバ、サイハダカンバ |
南千島、北海道、本州中部に分布。 | 日当たりの良い肥沃な適潤地に生育する。 | 家具材、床材、合板等 | 昭和34年 |
37シラカンバ Betrula platyphylla Sukaczev var. japonica Hara シラカバ |
樺太、南千島、北海道、本州中部以北に分布。原種( Betula platyphylla)は朝鮮、中国東北部、シベリアに広く分布。 |
陽性樹種で、山火事跡地や崩壊地等に生育する。
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庭園樹、工芸材料、パルプ材、器具材等 |
昭和34年
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38ハンノキ Alnus japonica (Thub.) Steud. |
日本全国、朝鮮、中国東北部、ウスリーに分布。 | 低山帯の湿地に生育する。根に放線菌が共生して根粒を形成し空中窒素固定を行うため、痩せ地でも生育できる。 | 庭園樹、器具材、パルプ材等 | 昭和39年 |
39パルストリスナラ Quercus palustris Linn.〈Pin oak〉 アメリカガシワ |
アメリカ北東部、カナダ南東部に分布。 | 湿潤地に適する。秋の紅葉が美しく同一の株の中で緑葉と紅葉が混在する。 | 庭園樹 建築資材、薪(米) |
昭和50年、昭和59年 |
40ヨーロッパナナカマド Sorbus aucupariaLinn.〈Mountain ash、Rowan)〉オウシュウナナマカド |
ヨーロッパからシベリアにかけて広く分布。 | 耐寒性があり、高標高地でも生育する。果実をジャム等に利用する。 | 庭園樹 | 昭和51年 |
41カツラ Cercidiphyllum japonicum Sieb. et Zucc. |
日本全国に分布。 | 河岸等の湿潤地に生育する。雌雄異株。 | 庭園樹 、街路樹 建築資材、家具材、碁(将棋)盤 |
昭和49年 |
42ニセアカシア Robinia pseudoacacia Linn. ハリエンジュ |
アメリカ東部の内陸に分布。 | 生長が早く強い萌芽力があり、適応力が強く、各国で植栽されている。 蜂蜜源として利用されているが、旺盛な繁殖力のため要注意外来生物リストに掲載されている。 |
庭園樹、街路樹 砂防用、器具材等 |
昭和39年
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43ヤチダモ Fraxinus mandshurica Rupr. varjaponica Max. |
樺太、北海道、本州中部以北、朝鮮、東アジア北部に分布。 | 肥沃な湿潤地に生育する。 | 家具材、楽器材、合板等 | 昭和3年 |
44ポンデローサマツ Pinus ponderosa Dougl. ex Laws.〈Western yellow pine、Jackjack pine) |
アメリカ西部、太平洋岸の山地、ロッキー山脈、メキシコ北部にかけて分布。 | 北アメリカで最もポピュラーなマツである。4亜種に地域区分される。三針葉あるいは二針葉。 | 梱包材、窓枠 建築資材等 |
昭和56年(現存せず) |
45プンゲンストウヒ Picea pungens Engelm.〈Blue spruce〉 コロラドトウヒ |
アメリカ西部内陸の中南部に分布。 | 山腹、河岸、沼沢地に生育する。寒さや雪には強いが、耐陰性はやや劣る。 葉が銀青色を呈し、多くの園芸品種がある。 |
庭園樹、街路樹、クリスマスツリー、建築資材等 | 昭和56年 |
46サンギネアミズキ Cornus sanguinea Linn.〈common/bloodtwig dogwood)〉 セイヨウミズキ |
ヨーロッパからロシア、西アジアに分布。
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石灰岩地の林縁や潅木帯に生え、高さは1.8~4.5メートルになる。 枝はよく分枝して、赤褐色を帯びるのが特徴である。 |
庭園樹 手工芸用材 |
昭和56年
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47サカリヌムカエデ Acear saccharinum Linn.〈Silver maple〉 ギンヨウカエデ、ギンカエデ |
カナダ南東部及びアメリカ五大湖南部から中東部(南部域を除く)に広く分布。 | 葉の裏面が銀白色から帯白色を呈している。 雌雄異株。 |
床板、家具材、 庭園樹等 | 昭和57年 |
48サトウカエデ Acer saccharum Marsh.〈Suger maple〉 |
カナダ南東部及びアメリカ五大湖南部から中東部に広く分布。 | 葉はカナダの国旗に使用されている。 | 床材、家具材、庭園樹等、樹液はメープリシロップ・シュガー |
昭和57年
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49ルブルムカエデ Acer rubrum Linn.〈Red mapleScarlet maple〉 ベニカエデ、アメリカハナノキ |
カナダ南東部及びアメリカ五大湖南部から中東部に広く分布。 | 東部北アメリカでは、他の樹種より立地に適応性があり広範囲に分布している。 雌雄異株。 |
庭園樹、街路樹等 | 昭和57年 |
50ホクシカラマツ Larix gmelinii Gord. var. principis-rupprechitii Ostentf. et Syrach L. (華北唐松) |
中国北東部、朝鮮、ロシア(アムール盆地)に分布。 | 建築資材、パルプ材、坑木等 | 昭和58年
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51モンゴリアカマツ Pinus sylvestris L.var. mongolica Litvin 〈樟子松〉蒙古松 ロシアアカマツ |
中国北西部、東北部、モンゴル、シベリア南部に分布。 | ヨーロッパアカマツの1変種。 冬芽が樹脂に覆われる。 |
建築資材、家具材等 | 昭和58年 |
52改良ドロノキ | 王子製紙林木育種場で20年間にわたって交雑選択を続けてきた北海道産ドロノキの改良品種である。 | パルプ材 | 昭和60年 | |
53スカーレットオーク Quercus coccinea Muenchh. 〈Scarlet oak〉 ベニガシワ |
アメリカ東部に分布。 | 乾性の砂質土壌に生育する。酸性土壌を好む。 耐寒性が強い。 |
庭園樹、街路樹 | 平成10年 |
凡例
北海道に分布している樹種(本州等にも分布するものを含む) | |
本州のみに分布している樹種 | |
北アメリカ大陸に分布している樹種 | |
ユーラシア大陸に分布する樹種 |
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