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津軽森林管理署

平成26年度労働災害防止協議会の開催について

  平成26年10月23日(木曜日)に弘前労働基準監督署と林業・木材製造業労働災害防止協会青森県支部の共催を得て、弘前市中央公民館岩木館と弘前市百沢の東岩木山国有林内において労働災害防止協議会を開催しました。

  当日は、今の時期には珍しく暖かく、好天にも恵まれ、参加事業体17社24名、関係者29名、総勢53名が参加し、現在施工中の後長根沢治山工事現場で安全などに関する掲示板について、弘前労働基準監督署からの現地指導、その後、場所を弘前市中央公民館岩木館に移し、弘前労働基準監督署から「林業における労働災害の現状と課題」、また、林業・木材製造業労働災害防止協会青森県支部から「労働安全衛生規則の一部改正について」の講話、意見交換を行い、今後も安全管理体制をしっかりと確立し、安全意識の高揚を図り、労働災害を発生させないように努力することを約束して閉会しました。

  開催内容は次のとおりです。 

 

開会 

  はじめに、協議会の開催にあたり津軽森林管理署長より、「今年度津軽森林管理署においては労働災害がゼロとなっているが、全国的には9月までに重大災害が7件発生し、その後東北森林管理局管内でも重機の転落による重大災害が発生していること、また、東北森林管理局管内の労働災害も昨日まで20件の災害が発生し、9月以降多発していることを非常に危惧している。本日の労働災害防止協議会を基に、今一度、安全管理体制の確立を強化し、安全意識の高揚を図り、労働災害の防止をお願いしたい。」と挨拶がありました。

 

 

森林管理署長のはじめの挨拶   津軽森林管理署長からの挨拶の様子です。
 参加状況

 参加事業体  17社  24名

  関係者                     29名

  合計                          53名の参加です。

 

今回の協議会を管内で事業実行中の事業体に案内したところ、ほぼ全社からの参加者がありました。感謝しております。

 

 

 

現地指導

  続いて、現地指導に移ります。

  今回の現地指導は、事業地における安全に関する表示に主眼を置き、各種法令により表示しなければならない事項、特に、「労働安全衛生規則の一部改正」に伴い車両系木材伐出機械に義務づけされた、「地形等調査報告書」「機械作業計画書」などの作成及び掲示方法についての指導・意見交換を行い、働く者全ての安全意識を高めること、緊急時の連絡や対応を周知し訓練することを目的にしております。

 

 

富士建設安全表示板

富士建設株式会社の安全及び衛生などに関する掲示板です。

安全衛生管理組織表の表示はもちろん、緊急時の連絡体制などたくさんの表示がされています。

なかでも、事故発生時の連絡系統図では、人災の場合、物損の場合、人災・物損の両方の場合など、それぞれの場合の系統をわかりやすく表示するなど工夫がされています。

また、安全目標、スローガン、また、風速を推測できる吹き流しの設置など、会社が独自で努力をしている表示などもあり、安全意識の高さが見受けられます。

 

 

現場代理人安全説明

富士建設株式会社の現場代理人より、掲示板の内容、掲示する目的、会社としての工夫などが説明されました。

他の事業体からは、「非常に素晴らしい」「安全意識の高さがわかる」などの声が聞かれました。

現場代理人から「当社では朝の作業前に15から20分、昼休み明けに10分程度のミーティング時間を設け、作業前の危険予知を行っている。」

「1日を通してPDCAサイクルを行いながら次の日の作業につなげていく取り組みをしている」など、普段の取り組みについても説明がありました。

監督署の掲示板1講評

  続いて、弘前労働基準監督署地方労働衛生専門官より、掲示板の内容について「法令上掲示しなければならないもの、強制ではないが掲示して欲しいものなどが説明され、労働安全衛生に関するもので法令で掲示しなければならないものは保険制度に関するもの、下請けに関するものなど、それほど多いわけではない。 この掲示板を見ると、法令で決められているものはもちろん掲示されてあるが、会社として働くものの安全と衛生を考えた独自の掲示が多く、会社としての安全に対する意識の高さがうかがえる」との講評をいただきました。

作業計画等表示

場所を少し移動し、作業計画書など現場についての掲示板の説明に移ります。

この掲示板には、現場全体の事業図、使用する機械の作業計画図、当日の作業配置などが掲示されています。

特に、「労働安全衛生規則の一部改正」により、車両系木材搬出機械についても作業計画書の掲示が義務付けられたことから、参加した林業事業体の皆さんも非常に注目していました。

