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東北森林管理局

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    山形森林管理署

    「署長が語る!」

    平成28年1月
    山形森林管理署
    署長  高野 憲一

     管内は、山形県の村山地域にあり、12市町(山形市、上山市、天童市、寒河江市、村山市、東根市、尾花沢市、大石田町、山辺町、大江町、朝日町、西川町)に所在する約7万7千ヘクタールの国有林野を管理しています。

        この村山地域は、山形盆地に位置し、東は蔵王から御所山につながる奥羽山脈に、西は月山を中心とする出羽山地や朝日山地という、日本を代表する山岳地帯に囲まれています。

        当署では、これら山岳地帯にある国有林を様々な森林の働きに応じて適切な維持管理に努めています。その主な取り組みをご紹介します。

      

    蔵王地域の保全と利用 

        蔵王は国定公園に指定されており、標高1840mの熊野岳を最高峰とする山域です。低地のスギ林からカラマツ林、ブナ天然林、樹氷で有名なアオモリトドマツ林へと、山麓から山頂にかけて森林分布が変化しており、それを自然観察、登山、ドライブなど多様な方法で楽しむことができます。

        当署では、この蔵王地域の自然に親しんで利用してもらうために、レクリエーションの森に指定するとともに、蔵王地域の保全対策にも取り組んでいます。以下に主な取り組みをご紹介します。

     

    蔵王スキー場野外スポーツ林

     蔵王というと樹氷とスキーで有名ですが、樹氷が見られる地蔵山やスキーができる一帯はレクリエーションの森の「野外スポーツ林」に指定されており、冬だけでなく、春の新緑、夏の避暑、秋の紅葉と通年を通して楽しむことができるように森林の管理をしています。

    アオモリトドマツの樹氷

    樹氷(モンスター)

    アオモリトドマツの樹氷

    樹氷(モンスター)

    秋の紅葉

    蔵王山の主峰熊野岳

    秋の紅葉

    蔵王山の主峰熊野岳

     

    アオモリトドマツ林の虫害対策

      平成25年秋に地蔵山周辺等でアオモリトドマツの変色被害が発生しました。原因を調査したところ蛾の一種である「トウヒツヅリヒメハマキ」の幼虫による食害ということが判明しました。被害を受けた地蔵山周辺は樹氷ができることで有名な地域でもあることから、被害対策として平成26年から夜光による誘引捕獲(ライトトラップ)の試行や被害を受けたアオモリトドマツの樹勢回復を促す植物活力剤の樹幹注入を実施してきました。

        平成27年の森林総合研究所東北支所の調査によると、トウヒツヅリヒメハマキの成虫の発生量が大幅に減少するとともに、天敵となる寄生蜂が増加していることから、被害はほぼ終息したものと思われます。  

    褐色に変色したアオモリトドマツ1

    褐色に変色したアオモリトドマツ2

    褐色に変色したアオモリトドマツ(平成25年10月)の被害状況

     

     

    蔵王の治山対策

      蔵王のもう一つの顔は、「蔵王のお釜」に代表される火山の山ということです。蔵王山は溶岩流地形で地形の浸食による崩壊地等も多く見受けられます。このため、当署では、明治の頃から蔵王ダム上流の崩壊地対策をはじめ、昭和の半ばまで硫黄の採掘が行われていた蔵王川上流の緑化対策や蔵王温泉スキー場周辺の崩壊地対策等に取り組んできました。

     

    蔵王ダム上流の葉の木沢  

    施工直後

    現在の緑化された状況

    施工直後

     

     現在の緑化された状況

     

     蔵王温泉上流部の大沢

    施工前

    施工後

    施工前

     

    施工後

     

    千歳山の松林再生   

        山形市のシンボルとして市民に親しまれ、市内の小中学校の校歌にも歌われている千歳山はその大半がアカマツ林の国有林で、自然休養林になっています。

        千歳山については昭和57年にはじめて松食い虫被害が確認され、薬剤散布や伐倒駆除を行ってきましたが、アカマツの減少が著しく岩石の風化が進み、落石等の被害発生が危惧されてきたことから、平成20年に「千歳山松林再生プロジェクト」を立ち上げ」、関係機関や地域住民の方々と連携して保全・再生に取り組んでいます。  

