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天然秋田スギ美林の成り立ち 

スギは、古来から日本人の暮らしに深く関わり、日本独自の文化の中で、なくてはならない存在です。

特に、秋田はスギの宝庫で「天然秋田スギ」は、木曽ヒノキ、青森ヒバと並んで日本三大美林の一つです。
ここでは、「天然秋田スギ」がどのように成立してきたか、科学的な立場から紹介します。

1.日本のスギと天然秋田スギの分布

スギ

スギの語源

学名:Cryptomeria  japonica

スギは、我が国にしか生育していない「固有種」です。

語源には、いろいろな説がありますが、真っ直ぐうえに延びる木だから直木(スクキ)の意味という説が最も有力です。

ほかにも、アイヌ語のシンクニー(真っすぐな木の意味)から転じたものという説もあります。

 

スギの特性

オモテスギとウラスギ

スギは、枝と葉の形質からオモテスギとウラスギに分けられます。

森林総合研究所の津村ら(2007)はDNA塩基配列の最新の解析から、両者は遺伝的にはっきりと分化しており、その遺伝構造に違いがあることを明らかにしました。

 

天然スギ全国分布図

水平分布

スギの天然分布の北限は青森県鯵ヶ沢町矢倉山国有林で、南限は鹿児島県屋久島国有林です。

かつては秋田、山形、新潟、富山、福井、鳥取、島根などの日本海側を中心として、太平洋側の静岡県や伊豆半島、高知県東部の各地まで天然林が大面積に分布していました。



垂直分布

スギの垂直分布の上限はその地域の標高と積雪量、過去の植物分布などで決まります。東北地方では1,000m前後、本州中部地方では2,000m前後、九州地方では1,800m前後です。

 
天然スギ秋田県分布図

天然分布

天然秋田スギは秋田県北部の米代川流域の中~下流部および雄物川流域に集団分布するほか、男鹿半島、秋田市仁別、森吉山、鳥海山などにも成立しています。

地域特性

いわゆる裏日本系統のウラスギに属し、中でも米代川流域のものは材木にすると、鮮やかな鮮紅色でつやが良く、軽くて弾力性に富むなどの特徴があるといわれています。

天然林の植生

秋田など日本海側の地域では、天然スギと混交して、ヒノキアスナロ(ヒバ)、クロベ(ネズコ)、キタゴヨウ、ブナ、ミズナラ、イタヤカエデ類、トチノキなどの樹種が生育しています。

2.天然秋田スギを取り巻く自然環境

アメダス年別値2007平均気温平年値(℃)

 
秋田県気温

気候

秋田県は、典型的な日本海型気候です。

暖かい対馬暖流の影響を受ける海岸地方は冬季でも比較的温暖ですが、内陸部では奥羽山脈に近くなるほど気温が低く(年平均気温7~12℃)なります。

月気温グラフ

最新積雪(平年値)分布図

(統計期間1979~2000)

アメダス年別値降水量の合計平年値(mm)

 降水量

秋田県積雪量降水量は、1400~2200mm、山沿いで多く、9月に多い特徴があります。最深積雪深平年値(1979~2000年)は秋田市で41cmです。

 

 

 

 

 

 

月別降水量

秋田県降水量

3.年輪が語る歴史

日本の木の年輪は1幅が1年であることから、年輪を数えるとその木の年齢(樹齢)を知ることができます。

しかし、年輪は樹齢だけでなく、その木が生きていた時代の環境や出来事までも教えてくれるのです。

 

年輪年代法

「年輪年代法」は、年輪から歴史をひもとくために使われる方法で、年代が不明な建物の建材の年輪を調べることで、いつ建てられたかを知ることができます。 

これは、毎年の気候変化によって、年輪の幅が変わる性質を利用したもので、あらかじめ作成した長期の暦年標準パターンと年代が不明な建物に使われている木材の年輪とを照合することで、木材の伐採年代が判明し、建物の年代も明らかになります。

 年輪解析

年輪解析は、林業で森林を管理するためによく使われる方法で、樹木や森林の成長経過を調べることができます。

年輪パターン 

年輪解析

年輪を観察すると、1800年頃に何かがぶつかったような傷跡がありました。その翌年から急に成長が良くなっていました。 

 

天然秋田スギの円板

 

この円板は今から50年近く前の昭和36年(1961)に旧合川営林署(現米代東部森林管理署)管内で伐採されたものです。伐採当時の樹高は45mで材積は20.7m3でした。

この円板は、中心部分が空洞になっていて、正確な樹齢を特定することは出来ませんが、昭和4年(1767)まで確認することができ、約250年生であると推定されます。

 

 

天然秋田スギ円板

 

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