代理人作業計画図など掲示説明

現場代理人より、掲示板の目的、内容の説明があり、特に富士建設株式会社で実施しているリスクアセスメントについて細かく説明され、リスクを洗い出し、事前に対応することによってリスクの係数が軽減されること、いかに対応したとしても、リスクの係数が軽減されない行動もあり注意が必要であると説明されました。

また、土石流の対策工事であり、上流約1200メートル付近に土石流センサーを設置しており、万が一上流で土石流が発生した際に、警報、パトランプ、メールにより周知されることになっている。

これについて、日頃から警報がなってから2分以内を目標に避難訓練を行っている。先日雨天の日に、何らかの原因でセンサーが振動を察知し警報が作動し、現場作業員全員が避難したところ1分以内で退避することができた。これも避難訓練を行っていたからだと考える。と経験を交えて日頃の訓練の大切さを報告されました。

労働基準監督署より作業計画の掲示講評 弘前労働基準監督署地方労働衛生専門官より作業計画書などの説明があり「これは建設機械の作業計画書であるが、林業においても集材路の作設などで建設機械を使用する場合はこの作業計画書が必要となる、合わせて車両系木材搬出機械については別の作業計画書が必要となる。」また、「作業計画書については、作業地、作業配置が変わる都度変更しなければならないが、林業のように作業地の変更が多いと作業計画書の変更はたいへんだとは理解している。その場合は最低でもこの掲示板のようにホワイトボードなどを利用し、その日の作業配置、機械配置を書き記しておかなければならない」と指導がありました。
ホワイトボードアップ

現地指導終了後、事業体の皆さんは、今後の参考にするため、掲示板やホワイトボードの写真を撮っていました。

 

 労働災害防止協議会の開催

 午後からは、弘前中央公民館岩木館に場所を移し「労働災害防止協議会」を開催しました。

協議会の内容については次のとおりです

講義

  

弘前労働基準監督署長講義

はじめに「林業における労働災害の現状と課題」と題して弘前労働基準監督署長より講義をいただきました。

弘前労働基準監督署長からはこれまでの災害発生状況を分析した結果に基づいた、労働災害の現状と課題について様々な視点から説明されました。内容を簡単にまとめさせていただきました。

  • 全国的に見ると林業における労働災害の発生件数はその年によって波があり減少傾向にあるとはいいがたい。
  • 林業の労働災害を型別でみると「切れこすれ」「激突され」で総件数の半数を超えている。
  • また、起因別で見ると「立木」「チェンソー」によるものが圧倒的に多く型別の「切れこすれ」「激突」とリンクしている。
  • 経験年数別では20年以上の経験者が約3割もあり、これまでの作業における安全意識の低さに起因している、若手の育成に悪影響が生じる可能性がある。
  • 林業は他の業種に比べ労働災害の発生率が著しく高いなっている、これは作業環境の厳しさ、作業が多種にわたる、若年層など新規雇用者が増加しているといった特徴が原因になっているのではないかと考えられる。
  • チェンソーにより切れこすれ災害には防護衣の着用が有効である。
  • 労働災害は物(不安全な状態)、人(不安全な行動)、管理(安全衛生管理上の欠陥)により発生する。
  • 危険予知活動は大切だが形骸化することにより災害への意識の低下を招くことになる。
監督署より労安則の改正説明

  続いて、地方労働衛生専門官からは「労働安全衛生規則の一部改正について」に伴い、作業現場及び作業機械に関して必要となる措置の概要について、また、作業着手前に作成が必要な報告書などについて具体的な説明がありました。

  林業事業体の皆さんは、これまでも説明を受けていると思いますが、直接関係する事案であり真剣に聞いていました。

 林災防講義

 次に、林業・木材製造業労働災害防止協会青森県支部より「労働安全衛生規則の一部改正について」の講義をいただきました。

 講義は「労働安全衛生規則の一部改正」のみならず、これまでいろいろな現場を点検した結果から、実際に現場で起こりそうな災害事例や不安全行動について実例を交えて説明があり、非常に説得力のある講義内容になりました。

  • チェンソーの技術は青森県が非常に優れている、若い方がそれぞれ競い合って技術を磨いている。
  • また、防護衣の着用についても若い方を中心にかなり定着されている。
  • 労働基準監督署からも話があったとおり経験豊かな方の災害が多いように感じる。
  • これまでの経験が変なプライドとなっているようにも感じられる。
  • かかり木の処理についも、恥ずかしいので自分で処理しようとあびせ倒しや、かかられた木に手を付けてしまったりして災害となってしまう。
  • 伐倒時の合図についても、動作により方法が決まっていたり、合図するタイミングも決まっているのに、とりあえず吹いてればいいというようなのが多い、普段から合図をしていないのがすぐわかる。
  • 後継者の指導をしなければならない立場でありながら、誤った見本となってしまい残念である。
  • 労働災害の発生する率が林業が他の業種に比べてずば抜けて高い、いろいろな要因はあると思うが、これを何とかしなければ後継者も増えず、業として成り立たなくなる、とにかく災害を減らしたい。
 白川弘樹キックバックを語る

