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32号

四万十の風音森&川だより

平成24年1月発行

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ヤッコウソウ

 

滑床山植生回復検討会---順調な植生回復を確認

当センターでは、平成18年6月に滑床山植生回復検討会を立ち上げてシカの食害により裸地化した三本杭頂上の植生回復に取り組んでおり、その後も植生回復の状況報告や今後の施行方針などの検討のため毎年検討会を開いています。平成23年度は好天に恵まれた10月18日、滑床山(通称:三本杭)山頂において関係機関、ボランティア団体等の関係者36名が参加して、第7回滑床山植生回復検討会を開催しました。
今回の検討会では、平成19年3月にシカ防護ネットを設置して移植した「たるみ」及び「滑床山頂」のミヤコザサが順調に繁茂していることや、枯れ木など現地資材を活用した簡易な土留め措置がリョウブやカエデなどの稚樹の発生を促し、土壌の流出を防止しつつある状況などを確認しました。
当センターからは、昨年の検討会で提言された滑床山頂西斜面のギャップに、シカ防護ネットを設置することを報告するとともに、「たるみ」と「山頂」のネット内は登山道をロープで標示して登山者に協力を呼びかけ、拡がりつつあるミヤコザサの地下茎を保護していくことを提案し了承されました。
滑床山頂周辺でニホンジカによる剥皮被害などを調査している森林総合研究所四国支所から、ネット外では継続的に食害が発生していることや、ニホンジカの生息密度は依然として自然植生に大きな影響を及ぼす高いレベルにあることなどが報告され、出席者からも広範囲な被害状況、連携した個体数調整の必要性などの意見が出されました。
当センターはモニタリングを継続し、関係者、ボランティア等と協働して、滑床山頂周辺の植生回復に取り組んでいくこととしています。

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山頂を覆いはじめたミヤコザサ

現地検討会

 

黄葉のブナ林で森林教室 

当センターでは高知県と愛媛県の県境にある八面山から滑床山(通称:三本杭)に至る稜線のブナ林をフィールドにして、森林教室をおこなっています。

ブナの葉が黄葉する10月から11月、今年も高知県四万十市や宿毛市、愛媛県松野町、遠くは神奈川県横浜市などからたくさんの学校が来てくださいました。

四万十市(高知県)黒尊から宇和島市(愛媛県)に延びる市道(旧黒尊スーパー林道)の中間付近、県境からやや宇和島市寄りの「猪のコル」下の登山口から八面山頂上を経て、八面山と三本杭を結ぶつり尾根に広がるブナ林を目指します。
標高1,165メートルの八面山一帯は10月中旬から紅葉が始まり、11月初旬にはコハウチワカエデやウリハダカエデが紅く、ブナやシロモジなどは黄色く色づき山肌を染めます。
森林教室では登山道脇の樹木の名前や名前の由来、特徴、利用方法などを学習しながら1時間かけてゆっくりと登ります。

八面山一帯は近年ニホンジカによる食害により林床のミヤコザサが消失したりリョウブなどの灌木の樹皮がはがれ枯死するなどの被害が発生しており、これらシカ害が森林や林業に与える影響なども学習します。

登り始めるとすぐ、眼下に宇和海が広がり、天気の良い日には遠く九州の山並みを見ることもできます。

登山道途中には、センブリやサンショウ、ガマズミなどもあり、葉をかじったり、実を食べてみたりもします。
なかでも人気は、ガマズミの実とセンブリの葉です。ガマズミの実は真っ赤に色づいた頃には甘酸っぱく、日頃、スナック菓子等に慣れた児童には新鮮なのか思いの外みんながほしがります(野鳥の餌にもなるので最小限でがまんしてもらっています)。ただ、今年は残念ながらシカの食害のためか、いつもの休憩ポイントのガマズミが枯死し、実が少なく、あまり食べてもらうことができませんでした。
センブリは乾燥させて煎じて飲むとすごく苦いのですが、生葉を食べても同じように苦く、児童には何も言わずに小さな葉を1枚ずつ配り食べてもらいます。下山する頃には名前は忘れてもその苦さは忘れられないようで、いろいろなことを体験するのもフィールドワークの醍醐味です。
山頂で四方の眺望を楽しんだ後は、ブナ林に移動し、森林のしくみや役割について学習したり、散策、手作りブランコなどで森の恵みを満喫します。特に、ブナの大木で高さ8メートルほどの枝にロープをかけて作るブランコは斜面のため高度感抜群。当センターの森林教室の中でももっとも印象に残る体験のひとつです。
帰りは登りで習った樹木の名前を思い出しながら約30分で登山口に下山。帰途につきます。

