秋田森林管理署湯沢支署

森林官紹介！（平成27年9月）「観光・名所に囲まれて」

森林官（湯沢担当区）

今野  和之

    私が勤務する湯沢森林事務所は秋田県の県南部、湯沢市の国道13号線沿いにある湯沢支署の一角に事務所を構えています。管轄する区域は羽後町にある国有林約1,600haと湯沢市にある国有林の一部、高松・川原毛地区の約4,200haを担当しています。

    さて、私の担当する地域の紹介をさせて頂きます。

    まず羽後町ですが、羽後町と言えば国の重要無形民族文化財の西馬音内盆踊りや、優れた景観等から日本の坂道三十選である七曲峠等が有名です。特に盆踊りは有名で多くの観光客を魅了していますが、七曲峠についても冬場に「ゆきとぴあ七曲」というイベントが開催され、夕暮れの中、沿道のろうそくのともしびに照らされながら馬そりに揺られて雪の回廊を行く花嫁道中は幻想的です。

    その七曲峠、夏場の穴場的な所として、私も業務で近くに行った際にたまたま知ったのですが、七曲峠を登り切った先に「みはらし荘」と言う建物があり、そこの広場からの眺望は名前通り、横手盆地や湯沢雄勝地域、出羽山地をぐるりと見晴らすことができる絶景ポイントとなっています。 

    また、もう一方の管轄区域である湯沢市の高松・川原毛地区についても名所が数々あり、日本三大霊地（恐山・立山・川原毛）の一つである「川原毛地獄山」や、滝壺が温泉となる「川原毛大湯滝」、渓谷美の「三途川」、秘湯情緒いっぱいの「泥湯温泉」と、自然の迫力と癒やしが混在する地域です。皆さん一度訪れてみてはいかかでしょうか。 

    このように、当管内では観光地を多く抱えながら各種業務を行っていますが、請負監督や巡検、林道点検等、外業の際には常に観光地付近の異状や国有林への不法投棄等がないか注意を払いながら行動しています。

    残念ながら不法投棄は毎年発見され、署担当と湯沢市が迅速な対応をしてくれるおかげで広がりはありませんが、予防のためにも巡視は重要だと感じています。

    また、当地域は再生可能エネルギーとして注目されている地熱開発が国有林内で行われており、以前から稼働している上の岱地熱発電所（最大出力2万8千kw）に加え、今年5月には山葵沢（わさびざわ）地熱発電所（最大出力4万2千kw）が建設着工し4年後の完成を目指して工事しています。 

    これには昨年以降、計画が本格化するにつれ現地の確認作業や立会いが頻繁にあり、署の職員とともに忙しく対応していましたが、現在は、無事着手したことで少し落ち着いています。

    管内にあるこれらの発電所が稼働した場合、計算上では上の岱地熱発電所が約5万3千世帯、山葵沢地熱発電所が約8万世帯分の電力を賄えると聞きました。大まかに秋田県南部は地熱だけでカバーできることになり、実際はそう単純ではないにしろその供給力には驚かされました。

    この国内でも約20年ぶりの大型地熱発電所建設に、森林官として間近で関わることができ貴重な経験が出来たと思っています。

    最後に、今は10数年前と違い現場を知る先輩方も少なくなり、代わりに最近は便利なGPSやグーグルに頼る事も多くなりましたが、今後も国有林を適切に管理出来るよう日々業務に取り組んでいきたいと思います。