  途中で、今年度、東北森林管理局管内の請負事業体等による災害で目立って多いチェンソーのキックバックに起因する労働災害を防ぐためにはどうすべきかについて、参加した事業体の中から特別講師を迎えお話をいただきました。

  特別講師は、チェンソーの世界大会に出場経験があり、現在、いろいろな場所で指導をしている方です。

  • キックバックが起こるのはバーの先端の9時から12時の位置が多い。
  • その他、目立てでデプスの削りすぎにより多くなる。
  • キックバックはいつ起きるかわからない、起こることを想定して作業すべき。
  • 一番簡単に災害を減少させるには防護衣の着用である。

 

  これで、講義については終了となります。

 

意見交換

 

 弘前地方森林組合 tugatu 先﨑林業 白川林産

 齋藤林業 三浦造材 南黒林業 三上造材

 下山林業 青い森國土保全共同組合 新岡林業土木 三林興商

天徳林産 石川組 富士建設 菅原工務店

渡辺建設

 各事業体からは次のような感想・意見をいただきました。

 

  • 建設現場の安全表示は林業現場に比べてかなり進んでいると感じた。今後導入していきたい。
  • 当社ではチェンソーのバーを18インチから20インチに変更し、バーの先端を使用しないことでキックバックが減少したとの意見がある。
  • キックバックの災害は防護衣でかなり減らせることがわかった。
  • 機械による地拵えの場合も作業計画書が必要であることがわかった。
  • チェンソーを使用する時はキックバックが起こってもいいような体制、身構えが必要と考える。
  • 林業現場に比べて建設現場は非常にきれいだと感じた。
  • 以前安全の表示を行っていたが、表示しなくても支障がないと思いやめてしまった、安全意識の高揚のため再開したい。
  • チェンソーを使用する場合は経験などを考慮した作業配置となる工夫をしている。
  • 建設業から林業に転向する時に林業は現場の移動が多いので、労働基準監督署と相談し移動できる程度の安全表示をしている。
  • 作業環境については林業は山中に入ると作業終了まで下山しないことが多いので、休憩所、ゴミ箱などを配置してもほとんど使用されないことから撤去してしまった。
  • 今回の協議会は安全を考えるうえで非常に役にたった。
  • 安全についてはこれで良いということで日頃の取り組みを行っている、今後も継続したい。

 

 安全の表示について、非常に参考になった、今後導入したいと言う意見多く、たいへんありがたいと思いました。

 

津軽森林管理署長意見集約 

 最後に、津軽森林管理署長より

  • 午前中の安全に関する表示については、安全に関する表示をきちんと掲示することにより、働く者の安全意識を高揚が図られること、また、外部への危険箇所であることの周知などいろんな角度から大切なものである。
  • 労働安全の確保には、我々行政と、使用者、作業者が一体となり安全活動を進めていくことが非常に大切であり、常日頃から各機関が情報を共有し、一体となった安全活動を実行していきたい。
  • 改正された「労働安全衛生規則」については、各現場で確実に実行できるように、労働基準監督署、林災防、当署も協力していきたいと考えているので、各事業体で検討しながら確実に実行していただきたい。
  • 今後、各事業体の安全点検を行う予定をしているので、協力を願いたい。

 

 と講評を行い、今後も労働災害防止のために、実効性のある安全活動を行い、今年度無災害で終了することを約束して「平成26年度労働災害防止協議会を終了しました。

 

終わりに

 平成26年度労働災害防止協議会を開催するにあたり、弘前労働基準監督署及び林業・木材製造業労働災害防止協会青森県支部の皆様に多大なるご協力を賜り、この場をお借りしまして御礼申し上げます。

 津軽森林管理署では、昨年度請負事業体等の労働災害が5件発生しており、その中には重大災害につながるような災害もありました。今年度は当初から労働災害は絶対に出さないとの決意で、各事業体の協力を得ながら安全活動を進めてまいりました。

 労働災害の防止は、事業を実施していくうえで最重要課題と考え、今後も実効性のある活動となるように工夫しながら、安全活動を進めてまいりますので、引き続き各方面からのご協力をお願いいたします。

 

 

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