岩手北部森林管理署
「署長が語る!」
平成29年8月
岩手北部森林管理署
署長 鈴木 勝之
岩手北部森林管理署は、馬淵川上流流域2市3町1村のうち、八幡平市、二戸市、一戸町及び葛巻町の2市2町にまたがる約5万3千ヘクタールの国有林を管理経営しています。
当署管内の国有林は、奥羽山脈を中心に秋田県・青森県と隣接する岩手県北西部に約4万5千ヘクタールと大半が所在していますが、馬淵川源流域の北上山地にも約4千ヘクタール所在しています。
1. 健全な森づくりと木材の安定供給
当署の国有林には秋田県能代市へ流れる米代川、青森県八戸市へ流れる馬淵川、宮城県石巻市へ流れる北上川のそれぞれの源流部が含まれており、各流域の水源の涵養、国土保全等への貢献が求められています。
また、当署管内及び隣接する一戸町、久慈市、野田村、八戸市等における木質バイオマス発電所や木材加工工場の稼働が活発化してきており、今後とも素材のシステム販売をはじめとした木材の安定供給を推進していくこととしています。
八幡平・稲庭分水嶺公園 | 国有林内・山元土場 |
2. 林業の低コスト化に向けた取組
国有林野事業では林業の成長産業化への貢献が求められている中、平成28年度には局との連携のもと岩手県内の行政機関、林業事業体等を招き一貫作業システムの現地検討会を当署で開催し、再造林推進への働きかけを行ったほか、一貫作業システム、下刈回数の低減及び列状間伐等の林業の低コスト化に積極的に取り組んでいます。
専門家による講演 | 植付器具等の説明 |
3. 森林環境教育の推進
当署では、八幡平、安比高原といった優れた森林景観を有しているところがあり、「遊々の森」等を活用し、木材の良さや自然の魅力、森林の働き等に理解を深めてもらうため、主に地元小学校と連携し森林環境教育を推進しています。今年度は4校の小学校において延べ10回実施する予定です。
あっぴ遊々の森を散策 | 下刈体験学習 |
4. ボランティアによる国民参加の森づくり
森林とふれあいたい、森づくりのお手伝いをしたいといった要望に応えるため、ふれあいの森や遊々の森を4箇所協定し、ボランティア団体による体験活動や森林整備を通じた自然環境保全活動が進められており、当署も活動のお手伝いをしています。
(1) あっぴ高原遊々の森 ~従来の美しい芝草原の再生~
芝草原 | 野焼きの様子 |
(2) 松尾鉱山跡地再生の森 ~閉山後の荒廃地から森林への自然回復~
八幡平ふるさとの森づくり | 森の再生活動「友情の森」 |
5. 伝統工芸品等への原料の供給
当署管内の二戸市浄法寺地域は、国産漆の約7割を生産する日本一の生産地です。
東北を代表する漆器「浄法寺塗」へ使用されるほか、平成27年に国が国宝や重要文化財の建造物を修理する際は、原則国産漆を使用する方針を打ち出したことを受け、平成27年以降増産の取組が行われていますが、当署も地元の浄法寺漆生産部分林組合等と漆の分収造林を約64ヘクタール契約し、国産漆の増産や地元産業振興に寄与しています。
ウルシの分収造林地 | ウルシ漆器 |
6. 安全・安心な国土づくり
地域住民の生命・財産を守るため、治山事業の推進等により健全な森林の整備、災害に強い森づくりを進めています。
金沢(2)治山ダム | 洞ヶ沢治山ダム |
7. 地元観光振興への寄与
平成28年3月に「明日の日本を支える観光ビジョン」が策定され、官民挙げて「観光先進国」の実現に向けた各種取組が進められる中、当署のレクリエーションの森である「焼走自然観察教育林」が平成29年度林野庁新規事業「森林景観を活かした観光資源の創出事業」におけるモデル箇所に選ばれたことを受け、修景伐採等の環境整備を行うことにより、地元の観光需要の拡大に寄与する取組を推進します。
~焼走自然観察教育林周辺~
焼走り溶岩流観察路から望む岩手山 | 岩手山に生息するコマクサ |
~隣接する八幡平地域~
山頂付近 | 夜沼周辺 |
お問合せ先
林野庁 東北森林管理局
岩手北部森林管理署
〒028-7534 岩手県八幡平市荒屋新町41番地8号
- (IP) 050-3160-5895
- (一般) 0195-72-2221
- (FAX) 0195-72-2300