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東北森林管理局

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    岩手南部森林管理署(平成31年2月)

    初めての森林官

    森林官(千厩担当区)
    吉田  純一


      私は去年の
    4月から岩手県一関市千厩町にある千厩森林事務所に勤務しています。皆さん、「千厩」という漢字読めますか?そう聞くと、たいてい「せん・・・」や「せんうまや」、人によっては「せんきゅう!」という返事が返ってきます。正解は「せんまや」です。この難しい地名の由来は平安時代、奥州藤原氏がここに厩舎を建て、千頭の馬を飼育したことによると伝えられています。かの有名な源義経の愛馬「大夫黒(たゆうぐろ)」も千厩産で、「一ノ谷の戦い」で崖の上から急襲したことで知られる鵯越(ひよどりごえ)の逆落としの際に活躍したと言われています。そんな千厩町ですが、内陸の一関市中心部と太平洋側の宮城県気仙沼市のちょうど中間地点にあり、四方を山に囲まれた人口1万人ほどの中山間地域です。県内では比較的雪が少なく温暖な気候と言われていますが、朝晩の冷え込みは厳しく、水道管が凍結することも度々あるので、あくまで寒冷地の岩手県内では温暖ということを肝に銘じ、これからの冬を乗り切りたいと思っています。

                       義経の愛馬「大夫黒」の看板

     

      森林事務所の管轄区域は旧千厩町、大東町、室根町等を含む一関市の東方約1500haで、その東、南側は宮城県気仙沼市、登米市等に接しており、官行造林地も約520ha(署内で2番目に広い)を有しています。管内の一関市大東町には「東山松(とうざんまつ)」と呼ばれるアカマツの天然林があります。材質が良いことで知られる「南部アカマツ」のひとつで、樹高25mを超える大木も生育しており、「東山松特別母樹林」に指定し保護・管理しています。しかし、近年、松くい虫被害が岩手県内でも北上・拡大している中で、今後東山松を保護していくために、日頃のパトロールを強化し被害状況を把握するとともに、現在実施可能な対策を行い、被害拡大の防止に努めたいと考えています。

                             東山(とうざん)松

     

      また、管内には室根山や館ヶ森アーク牧場、岩手サファリパークなどの観光地があり、多くの観光客が訪れます。特に、館ヶ森アーク牧場は国有林と隣接しており、羊やロバが草をはみながらのんびり過ごしている文字通りの牧歌的な景色を楽しむことができます。岩手サファリパークも近くにあるので動物好きの方は一度来てみてはいかかがでしょうか。

      さて、今回が私にとって初めての森林官勤務となります。森林官にあこがれ入庁して早8年、ずっとデスクワークが続き正直あきらめかけていた矢先に森林官になることができました。事業の監督業務や各種調査、境界管理などで山を歩き回ることが多く、現場の最前線で働けることの喜びを感じています。一方、覚えることが多く多岐にわたるため、先輩方に教えてもらいながら、なんとか仕事をこなしている毎日です。来年度は自分の知識・経験不足を補うため、日々の情報収集を怠らず、できる限り現場を回りたいと思っています。100年単位で生きている樹木にとって、私が関わることができる期間はほんのわずかなものかもしれませんが、後世にこの素晴らしい森林を残していけるよう今できることを精一杯やっていきたいと思います。

                          アーク牧場の動物たち