    市内から見る千歳山の全景 

    散策路脇の落石防止ネット被覆工

    市内から見る千歳山の全景

    散策路脇の落石防止ネット被覆工

    小学生によるアカマツの植樹

    市民ボランティアによる植樹

    小学生によるアカマツの植樹

    市民ボランティアによる植樹

    月山と地すべり対策  

        月山は、出羽丘陵の南部に位置する標高1,984mの火山で、湯殿山、羽黒山とともに出羽三山のひとつに数えられ、修験者の山岳信仰の山として知られています。山頂には月山神社が鎮座し、多くの修験者や参拝者が訪れる山です。山域は磐梯朝日国立公園の特別区域に指定され、日本百名山にもなっています。

        月山は豪雪地帯で、あまりにも雪が多いため、冬ではなく春の4月から夏スキー場がオープンします。このスキー場とその周辺は国有林のレクリエーションの森になっています。

        また、月山は硬い火山岩の上に、深さ約100メートルの軟らかい火山噴出物が堆積しており、地表近くを月山の万年雪から出る大量の雪解け水が流れることにより、地滑りを誘発しやすくなっています。麓の志津温泉周辺も地すべり防止区域に指定されており、当署では、平成19年度から地すべり防止対策として27基の集水井を設置しました。

    残雪期の月山

    月山夏スキー場開き(4月上旬)

    残雪期の月山

    月山夏スキー場開き(4月上旬)

    集水井

    工事の状況

    地すべりの誘因となっている地下水の排除をする集水井の内部と工事の状況   

    朝日山地の保全管理

        朝日山地は、新潟県と山形県の県境に位置する山地であり、磐梯朝日国立公園にに指定され、主峰の大朝日岳(標高1870m)を中心とした主稜線(北の以東岳から南の祝瓶山)を朝日連峰と呼んでいます。

        周辺には我が国最大規模のブナ林が良好に維持され、低地から高山帯まで変化に富んだ生態系が展開し、多様な動植物が生息・生育しています。このため、国有林では、この地域を「朝日山地森林生態系保護地域」に指定して、原生的な天然林を保存することにより、自然環境の維持、動植物の保護、遺伝資源の保存、学術研究に役立てています。

    朝日山地の主峰 大朝日岳

    朝日山地を代表するブナ

    朝日山地の主峰  大朝日岳

    朝日山地を代表するブナ

     

    国有林を管理するための路網の整備   

        約7万7千ヘクタールの国有林を適切に整備、保全、管理していくためには、路網の整備がとても重要です。当署では、投資効率や景観等に十分に配慮しながら林道および森林作業道開設などの路網整備を進めており、平成25年度末時点の管内の林道延長は約262km、森林作業道延長は約106kmとなっています。

        路網の整備に当たっては、民有林と国有林が一体となって計画的かつ効果的な路網配置ができるよう、路網作設のための勉強会や現地検討会などの取組も行っています。 

     

    大丈倉沢林道作設の様子

    大丈倉沢林道の完成状況

    大丈倉沢林道作設の様子

    大丈倉沢林道の完成状況

     

        余談になりますが、大学生の4年間を山形で過ごして以来、再び山形で暮らす機会に恵まれました。学生時代は蔵王や朝日連峰など山形の山々をよく登りましたが、約30年ぶりに見た山々は以前のように素晴らしい自然で、変わってはいませんでした。今後も、この山形のすばらしい自然を後世に残すべく、国有林の管理にしっかりと取り組んできたいと思っていますので、皆様のご理解とご協力をよろしくお願い致します。


    お問合せ先

    山形森林管理署

    ダイヤルイン:0237-86-3161
    FAX番号:0237-86-3133