八面山一帯は12月下旬から2月までの間は、雪に覆われるため、ブナ林での森林教室はしばらくお休みです。春には木々の芽吹き、オンツツジやアセビ、シャクナゲの花などが訪れる人の目を楽しませてくれます。

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頂上で「はいポーズ」(松野西小)

ブナの木でブランコ(後川小)

 

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森の中でお勉強(下田小)

ブナ林でフィールドワーク(神奈川学園)

 

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落ち葉の中は暖かい?(津野川小)

宇和海を一望、気分爽快(川崎小)

 

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ハイジの気分(下田小)

この葉っぱな~んだ?(具同小)

平成24年度、10、11月に八面山での森林教室をご希望の学校は、早めのお申し込みをお願いします。
(11月初旬までがオススメです。なお、寒冷となる11月下旬からの実施はお断りしています。)

 

森林教室で八面山を訪れた学校
10月14日愛媛県松野町立松野西小学校(4年生)   21名
10月27日高知県四万十市立後川中学校(全校生) 21名
11月1日高知県四万十市立下田小学校(4年生)     17名
11月8日神奈川県私立神奈川学園高校(2年生)   36名
11月14日高知県四万十市立津野川小学校(全校生)21名
11月5日高知県宿毛市立松田川小学校(全校生)  49名
11月22日高知県四万十市立川崎小学校(5年生)    14名
11月24日高知県四万十市立具同小学校(5年生) 72名 

三本杭のシカ防護ネットのゲートを改良

当センターでは、ニホンジカの食害で裸地化した滑床山(通称:三本杭)の植生回復のため平成18年度末に山頂周辺にシカ防護ネットを設置しています。(1頁参照)
平成22年度には山頂東方を拡張、平成23年度は山頂下西方に新たに設置し、植生回復を図っています。
この中で、山頂と山頂西方の鞍部(通称:たるみ)は防護ネットの中を登山道が走っており、登山者の皆様には、ゲートを開閉してのゲート内通過をお願いしているところです。
これらのゲートについては、冬期の積雪時はゲート下部が雪に埋まり開かなくなるため、登山者が山頂に行けなかったり、防護ネットの外周を迂回していただくなどご不便をおかけしています。
そのため、平成23年度に山頂東方に拡張した防護ネットには門扉を上下に分割し、積雪1メートルまでであれば上側だけを開閉して通過できるよう改良したゲートを設置しました。
積雪期の使用状況等をみて従来型ゲートの改善を行っていきたいと考えておりますので、ご意見等のある場合は、当センターまでお知らせください。
また、三本杭頂上及びたるみのシカ防護ネット内は、移植したミヤコザサが植生を回復しつつあり、地下茎の伸張を保護するため登山道をロープで表示する予定です。
引き続き、登山者の皆様のご協力をお願いします。

  

 

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上下開閉式ゲート

従来のゲート(たるみ)

 

 表紙の写真 

表紙の写真【ヤッコソウ】撮影地:高知県土佐清水市佐田山国有林

ヤッコソウ科の寄生植物で葉緑素を持たず、シイノキなどに寄生する。高知県で発見され牧野富太郎博士によって命名された。
 10月下旬から11月にやっこに似た白い花をつける。雄しべが筒状になった帽子をかぶっており、写真はその雄しべが抜け落ちた受粉後である。

 

四万十の風音 森&川だより第32号印刷用レイアウト(PDF:1,663KB)

お問い合わせ先

〒787-1601
高知県四万十市西土佐江川﨑2405番地
四万十川森林環境保全ふれあいセンター
電話0880-31-6030
FAX 0880-31-6031

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