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由利森林管理署

「署長が管内を語る!」

平成26年8月

由利森林管理署

署長 木村 光一

管内の概要

由利森林管理署では由利本荘市、にかほ市の2市に所在する国有林約2万3千ヘクタールの管理経営を行っています。
国有林内には、国定公園に指定されている鳥海山をはじめ、丁岳(ひのとだけ)、鬼倉岳、八塩山など様々な山を擁しており、これらの山々を源流とする笹子川(じねごがわ)、芋川、白雪川、奈曽川は下流域の農業用水や由利本荘市、にかほ市の水がめとして使用されておりますので、安全で快適な国民生活を保持するためにも、国土の保全や水資源のかん養など森林の持つ様々な機能を向上させるべく、適切な管理に努めています。
鳥海山麓北西部一帯の国有林は「鳥海自然休養林」に指定され、ここには国指定の天然記念物「鳥海山獅子ヶ鼻湿原植物群落及び新山溶岩流末端崖と湧水群」のほか、「鳥海ブナ施業公園」、「森の巨人たち100選・あがりこ大王」などがあり、多くの人々が訪れています。
また、海岸林である水林国有林は日本海からの塩風や飛砂などから人々の暮らしを守る大切な森林ですが、昭和58年に松くい虫被害が発見されて以降、その防除、再生に民有林・国有林が一体となって取り組んでいます。 

鳥海山140801

〈桑ノ木台湿原から見る鳥海山〉

 

民有林と国有林の連携

平成24年3月に秋田県由利本荘市矢島町城内谷地沢において、民有林と国有林が連携して森林整備を進めるため、由利本荘市、森林農地整備センター秋田水源林整備事務所、本荘由利森林組合、子吉川流域活性化センターと由利森林管理署が、森林共同施業団地を設定しました。この団地の面積は、由利本荘市有林70ヘクタール、森林農地整備センターの契約林64ヘクタールと国有林126ヘクタールの併せて260ヘクタールです。このフィールドを活用した現地検討会や森林整備の方針を決める各種打合せなどを実施してきましたが、平成26年度は、スギ人工林41ヘクタール、4,860立方メートルの間伐を実施し、ここから搬出された間伐材を、東北森林管理局が実施する安定供給システム販売により、民有林と国有林が共同で販売していく予定です。このような取り組みが県内各地で実施され、間伐材の利用がさらに促進されることを期待しています。

 

現地検討会(由利署)

システム販売に向けての打合せ会議

〈現地検討会で意見交換〉

〈システム販売に向けての打合せ〉

 

鳥海山周辺の保護と利用

鳥海山は四季を通じて様々な姿を見せてくれますが、春から秋にかけては登山や観光、レクリエーションと多くの方々に幅広く利用されています。そのような国民の皆様のニーズに応えるため、レクリエーションの森として「鳥海自然休養林」を設定してご利用頂いておりますが、森林の保護にも取り組んでいます。自然の生態系を守るため、獅子ヶ鼻湿原植物群落保護林や鶯川ブナ植物群落保護林、鳥海山植物群落保護林から奥羽山脈へ連結する鳥海朝日・飯豊吾妻緑の回廊などを設定し、その豊かな自然を後世に引き継ぐこととしています。
また、長年にわたり人の踏み込みによって荒らされていた桑ノ木台湿原植生自然観察教育林については、平成21年度から3年間、入山を制限し、学識経験者や地元自治体、自然保護団体や観光利用サイドなどの多様な構成からなる委員会の中で、保護と利用のあり方について検討しました。その結果、13ヘクタールの湿原を周回する延長約1.7キロメートルの歩道を整備し、そのうち湿原内には約620メートルの木道を設置しました。今後はモニタリング調査を継続し、植生の回復状況や観光客の利用状況などを調査したうえで、保護と利用のあり方についてさらに検討していきます。

 

鳥海山あがりこ大王

専門家による現地検討会

〈森の巨人・あがりこ大王:中島台地区〉

〈専門家による桑ノ木台湿原の現地調査〉

桑ノ木台湿原に設置された木道

由利森林管理署桑ノ木台湿原検討委員会

〈桑ノ木台湿原に設置された木道〉

〈検討委員会では様々な意見が交わされた〉

  

国民の生命・財産を守る治山事業

土石流や雪崩といった自然災害は、ひとたび発生するとその地域に甚大な被害を及ぼします。山地で発生する災害から国民の生命や財産を守るために、森林の整備や新たな森林の造成、雪崩防止柵や治山ダムを設置するなどの治山事業を実施しています。
特に大規模なものの1つとして奈曽川流域があります。奈曽川流域上流部には、大小あわせて14箇所の崩壊地があり、その面積は約9ヘクタールにおよびます。奈曽川の荒廃した渓流に対して昭和30年から復旧事業を実施し、階段状に25基の治山ダムを設置することで荒廃渓流の復旧と下流域における災害の未然防止に努めてきました。現在では一連の事業は終了していますが、今後は森林の復旧状況を確認したり豪雨時などには監視を行うなど経過を観察して地域の安全が確保されるように、にかほ市と連携していきます。 

間伐材を使用した木製ダム

奈曽川上流

〈間伐材を使用した木製ダム〉

〈奈曽川上流〉

 

松くい虫被害からの再生

日本海沿岸のクロマツ林は、海からの風、塩、砂などの被害から地域に住む人々の暮らしを守っていますが、秋田県内の国有林では昭和58年に松くい虫による被害が発見されて以降は貴重なクロマツ林が次々と消えていきました。由利森林管理署では、由利地域振興局、由利本荘市、にかほ市と連携しながら、被害の防除、クロマツ林の再生活動を実施しています。水林国有林のクロマツ林の再生活動には、地元ボランティア団体や小学生、高校生の力も借りながら再生活動を実施してきました。おかげさまでクロマツが枯れた後の大きな空き地はほぼ無くなりましたので、これからは植林した苗木の手入れを実施し、以前のような立派なクロマツ林を育てていきます。 

小学生が森林ボランティアとともに植林

高校生によるクロマツ林の手入れ

〈小学生が森林ボランティアとともに植林〉

〈高校生によるクロマツ林の手入れ〉

お問い合わせ先

由利森林管理署
〒 015-0885
秋田県由利本荘市水林439
電話:0184-22-1076
Fax:0184-22-2274

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